『電子戦隊デンジマン』感想・第24話
◆第24話「罠をはる怪力男」◆ (監督:よしかわいちぎ 脚本:江連卓)
久々にミラーが鏡となると、自慢の白い歯を映し出してご満悦の女王陛下。そのまま気分良く地上を視察あそばせられるが、映し出されたのは、どいつもこいつも健康的に遊び回る地球人類の姿ばかりで、自身と瓜二つの女性がテニスを楽しむ姿を目にするに至って、とうとう大激怒。
「この地上は、妾の最も嫌いな、健康美に充ち満ちているではないかヘドラー将軍!」
いつもと逆方向のカメラで、広間に入ってくるヘドラー将軍の姿が描かれ、かんしゃくを起こした女王陛下は、子供達から健康を奪い、地上を病の都にせよ、と命令。
…………将軍、いつもこんな感じで廊下に待機しながら書類仕事をこなし、女王様に呼び出されるや推参してはご機嫌を取っているのかと思うと、何かと弁解がましいのも、作戦にキレが無いのも、責任を部下に丸投げしがちなのも、当人の問題ばかりではない気がしてきました将軍。
そこから生み出されるベーダー怪物……かと思いきや、気分一新に自慢の白い歯を鏡に映そうとしたヘドリアン女王は、「あんた、日本じゃ二番目だ」と宣告を受け、「一番は、誰じゃ!?」「ひゅう~、ちっちっち、ユリさ」と突きつけられて、再点火。
「許せぬ! 歯の女王は妾じゃ!」
並々ならぬこだわりを見せるヘドリアン女王は小学生に激しいジェラシーファイヤーを燃やすと、ユリの歯を全て抜き取ってしまえと命令し、「健康」で繋がっているといえば繋がってはいますが、何故か不自然な二段構えになった導入に困惑。
〔子供達の健康を奪え! → 子供の好きな甘いものを利用して虫歯の子供を増やしましょう!〕ならスムーズでしたし、逆にユリ重視なら、健康美云々を挟まずに個人的な嫉妬から国家戦力を個人に差し向ける顛末一つに絞った方が導入としてインパクトがあったと思うのですが、二つの要素が合わさって面白くなるというより、似たようなイベントをループしただけとなり、どうしてそうなったのか。
女王陛下怒りの成り行きで誕生した歯磨きラーは、怪力男に扮装するとショーを餌に集まってきた子供たちにベーダー虫歯菌入り綿飴を配る作戦にユリを巻き込もうとするが、失敗。実力行使でユリの家に乗り込むも青梅によって阻止を受け、室内バトルを見せる青梅が、前回に続いて大活躍。
ならばと今度は歯医者に化けると、眠らせたユリの歯をペンチで引っこ抜こうとし、地球侵略を果てしなくミクロに落とし込んだ「少女の歯の汚染」へのこだわりの結果、とにかく酷い画が続きます。
初期ホラー路線の名残といえば名残かもしれませんが(歯磨きラーが首からぶら下げている歯のネックレスは、だいぶ猟奇)、前回の汚れた部屋や服装の描写に続き、少々やりすぎの印象。
ユリに付き添っていた桃井が変身して抜歯は阻止するも少女はさらわれてしまい、黄山が綿飴に仕込まれたベーダー虫歯菌を発見した事から、怪力ショーのテントにカチコミをかけるデンジマン。
地下通路に踏み込むと歯形が並ぶ猟奇な部屋に辿り着き、〔サーカスのテント・さらわれる子供・不気味な裏側〕といった辺りはやはり怪奇の3点セットといった感があります。
一同ぼんやり調べているうちに電気歯形に襲われるが、赤がデンジスコープからのデンジパンチで壁破りをして少女を救出すると、見所はデンジグリーンの3連続飛び回し蹴り。
緑の蹴り技へのこだわりなど、アクションシーンにおけるメンバーの個性の見せ方はノウハウも合って光るところで、歯磨きラーが、手持ち武器のブラシ付きスピアで自分の頭部を磨く仕草も、面白かったです。
ショットガンフォーメーションで戦闘員を蹴散らしたデンジマンは、歯磨きシャワーからの、顔面ブラシこすりという微妙に精神を削ってくる攻撃に苦しめられるが、忍法デンジドリルで反撃し、地中から頭と手だけを出すデンジブルーの姿も、どこかホラー(笑)
電撃アタックを宣言するとダッシュから連続で個人技を叩き込み、最後のトドメはデンジブーメランでスパーク! 巨大化した歯磨きラーは、唐突なデンジロケットパンチ(技名なし)から満月斬りでエナメル質ごと叩き切り、少女の白い歯日本一の座は守られるのであった。
「子供達の元気な姿を見るのは、いいな」
「これにすぐる喜びはなしだ」
不自然な二段構えの導入、場当たり的な怪力ショー要素、執拗に少女の歯を付け狙うあまり気持ちの良くない状況設定……と難の目立つエピソードでしたが、最後はデンジマン正道にまとめて、つづく。
全国の少年少女たちよ、歯を磨け! 風呂入れ! 宿題やったか!?