『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』感想・第18話
◆第18話「紅蓮」◆ (監督:大橋明 脚本:江良至)
「失せろ。弱い人間は退屈だ。俺が求めるのは強い男。その絶望の叫び!」
「闇に堕ちた魔戒騎士。おまえの命は私が狩る」
冒頭から、フードのホラーと、凜々しい女性魔戒法師との激突が繰り広げられ、魔戒法師といえば……足技ぁ!
の恒例行事から、呪符・筆・鏡を組み合わせた術式でホラーの不意を打つ見せ方が格好いい。
「おのれぇー!!」
まんまと直撃弾をもらったフードのホラーは空高く舞い上がり…………に・げ・た(笑)
最初に大口叩いたホラー、なんか勝利の高笑いみたいなものを残して飛び去るのですが、に・げ・た。
その頃、闇に堕ちた魔戒騎士がホラーに憑依されたと伝達された雷牙たちは、闇の狩り師・媚空と協力して、そのホラーを倒すよう番犬所から命令を受ける。
「闇の狩り師は、僕らと同じ影の存在です」
「仲間は?」
「いません。狩り師の仕事は、魔戒騎士や法師の心を探ること。誰も信用しないし、誰にも信用されない」
クロウの、大変好きそうな設定だった。
「……同じ世界に生きて、戦う相手はホラーじゃないのか」
つまるところ組織内部の監査役のようですが、しみじみと呟く雷牙がその存在を知らなかったのは多分に話の都合は感じるものの、黄金騎士はあくまでも、魔戒騎士業界内部における光のエリート、気高き使命感で人を護る為にこそ刃を振るうアイドル、という事でありましょうか。
狩り師について整理しながら雷牙・クロウ・マユリの3人が待ち合わせの場所に向かうと、高いところに現れる黒い影――。
「ゴッド秘密警察、第一室長」
……じゃなかった、冒頭でフードのホラーと戦っていた魔戒法師にして、魔戒監査室の女・媚空が姿を現し、貴様の筋肉を査定する、とクロウとの殴り合いに突入。
クロウがいいパンチをもらって地面に倒れると、凄く世紀末脳な法師と雷牙の対峙は、達人同士の高度な脳内バトルで処理され、力を示した雷牙は、ホラー狩りの協力者として認められる事に。
媚空はマユリにも敬意を示す姿勢を見せ、地面に転がっていたクロウは……あ、パーティに加えてもらえた(笑)
闇の狩り師(そういえばこのネーミングは、現代伝奇バトル的に夢枕獏オマージュでしょうか?)がホラーに打ち込んだ呪符の反応を追った4人はホラーの根城に殴り込み、標的は石板ホラーと判明。
多分、3歩進むと逃走や敗北の記憶が都合のいい感じに差し替えられる体質のホラーは、高所でふんぞりかえって余裕を見せる強者ムーヴから雷牙へと襲いかかり、今回はワイヤーバトル盛りだくさん。
クロウの地面滑走斬りが格好よく、3対1でも臆することのないホラーがフードの下から鬼面を曝すと、闘気で法師とクロウを吹き飛ばし、雷牙とのタイマンに移行。
「おまえ、強いな。それでいい! 俺は楽しくてたまらない!」
戦いの中に悦楽を求めて高揚していくホラーは、生身の雷牙を窮地に追い込む力を見せ……ここまで強いのなら、冒頭の高笑い逃走はいらなかったのでは(笑)
法師とクロウの援護で体勢を立て直した雷牙は、とうとう黄金の鎧を身に纏うも押し切れず、ここはいよいよ馬の出番か、と思ったところで、ホラーの弱点を見抜いた媚空による魔戒騎士アローが炸裂し、今回のお題の一つだったのか、媚空さんの術エフェクトに、やたらと力が入っています。
そして多分、ここのコストの兼ね合いで馬は出走できませんでした。
ガロは動きを止めたホラーをダイビングで両断し、媚空は魔戒騎士の残滓を浄化し、マユリは石板の破片を回収。
「冴島雷牙、イズモの魂は救われた。おまえのお陰だ」
「……俺じゃない。あなたが救ったんだ」
一仕事を終えた媚空は、石板を破壊してエイリスの封印を解いた何者かの存在を追っている事を明かし、第1話にちらっとその姿の見えた、魔戒法師風の人影について言及。
エイリスの花の持つ死者復活の力が動機に関係しているのかもしれない、と媚空が語ると、なにやら難しい表情になるクロウがフォーカスされて、以前に名前だけ出てきた師匠への疑惑がメタ的には増して、エイリス復活の背後にある点と点が繋がり始める事に。
最後に、媚空がイズモホラーの弱点を知っていたのは、修業時代の古傷を知る弟だったから、とたとえ親兄弟でも使命とあらば斬る凄絶な生き様が強調されたのは、今後のクロウの立場に関わる布石めいた気配ですが、死して屍拾う者なし、死して屍拾う者なし、で、つづく。
一話一話のバラエティ性重視の作りから、あまりエイリス解放を巡る縦軸のストーリーに関して、情報を小出しに積み上げていく、といった事をしない今作ですが、珍しく縦軸の中心に触れて、ここから一気に終盤の局面に入る……のかと思いきや、次回、なんだか久しぶりな気がする変態系ホラーの気配。