『牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』感想・第10話
◆第10話「食卓」◆ (監督:金田龍 脚本:田口恵)
「美味しいという事がわからない。……私は魔道具だからな」
人間的な情緒に欠けるマユリは食事の喜びを知らず、見所は、ゴンザがゲストといちゃいちゃしている間に撃破シーンを丸々スキップされる石板ホラー。
マユリの為にスープ作りに打ち込むゴンザの料理シーンと、雷牙の戦闘シーンを重ねる事さえせずに、場面が切り替わったら、石板の欠片になっていました!!
番犬所からの指令により、空間に隠れ潜むホラーを追う事になった雷牙は、ホラーの存在をあぶり出す為に何やら魔戒レーダーのようなものを設置。
長丁場の任務になるからと休暇を与えられたゴンザは、戸惑いつつもめかし込むと旧友の女性・アンナと街をそぞろ歩きし、シリーズ初代でも龍崎ハウス周りは少し時空が歪んでいましたが、ゴンザ&アンナの服装含め、どこか無国籍感の漂う町並みの見せ方は面白いところ。
そして、松方弘樹に続き、ゲスト出演に松坂慶子は驚き(※2013年の劇場版に出演されていた縁ではとの事)。
「僕は、どうしてもマユリ様に、美味しいという気持ちを知って欲しいんだ。少しでも、笑顔になってほしい」
ゴンザがアンナにマユリについて相談すると、アンナの店で冴島家秘伝のスープを作る事になり、ただ美味しいだけの料理では駄目だ……と悩めるゴンザは、アンナの言葉から一つの事を閃く。
……大丈夫かな、この人、此の世に存在している人なのか……? と不安になっていたアンナ(私はどうも、すぐにそういう視点で見てしまう癖があり(笑))の正体は引退した魔戒法師で、ゴンザの頼みを聞くと、マユリが冴島邸で興味を示していた、魔戒タツノオトシゴの墨絵みたいなものをスープ皿へと封印。
これに関しては今作だけだとよくわかりませんでしたが、冴島邸に飾ってあった絵ともども、シリーズ過去作がらみの要素でありましょうか。映画『RED REQUIEM』で、鋼牙が法師から魔戒騎士金魚を貰っていた覚えがありますが、アレの仲間的なもの……?
ゴンザの用意した趣向を喜んだマユリは冴島家の味に笑顔を浮かべ、ゴンザが「マユリを家族の一員のように思っている」事を一皿のスープを通して伝え、シリーズの欠かせざる清涼剤である心優しき執事ゴンザにスポットを当てた、ちょっといい話。
そしてその頃、ゴンザを送り出したアンナが術を使うのに用いた法師の筆を片付けようとすると、筆をしまっていた箱の中には、いつの間にやらゴンザが一輪の花を収めていた……という二重の意味で憎い演出で、幕。
前々回-前回とかなりグロテスクな話が続き、魔戒騎士とホラーとの激しい戦いの幕間にあたる、いってしまえば地味なエピソードでしたが、このラストは非常に良かったです。
マユリの掘り下げ回としても良かったですし、返す返すも第3話(温室回)は、どうしてあんなに慌ててマユリ周りの話を進めようとしていたのか……。
EDクレジットに表記のある、〔似顔絵画家:桂正和〕は、雨宮総監督と親交が深いらしいので、有名マンガ家の桂正和さんご本人でありましょうか……からの、次回――○○先生のマンガが読めるのは週刊少年牙狼だけ!