『電子戦隊デンジマン』感想・第20話
◆第20話「ゴリラ少年大暴れ」◆ (監督:広田茂穂 脚本:高久進)
見所は、プール上がりの桃井・ジャージでサンドバッグを叩き続ける緑川・エプロン姿の黄山・スパゲティを頬張る青梅、を一部屋に詰め込んで、物凄く混沌とした画になるデンジサロン(赤城は青空空手中)。
果たして青梅はこのまま、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教に改宗してしまうのか、或いは大いなるアンパンが眠りから目覚める日が来るのか……人類の存亡を賭けた戦いが闇の世界で繰り広げられる中、運動嫌いの食いしん坊少年が、赤く輝く花を目にしてその蜜を舐めると、突然、オーラーパワーに覚醒。
これが、俺の、ゴッドハンド!
と、木を叩き折り、自転車をひっくり返し、チエコ巡査を軽々と突き飛ばし、傍若無人の大暴れを開始する。
一方、ヘドラー将軍お薦めのベーダー怪物ハチドクラーが誕生するが、そのエネルギー源となる赤い花の蜜は少年に全てかき集められてしまい、チエコから相談を受けた赤城らと、ハチ毒ラーのエネルギー源を探すベーダー一族は、くしくも同時に少年の行方を追うことに。
怪力でミニパトを川に突っ込ませた少年は、ベーダー戦闘員を千切っては投げ、千切っては投げと蹴散らしていくも人海戦術によって捕らえられ、緑と桃がそれを助けている間に、ハチ毒ラーらが隠し場所から蜜を回収するくだりがドタバタ風味で展開。
“子供一人に振り回されるベーダー一族”と“戦う意欲を見せない怪人”のギャップでコミカルに見せる意図だったとは思われますが、これにて役目を果たした少年は、隠れた毒性を持つ蜜の副作用に苦しんで病院に運ばれ、血液をデンジランドで分析して治療法を発見する黄山が凄い。
その頃、遂にエネルギー源の蜜を充填した怪人は、メディテーション!
少年と入れ替わる形でオーラパワーに覚醒するのですが、Bパート入ってようやく発揮される怪人の本領が、単純な怪力だけなのはあまり面白くなりませんでした。それなら蜜要素よりも、怪力要素を中心にしたデザインモチーフの方が良かった気がしますし、ハチと毒はどこに行った感。
ハチ毒ラーが乗用車を襲撃している現場に通りがかったチエコと同僚は、ミニパトアタックを決めようとするも軽々と受け止められると、投げ飛ばされて逆さまにひっくり返ったところに追い打ちで別の車をぶつけられ………………死んでない??
その結果として次に起きるのが、玉突き事故、ではなく大渋滞、なのが予算の限界を感じる画ですが、駆けつけたデンジマンが場所を移して、気をつけろ気をつけろ気をつけろ~。
今回はシンプルな肉弾戦から、ようやく黄に投げつけられる、毒のハチ。続けて繰り出されるハチの子バルカン攻撃に対してデンジジャンプによる無敵回避から、デンジブーメランでスパッ!
今回もデンジタイガーのテーマ曲でダイデンジンがアクションを開始すると、ようやく放たれた毒ガス攻撃によりコックピット内部が黒煙に包まれ、気密性に難が。
更に、連続張り手をうけるダイデンジンだが、デンジボールによって、敵頭部のタンクを破壊。エネルギー切れを起こしたハチ毒ラーは、満月斬りにより真っ二つになるのであった。
少年の方は酸素注入によって回復し、怪人を倒して状態異常回復でもなければ、デンジマン由来の超テクノロジーでも無しに、原因の分析から現代医学で可能な範囲の方法で治療が行われる、ちょっと珍しいパターン(タイムリミットサスペンスも発生しない、怪人の特殊能力と関係ない中毒症状が原因……が面白いかどうかはさておき)。
蜜を舐めてオーラパワーに覚醒していた間の記憶はすっかり失っていた少年だが、緑川の差し出した真っ赤な花束を見てトラウマを刺激されるとベッドに縮こまり、毒の苦しみと合わせて大暴れの報いとされる形に。
少年はその後、赤城の空手教室で心身を鍛え直す事となり、ここで流れているBGMが、物凄く格好良くて好きな挿入歌のインストバージョンなのですが、本編でボーカルバージョンも使われてほしい。
ナレーション「世の中、決してうまい話は転がっていない。そう、一歩一歩の努力が、明日への、大きな力となり、悪との戦いを恐れぬ、デンジマンのような強い力を生むのだ。さあ、君たちも、明日に向かって飛びだそう」
傷害・器物破損・公務執行妨害など色々やらかしておりますが、恐らくアカギランドが間に入って示談に落ち着け(その後、少年の身柄を預かり)、なんだかいい教訓があったなー風にナレーションさんが力技でまとめて、つづく。……空手指導を受ける少年が、全く楽しそうでないのは、ラストシーンの画としてはちょっと珍しいでしょうか(笑)
Aパート〔ぐうたら少年が暴力に覚醒〕とBパート〔ぐうたら怪人が暴力に覚醒〕が「逆転」する構成は意図的かと思うのですが、逆転後と逆転前を面白く繋ぐ要素が特にない(少年の存在は実質フェードアウトする)ので、ただ「分断」されただけになってしまった(怪人デザインもそれを象徴する事に)のが、物足りないエピソードでした。
……次回――なんだか色々とカオスで凄そう(笑)