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微笑む狼

牙狼<GARO> -魔戒ノ花-』感想・第2話

◆第2話「害虫」◆ (監督:雨宮慶太 脚本:雨宮慶太/藤平久子)
 今回お気に入りの台詞。
 「この販売機のジュースは美味しくないよ」
 この愛想とユーモアセンスは、冴島家のいったいどこに転がっていたのか(笑)
 実は床下を掘り返すと埋まっていたのか。
 特徴的なビジュアルを継承しながらも、初代主人公とはだいぶ(表面上の)性格の異なる雷牙は、元老院から与えられた“魔導具”の少女マユリを迎え入れ、破壊された石板から逃げ出した9体のホラーのどれかに、覚醒前の魔獣エイリスが潜んでいる事を知らされる。
 「エイリスが潜んでいるホラーかどうか、私にしかわからない。それに、エイリスを封印する為には、私の体が必要だ」
 かくして雷牙は、漆黒のミニスカドレス風魔法衣に身を包んだマユリとホラー狩りを共にする事になり、相棒が真っ黒なのに対して、今回の番犬所の上司は真っ白なロングドレスの女神風で、冴島の男の性癖を歪めようとしてきます。
 「街に出るのは久しぶりかい?」
 「随分と寝ていたからなぁ」
 「寝ていた、って……どれぐらいだよ?」
 「……雷牙が知る必要は無い」
 ……完全にスタッフの術中にはまっていますが、マユリ言行の方が鋼牙っぽすぎて面白い(笑)
 かつて“メシアの涙”と云われた魔獣エイリス覚醒までの猶予は長くて100日、覚醒の暁には、人界と魔界が一つになるとマユリは告げ、雷牙がホラー捜索を急ぐ中、街の闇の中には、新たなホラーとそれを追う若き魔戒騎士が出現。
 誰かさんが苦手だった女性型ホラーが早速登場しましたが、本体が蜘蛛型で、人間体が漆黒のエナメルスーツ風味なのは、マーベルヒーローのブラック・ウィドウのオマージュでしょうか(それっぽいポーズも取りましたし)。
 物質に擬態する能力を持った蜘蛛ホラーが、自動販売機に化けて獲物を待ち構えていたのを看破した雷牙は、激しい格闘戦を展開。強烈な回し蹴りを叩きつけ、逃げるホラーを切り刻むもハイジャンプで距離を取られるが、そこに飛んできた手裏剣の一撃を受けたホラーは逃走。
 「やっぱり逃げ足速いなぁ」
 手裏剣を投げつけたのは、黒ずくめの若き魔戒騎士・クロウ(演じるのは、後に『魔進戦隊キラメイジャー』でキラメイブルー/時雨のアニキ役だった水石亜飛夢さん)。
 「……君は?」
 「大丈夫だよ。奴の場所はこれでわかる。今日この管轄に来たんだ。良かったら力を貸すけど」
 「そうだな……」
 質問を完全無視する青年に、苦笑気味に剣を修める雷牙だが、それを見た青年の態度が激変。
 「も、もしかして、冴島……雷牙さん……?」
 なんか、ファンだった。
 第2話で登場する新たな若手の魔戒騎士という事で、敵愾心剥き出しで突っかかってくるタイプかと思ったら、色紙とか取り出しそうな雰囲気でキラキラした視線を向けてくる予想外のリアクション。
 それだけ“黄金騎士”の意味するところが大きい事も示してはいるのでしょうが、丁寧な態度で名乗ったクロウと共に雷牙が逃げたホラーを追うと、二人の前に姿を見せたのは、殺意を持ったショベルカー。
 「嬉しいねぇ。魔戒騎士を喰うのは初めてだよ」
 「おまえの餌になる気はないよ」
 不敵に笑う雷牙に対し、ショベルカーのアーム部分が分裂すると蜘蛛の脚となるのが格好良く、《牙狼》シリーズでは、非人間タイプのホラーのセンスが結構好きなのですが、物質擬態と蜘蛛モチーフの組み合わせとして、秀逸なデザインと見せ方です。
 出会い頭のショベルの一撃で吹き飛ばされていたクロウは、何事もなかったかのようにさらりと復帰すると、相棒のペンダントに止められて、働いたら負けだと思うと判断。
 「彼は黄金騎士だし……心配ないか」
 あれ? 雷牙大好きっ子の弟分キャラになるのかと思ったら、意外と、裏表のあるタイプ?
 真意が読めずになかなか眩惑してくるクロウが傍観を決め込む中、本性を現した蜘蛛ホラーに対して、雷牙はガロの鎧を召喚。
 「人を欺き、人を喰らう貪欲な業を持った魔獣エクスタ、貴様の陰我、俺が断ち切る!」
 前回に続いて、個別の啖呵を切った黄金騎士ガロは、脚部を車輪に変えて戦車モードで突撃してくるホラーに対して、背中からワイヤーを射出(ちょっと面白ギミック)すると、反発力を利用した大ジャンプ回避からの急降下アタックでホラーを撃破。
 「終わったな」
 「いや終わってない。――始まったばかりだ」
 マユリは石板の欠片を体内に回収し、しれっと姿を見せたクロウは、破壊された石板がクロウの管轄にあった事から、逃げたホラーを追ってガロの管轄に来た事を説明。
 「マ号ユリ型……通称マユリ、だっけ」
 「……ああ、そうだ」
 「――クロウ。彼女は人間だ」
 平板な視線でマユリを“道具”として扱うクロウに対し、雷牙がマユリを“人間”として扱う姿が対比として鮮やかに決まり、主人公としての存在感をぐっと高める格好良さ。
 「お嬢ちゃん。気を悪くしたのか?」
 「……気にしていない。私はただの器だ。それで人が守れればいい」
 「…………さ、帰ろう」
 無表情なマユリに雷牙が笑顔を向けると、二つの影は家路に向けて歩み出し、つづく。
 クロウ登場により、マユリに対する雷牙の基本スタンスと、無表情で感情を表に出さず謎めいた存在ながらマユリの行動原理は「人が守れればいい」である事が明確になり、物語を動かす為の、人間関係の基礎がラストでしっかりと確立。
 同時に、石板破壊の現場では、やはりというか魔戒法師の呪符らしきものをクロウが発見しており、世界観についてのシリーズ10年間の蓄積という強みを活かしながら、今作の軸となるヒーロー&ヒロインの足場を怠らなく固めた上で走り出し、今後への期待感の高まる出来でした。