『爆上戦隊ブンブンジャー』感想・第31話
◆バクアゲ31「華麗なる挑戦」◆ (監督:竹本昇 脚本:古怒田健志)
時計グルマーセカンドが誕生し、開店するハシリヤンカレー。
ちょっとは金が入ったらしい先斗は、たまにはブンブンカレー以外も、と入店してみるが、そこで出てきたのは、“食べたと思った時には既に食べ終わっているカレー”で、確かに美味しいが満腹感の無い奇妙な体験をありのままにビュンディーに語る、『ジョジョの奇妙な冒険』のパロディで始まり、今作の古怒田さんはこのスタンスを徹底するのでしょうか……。
一方、大也たちは未来から、バイト先のカレー屋ゴン(経営者は「江戸川」)の立て直しへの協力を依頼され、財力に任せて世界各地から希少なスパイスを集めるが、
「いや、そういう事じゃなくて」
と、ぶった切られる大也、の図は面白かったです。
「わかった。俺が向こうの店を丸ごと買おう」
「それが一番駄目ーーー!!」
成金趣味の高級店志向へのリニューアル提案も一蹴され、第31話にして、価値観のズレた大富豪ギャグで大也を容赦なく崩し、目の付け所は悪くなかったのですが、何もかも遅すぎたのが現実で、序盤の数話を除くと、大也の「非常識な金の使い方」についての積み重ねが全く無いので、今更やってもただのキャラ崩壊どころか正しい意味で「人の心が無い」になってしまい、手遅れの患者に間違った薬を打っているみたいな事に。
人の心は金で買える筈なのに?! と大也が機能停止に陥ると、銀河のカレーマスター・ブンドリオが姿を見せ、レシピ再現を手伝いながら、地球でカレー作りにはまった経緯が語られるのは、キャラの掘り下げとして良かったのですが。
一方、近所に出来たライバル店の偵察に向かっていた射士郎と阿久瀬は、始末屋コンビ同様、すっかりハシリヤン呪いのカレーの虜になってしまい、カレーを求め続ける客から集まっていくギャーソリン。
「マネーもギャーソリンも、集め放題、取り放題!」
CM空けると、いきなり大也がハシリヤンカレーの様子を窺っていて背後のハシリヤンに気付くのが凄く雑になりましたが、役に立たないのでカレー屋ゴンを追い出され、そういえば射士郎たちが戻ってこないな……といったシーンがカットされた感じでしょうか。
「この店に手を出そうってんなら俺を倒していけ」
「私たちにはこの店がどうしても必要なんだ!」
大也が、もはや洗脳状態の先斗らに詰め寄られている頃、ブンオレンジは、なんの前振りもなく独力でディスレースのアジトに辿り着き、第29-30話は本当に“対立の為の対立”でしかなかったと開き直ってくるスタイル。
「教えてやる。ディスレースはこの奥だ。その代わり、ブーンレッドに伝えろ。――「俺を殺せ」」
「なに?」
「……おまえが生きて戻れたらの話だがな」
マッドレックス4DXが橙を先に進ませる一方、時計グルマー2の時間操作能力に苦戦する赤はマッドレックスより先に2話連続で死にそうになっていたが、そこに満面の笑みで走ってくる未来。
「みなさーん! 美味しいカレーを届けにきましたー!」
シリーズに度々ある、女性メンバーの“可愛い”で突破しよう作劇であり、作品キーワードとしての「届け」を拾ってくれたのは良かったのですが……状況を知らない筈の未来がカレーを手にやってくる流れは意味不明(普通に考えると、ただの「営業妨害」)であり、途中参加と実質スポット参戦の立場もあってか、演出・脚本ともに、今作ここまでに欠けている部分に手を伸ばす意識は見える一方、話の流れに細やかさが足りなかったのが残念。
ゴンカレーを口に突っ込まれた先斗らが、今度は『ミスター味っ子』(アニメ版)パロディで浄化されると、未来は半ば暴徒と化していた客たちを、もはや完全な営業妨害になっている出張ゴンカレーに案内し、解けていく呪い。
「未来のカレーの勝利か。爆上げだな!」
食べ過ぎで先斗が戦闘不能に陥る中、正気を取り戻した射士郎と阿久瀬も復帰して未来と並んで変身すると4人揃ってブン回し、すっかり
「いらないね、5人目は」
「ひよっこのレッドか」
「おれたち4人のバランス、絶妙なのにね」
状態。
ブンブンジャーが時計グルマーを撃破する一方、地球署のいらない子になりつつあるオレンジはディスレースの寝入りを襲うが重力バリアであっさり攻撃を防がれ、手も足も出ないまま、完敗。
「圧倒的にスキルが足りねぇんだよ、スキルがよぉ」
ワームホール生成が可能なレベルの《重力操作》スキルに加え、《呪術》スキルまで上げているディスレースが言うと説得力が高く、《復讐の斧》スキルが遠く届かないまま床に打ち捨てられていた玄蕃に近づいたのは、始末屋の二人で、つづく……。
次回――――うーん、うーん、うーん……放映当時の感想をお読みいただいていた方は御存知かと思いますが、私、『トッキュウジャー』滅茶苦茶好きでして……なるべく割り切って見るつもりですが、そもそもコラボに対する好感度が低い人間なので、大惨事にならない事を祈りたい。
後、さすがに無いと思うのですが、メインメンバーの重要な心境の転機が、ろくに語りかけないレッドに代わり、スペシャルゲストのコラボ先輩ヒーローによってもたらされたりしないか、不安。