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戦いの海は焼いて増し

電子戦隊デンジマン』感想・第40話

◆第40話「チャンピオンの敵」◆ (監督:竹本弘一 脚本:上原正三
 ナレーション「ミサキ・タツヤ、タツジの兄弟は、孤児である。赤城に、その才能を見出されてタツヤは、ボクサーの道を歩き出したのである」
 施設を訪れる赤城の姿には、やはり資産家として慈善事業も行っている節が窺えますが、レギュラーキャストとゲストの名前が思い切り重なっているのはなかなかに珍しい印象で、一体どうして「たつや」にしてしまったのか(笑)
 かつて、防衛軍の科学者であった父がベーダーによって殺害されるが、辛くもデンジレッドによって兄弟だけが救出された過去が語られ……赤城がデンジマンになってからの出来事なので“割と最近”なのですが、唐突に出てくる「防衛軍」の存在といい、本編のストーリーラインとあまり噛み合わず、特にこの後の展開にも関わらずで困惑する挿話。
 毎度お馴染みヘドリアン女王のメンタルケアの為、大金を餌に強豪ボクサーを集めては、地下闘技場でデスマッチを運営している背広ヘドラーが、タツヤ(演じるのは、後のゴーグルブラックでダイナブラックな春田純一)に接触
 車椅子生活の弟の手術費用も稼ぎたい、と貧困からグレーゾーンの誘惑に揺れる定番のプロットで、背景を怪しむ電子戦隊は、タツヤの為にもと捜査を開始する。
 背広ヘドラーと秘書ケラー(お洒落ケラーさんに横に立っていてもらうだけで、やり手実業家風の説得力が出るのが素晴らしい)を追ったデンジレッドは、闇のボクシング場に辿り着くと囚われのボクサーたちを救出しようとするが逆に拘束されてしまい……2話見逃している間に、マーキュリー回路を内臓されて迂闊ヒーロー体質に目覚めてしまったのでしょうか?!
 今なら仕掛けた端から落とし穴に引っかかりそうな赤城は、激獣スパイダー拳により天井に張り付いていた青により救出されるが、ヘドリアン女王7600歳の誕生日を祝う為のメーンイベンターを求めるヘドラーは、札束の詰め込まれたトランクを餌にタツヤを地下闘技場へと引きずり込むと、赤城を脅迫。
 「ワシならそんな誘いには乗らんな。馬鹿馬鹿しい、他人のために」
 「ところが人間は違う。奴らは、心を大事にする」
 バンリキ魔王とヘドラーのやり取りで、人の心の在り方と、赤城のヒーロー性が強調され、赤城は罠を承知でベーダーの誘いに乗る事を決断。
 「タツヤは俺の囮になって、連れ去られたんだ。見殺しにはできん!」
 「この前のように、うまく救出されるとは限らん。努力はするけど」
 先日はスパイダー拳を披露した青梅、いや、まあ、頑張るけどね……と付け足した言い回しが、微妙に面白い事に。
 仲間達は決死の覚悟を固める赤城を送り出し、中盤ややスポットの減っていた赤城のメイン回は嬉しいのですが、前回も今回も、地球ベーダフォーミングの一向に進まないベーダー一族が、搦め手からの赤城狙いに終始しているのは、作戦規模としては物足りないところ(プロットの主筋も焼き増し感が強いですし)。
 後を追う4人がベーダー戦闘機の爆撃で足止めを食う中、地下闘技場に乗り込んだ赤城は背広ヘドラーに指輪を奪われ、あまり存在していない因縁を最終盤に向けて濃くしておきたい思惑もあってか(今まで一番印象的な絡みは、10円ハンバーカー回の給食の時間ですかね……)、じっくりと睨み合う二人。
 「本日の、メーンイベント、デンジレッド・赤城一平対K.O.ジョーの勝負を、女王様にお届けします」
 「おお……なによりのプレゼントじゃ。胸がわくわくする」
 OPのボクシング要素が回収されて、激しくパンチを打ち合う赤城と覆面ボクサーだが、相手をコーナーに追い詰めた直後、完全アウェーの卑劣なペンライトに目を眩まされた赤城は反撃を受けてダウン。
 (ここでくたばって、たまるか……)
 変身も不能で絶体絶命の赤城は、ロープの反動を利用した捨て身のダイビングパンチを放つと、覆面ボクサーがリングに倒れ、そのダメージにより曝された正体は光ラー。
 それでも普通に進むデスマッチだが、赤城を助けようとするタツヤが、ヘドラーからリングを奪い取って赤城に渡し、冒頭の挿話に意味があるとすれば、タツヤは赤城の変身と変身アイテムについて知っていたとしたかったのかもですが、クライマックスでこれといって強調されないので、特に劇的な連動は起こらず。
 変身したレッドは戦闘員を次々となぎ倒して脱出に成功すると仲間達と合流し、見よ! 電子戦隊・デンジマン!!
 初めて聞くアレンジのOPで、光ラーと様々な技での戦いとなり、ピンクは剣道が得意であったと判明。
 プロレス(黄)・射撃(緑)・中国武術(青)、そして改めてのボクシング対決(赤)はデンジマンの全勝となり、稲妻落としでフィニッシュ!
 ダイデンジンもボクシングの土俵に乗って顔面に連続パンチを叩き込むと、最後はゴングが鳴る演出で大爆死。正道に戻ったタツヤがチャンピオン目指してトレーニングに励む姿で、つづく。
 悪役サイドのテコ入れが行われた節はあるも、これといって効果を発揮しなかったこの2話ですが、思えばベーダー、変な事をしなければデンジマンに本拠を襲撃される心配はゼロに等しく、プライドを除くと地球侵略にこだわる理由もタイムリミットも特に明示されていない上に、長命種なので時間感覚にも違いがあると思われ、総合的に悪役サイドに切迫感の生じる理由が無いという点は、シリーズその後の課題になっていく部分でありましょうか。
 アクション回としては、一般人からヒーローまで執拗に滅多打ちにされる映像が続くのは、気持ちの良くなかったところ(冒頭のチャンピオンの廃人演技は怖すぎましたし……)。
 次回――またも捕らえられる黄山で、ベーダー一族は今度こそ派手な花火を打ち上げられるのか?!
 煽りまくるナレーションさんへの信頼度は、いまいち低いぞ!