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SAT参上・SAT解決

電子戦隊デンジマン』感想・第32話

◆第32話「地獄の大銃撃戦」◆ (監督:服部和史 脚本:高久進
 服部監督が初参戦し、険しい表情を浮かべる青梅と緑川のアップを連続で切り替える、これまでとはちょっと毛色の違う見せ方でスタート。
 黄山が二人に向けて試し撃ちしたのは、対象に後遺症を残す事なく、閃光と衝撃で複数人を気絶させる効果を持った特殊な銃で、要するにスタングレネード……? と思ったら、赤木が「犯人が人質を取って立てこもった時」に有用とそのままの解説をし、今回の電子戦隊は、刑事物テイストを飛び越えて対テロ路線。
 その状況で、デンジスコープ! からの、デンジパンチ! で解決する方がデンジマンらしい気はするのですが、銃を構えた黄山の姿に、物騒なサブタイトルがかかります。
 そんなある日、これが貴様らにふさわしい遺影だとばかり、黒いリボンのかけられた電子戦隊の集合写真がベーダー一族より送りつけられ、ビデオレターで改めて宣戦布告してくるヘドリアン女王
 時同じくして、桃井が仮面の暗殺者・ダートラーの狙撃を受けると連絡を受けた赤木らも出撃するが、跳弾の一撃を心臓に受けた緑川が倒れ……今回は割とシリアスなヘドリアン女王は、報告を受けてもぬか喜びせず、デンジマンの死を確認せよ、と命令。
 久々に登場したチエコが緑川の運び込まれた病院に駆けつけ、廊下を走る姿をシルエットで描く事でドラマチックに見せようとするのも、これまでとは少し違う味付け。
 病院でチエコが目にしたのは、霊安室に横たわる緑川の姿で……久々に登場しすぎた為か、チエコから緑川への呼称が「ミドちゃん」から「達也さん」に変わっているのは、厳粛な場面だからというより文芸設定の擦り合わせミスな気はしますが(前者の方が感情はむしろ出ますし)、泣きわめくその姿を、ドアの外でほんの数秒映るだけなのにわざわざ看護師コスプレしたミラーとケラーが確認する。
 緑川の暗殺成功をダートラーに報告するミラー&ケラーだが、それは勿論、「殺し屋の正体を暴く為」の偽装工作であり…………う、うーん……電子戦隊が“凄腕の狙撃手”に苦戦した末に、チエコも巻き込んだ死んだフリ作戦によりベーダーを罠に嵌める、とかならともかく(前回とは被りますが)、桃井から連絡を受けるや即興でトリックを仕掛けて騙し討ちに成功するのは物語の起伏に欠け、普段ならBパートのクライマックスにしそうな展開を急にAパートに持ってきたのもだいぶ困惑。
 ……それはそれとして、蹴り飛ばされたダートラー(ここまで、黒い仮面に帽子の男として登場)に着ぐるみ怪人の正体があったのはホッとしました(笑)
 いやほら、キカイダー01』とか『キカイダー01』とか『バトルフィーバーJ』とかだと、生身に毛の生えたような扮装で怪人だった事にされそうな流れだったので!
 「ばかもん! デンジマンに一杯食わされるとは、なんという、愚かな奴だ!」
 怒れるヘドリアン女王ヘドラー将軍が取りなしてダートラーには次なる作戦のチャンスが与えられ、狙われたのはアスレチッククラブの送迎バス。
 ここから、人質とされたバスを救出しようとするデンジマンと、高所に陣取り待ち受けるダートラーとの攻防戦が展開するのですが、無警戒に真っ正面からジープで突き進んでいくデンジマンに始まり、満を持して有利な位置に誘い込んだ筈が現場の土管を利用されて射線が通らなくなるダートラーなど、バスジャックとその解決をモチーフに据えた割には戦術的面白さは皆無となり、もう少し、スーパー戦隊×特殊部隊ものの文脈をミックスする工夫が欲しかったところですが、ブ、ブルースワ……うぅ……(メモはここで途切れている)。
 最終的には、人質を乗せたバスにスーパー黄山ガンが炸裂し、効果は明らかに閃光音響手榴弾ながら、外部から打ち込んでもバス内部に影響を及ぼしているので、扱いは謎の超音波。
 戦闘員を無力化し、解放したバスを逃がしたデンジマンは改めて名乗りをあげてダートラーとの決戦に挑み、火を噴くバズーカ攻撃をデンジジャンプでかわしてからコミカルな動きで戦闘員を翻弄するなど、OPをたっぷり聞かせながら長めに展開。
 スーパー黄山ガンで叩き落としたダートラーを稲妻落としでフィニッシュすると、巨大ダートラーとダイデンジンとの格闘戦となり、接近戦は不利と見るや、次々と銃を交換してダイデンジンを遠距離から封殺するダートラーだが、何故か最後は相撲で決着をつけようとして隙を見せ、デンジダートがブルズアイに直撃。
 続けて顔面に連続パンチを叩き込まれたダートラーはデンジ剣満月斬りでスパッとされて、ここ数話では異例ともいえる巨大戦の長さとなり、巨大戦が淡泊すぎるのも「消化試合」感を増してしまうので適度に長さと工夫は欲しいところですが、それにしても全体的に尺余り感の強いバトルでありました。
 「あいてて痛い痛い」
 「あなたは一度死んだのよ? それなのにどうして?」
 迫真の死んだフリでチエコを巻き込んだ緑川は、台詞が怖すぎるチエコに腕をねじり上げられるお仕置きを受けて悲鳴をあげ、相手が一通りの格闘術は修得している筈の女性警官だけに洒落になりませんが、赤木と桃井が取りなすも、へそを曲げたままのチエコに放り投げられて、つづく。
 AパートとBパートが特に連動していない上で、偽装工作をAパートに押し込んでまで展開したBパートのバスジャック解放は終始雑に進行し(どちらかといえば、バスジャック事件だけでは尺が足りずに、Aパート分を付け足したような雰囲気でしたが……)、これなら緑川×チエコの話にして、偽装死亡作戦をクライマックスにした組み立ての方が良かったような……とスカスカの筋立ての隙間を爆発と戦闘で強引に埋めたような残念な出来でしたが、オチだけはほのぼのしていて良かったです(笑)
 次回――久々にヘドラー将軍が地球人変装!