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鍛え続ける大人たち

仮面ライダー響鬼』感想・第32-33話

 (※6/1更新分のエピソードを含むので、ご留意下さい)

◆三十二之巻「弾ける歌」◆ (監督:高丸雅隆 脚本:井上敏樹
 鬼の扱う数多くの武器を作ってきた吉野の開発局長、小暮耕之助(演:特別出演の布施明)が東京に来る事になり、たちばなに走る激震。
 その頃、当の小暮は警察の検問に停められており、小暮の悪印象をやわらげる為に警官も無闇に横柄に描かれてはいるのですが、免許証を見せろと言われて、
 「君には私が強盗に見えるかね?」
 と返すの、人間として最低の部類ですねこの人。
 そこから、態度が悪い、と警官を叱りつけると、弱腰になった警官の尻を愛用の精神注入棒で一叩きするアナクロな鬼教官のような行動を見せ、普通に、公務執行妨害でしょっぴいてもいいのでは。
 未熟者には実力行使を辞さない厳しさで、子供の頃に会ったきりの立花姉妹どころか、勢地郎にまで恐れられる小暮がたちばなに持ち込んだのは、ここまでの世界観を粉々に粉砕する感じのゴテゴテとした剣(一応、切っ先は反りが入って日本刀風味ですが)、その名を、アームドセイバー。
 「私が今まで作った武器の中でも最高のものだ。しかしこれを……使いこなせる者がまだいない」
 ……この武器が出てくるのが前提だったとすると、桐矢京介はあれでもまだ気を遣っていたのではないかという気がしてきましたが、そんなセイバーを作ったのは布施明だから仕方ないよね! という超絶アクロバットが叩き込まれ、HIBIKIー!
 …………第30-31話は、物凄い力技で切り刻みに来た! と思いましたが、今回は、なんかもう色々と大変そうだな……と、思ってしまいます(笑)
 この新装備の実験に付き合った結果、鬼になれなくなってしまったダンキとショウキ(二人合わせて、ダンスショー……?)がたちばなを訪れ、小暮の登場もあってさらっと流されるのですが、たたでさえ人手不足の関東支部としては、致命的大問題なのではこれ。
 どうやら小暮の下で働いていた事があるらしいみどりの調査の結果、アームドセイバーは、「鍛える」「鍛えてない」の次元を超えて、人間を辞めてないと使えない剣になっており、つまり、香川竜馬や早川健クラスを呼んでくるしかない代物だと判明。
 実力を認めているのもあるのでしょうが、みどりの話はちゃんと聞く小暮は、石仮面と共に封印された禁忌の魔剣みたいなものを作り出してしまった事にうなだれるが、歓迎会ではアカペラで『月の沙漠』を熱唱する、ワンマンショー。
 一方、身なりの良い男女が作り出した、平安伝奇ファンタジー風味の衣装を身につけた童子と姫が、「人員整理」と称して傀儡を破壊して回っており、黒幕的存在の登場と共に、魔化魍の位置づけも代わってくる事に。
 これに関しては明確に、滑り出しにおける「自然災害の具現化としての魔化魍」の方が好きですが、猛士側の資料との関係性を見ると、元来は“そういうもの”である魔化魍に、作為を加えて変化させているのが和服の男女、といった感じでしょうか。
 白傀儡を破壊する烏帽子童子&姫を見つけた威吹鬼が変身し、今回もやられ役の予感が高まりますが、〔人員整理に割って入る響鬼轟鬼 → 烏帽子の追跡中に木暮の試しを受けて尻叩きされ追跡断念 → たちばなに戻って木暮の歓迎会に出席している間に威吹鬼が戦闘開始〕はどうにも無理のある組み立てになってしまい、木暮の立ち位置はわかるものの「唯我独尊な偉い人が追跡の妨害をした結果として、今回も苦境に追い込まれる威吹鬼」の流れは、全包囲に印象も悪くなったなと。
 あきらからの救援要請を受けて響鬼轟鬼が駆けつけるが、烏帽子童子&姫は3対2となっても鬼を軽くいなしてみせるところに、三つ首の巨大魔化魍が出現。
 「こうなったら……」
 小暮を見返そうと持ち出していたアームドセイバーを使おうとする轟鬼だが、魔剣の波動に耐えきれず、変身解除。地面に落ちたセイバーを咄嗟に拾い上げた響鬼もその力を発動できないどころか、取り落とした剣を烏帽子童子に奪われる大ピンチで、つづく。
 特別出演に布施明を招いての新装備登場編という事で、明日夢-京介ラインは控えめ(持田さんに至っては出番なし)の今回でしたが、小暮到来を前に緊張の走るたちばなから「また今度ー」と叩き出された事で明日夢に対抗意識を燃やした京介が、強制モップがけレースに明日夢を巻き込み、第30話のアバンと繋ぐ形で、「明日夢を走らせる」京介と、「引きずり込まれて張り合ってしまう」明日夢が描かれるのは印象的。
 アンチ明日夢としての京介には、「消極的優等生」の明日夢に対する「悪ガキ」の位置づけもあると思うのですが、ヒーローフィクションの切り口として、“導いたり見守ったりしてくれる優しい大人”の存在に注力しすぎた面はあった今作、青春ドラマとしては“一緒にバカやってくれる友達”も刻まれる日々に居て良いのでは? というのは納得がいきます。
 そして多分、それを必要としているのは、明日夢くんだけではなく京介もまた、という視線はあると思うので、色々うまく収まってほしいところ。
 次回――小暮がイブキにはどういう態度になるのか気になるところでありますが……特訓だッ?!

◆三十三之巻「装甲(まと)う刃」◆ (監督:高丸雅隆 脚本:井上敏樹
 「勝手にアームドセイバーを持ち出して、しかも敵に奪われたのは、誰の責任?」
 轟鬼の軽挙からアームドセイバーを童子と姫に持ち去られてしまうと共に、魔剣の波動を浴びたヒビキと轟鬼は変身不能に。
 ダンスショーコンビから連絡が入って、消耗した体力が回復すれば再び鬼になれるのはわかるが、一ヶ月もシフトに穴があくのーーー?! は、前期を拾って触れてほしかった部分(笑)
 「これが鬼どもの武器か」
 和服太郎はアームドセイバーを手に取り、ある意味、鬼にとっても魔剣なのが、不幸中の幸いといえるのやら。
 「調べてみようか? 吉野のテクノロジーの秘密が、わかるかもしれない」
 和服姫に促された和服太郎は、その強すぎる力を押さえ込む為にイガグリをまとわりつかせ……一方、ザンキさんも小暮には頭が上がらず猛士魂を注入され、あの野郎、よくもザンキさんを、ぶっ殺してやる! と気合いが殺意に達しそうなトドロキを、たちばなの皆さんがなだめていた。
 関係者一同がたちばなに揃ってぐだぐだしているのは、前期『響鬼』からすると違和感の出る場面となりましたが、裏を返すと、こういった“場”を作って皆を集めてしまうのは、撮影を手早く進めるのにいい手法なのだろうな、と。
 ……そこに一石を投じようとした『響鬼』のアプローチが、結果として破綻を招く一因となってしまったのは、残念なところです。
 二人の穴は頑張って埋めます、とイブキが立ち上がったところに問題の小暮が現れ、注目されたイブキ王子vs小暮のマッチアップは……何を言われてもつるっと受け流す王子の、摩擦ゼロの型が、完全勝利(笑)
 「小暮さん、いつもの勢いはどうしたんですか?」
 「だからこういうタイプはなに言っても駄目なんだよ~。暖簾に腕押し、糠に釘」
 「なるほど」
 「……え?」
 ここ数話、バトルで全くいいところのないイブキ王子でしたが、バトル以外のところで株価が奇跡のV字回復を果たし、帳尻が合ってしまいました(笑)
 王子に完敗を喫した小暮は、ヒビキとトドロキに対して
 「特訓を始める」
 と宣言し、わざわざ台詞にする辺りも昭和シリーズのセルフパロディめいていますが、変身できないヒビキとトドロキ、まずは複式呼吸から。
 音程の狂いがあまりに酷いと小暮に絞られ不満たらたらのトドロキは、鬼トリオの色分けとして感情的な若輩者としての面が強調されるのは割を食っている感じはありますが、日菜佳にも音痴を指摘されて特訓に前向きになると、ザンキの口から小暮は「一日で10体の魔化魍を倒した」という伝説の鬼である事が語られる。
 「10体ではない! 20体だ! ……正確にいえば30体だ」
 そして本人は、話を盛ろうとしていた(笑)
 「腹の底からパワーを引き出し、必殺のパンチで、相手を倒した」
 「すげーーー!!」
 自分で自分の伝説に尾ひれをつけ、基本設定を根こそぎ破壊しそうな事を言い出す小暮ですが、音撃武具があくまで外部出力の為のサポートアイテムと考えれば、呼気を清めの音に変えて拳から叩きつけたり、口笛一つで魔化魍を粉砕できるようになったりする可能性も否定しきれず……問題は恐らく、激務すぎてそこまで究める前に腰や膝を痛めて引退を余儀なくされるところでしょうか。
 根は素直なトドロキは、小暮伝説に素朴に感嘆を示すと態度を180度替え、モチベーションの与え方さえ間違いなければ人一倍熱心な男でありました。
 そんな具合に特訓が進められる中、足早に帰宅中の明日夢くんは、背後から京介に呼びかけられていた。
 「ちょっと待てよ! おい待てったら……なんだよ、なんでそんなに早く歩くんだよ。……もしかして、俺と帰るのが嫌なのか?」
 「別に、そういうわけじゃ……」
 不在になって初めてわかる、持田さんの有り難み。
 明日夢くんは帰宅したら「いつもありがとうございます」メールを、10通ぐらい送っておくように。
 友達少なそうな明日夢くんと、友達いなさそうな京介は、そこでバッタリ、ヒビキと遭遇。
 「それにしても良かったなぁ、へへ、少年にも、少年の友達ができてさ。そういえばさ、今まで、友達っていえばさ、チアのもっちーぐらいだろ」
 ヒビキさん、ズバッと言った!
 そういうこと気にして家に帰ってからベッドで泣く子も居るんだから、誰でも自分と同じ極厚アスリートメンタルだと思わないで下さい!
 「いや、まだ友達になれるかどうかは、わからないんですけど……」
 ヒビキさんの悪いところの噴出に続いて、京介(友達いなさそう)が律儀に反論し……
 「……ちょっと?! そうなの?」
 「いやあの……微妙っていうか……」
 明日夢くんも、京介の取り扱いについては、判断を付けかねていた(笑)
 「世の中にはさ、いろんな人が居るんだよね。凄いと思える人、尊敬できる人……また会いたいなって、思える人。そういういろんな人たちと出会う事で、自分がどんどん強くなっていくんだよ。――二人とも、仲良くしろよ」
 明日夢のどこがいいのかわかりません、と直球を放り込む京介に対して、視野を広げる事の大切さをヒビキは少年たちに告げ、他者との出会いが糧になる、という大変真っ当なアドバイスで、夏場になってからヒビキさんの株は微妙に下落気味なので、ちょっとずつ挽回していただければと思います!
 小暮の猛特訓をヒビキとトドロキが受ける中、川遊びをしていた一家が巨大な魔化魍・カマイタチ(3体1セット伝承を、三つ首で表現したのは成る程)に襲われた所をイブキが助けるが、イガグリセイバーを持ち出した烏帽子童子&姫も出現。
 「変身するんだ! ヒビキ! トドロキ!」
 半ばながらも特訓を積んだ二人は、回復期間を短縮して鬼となる事に成功し、前回ぐらいから、これまで使用を避けていた印象の「変身」をドンドン使ってくるのは、テコ入れの一貫と思われます……さすがに今になって急に、音叉を額に当てながら「変身!」とは叫ぶのは自重されましたが。
 響鬼が、童子が落とした禁忌の魔剣もといアームドセイバーを今度こそ起動成功すると、紅に染まった響鬼の体にディスクアニマルが次々と張り付いてアーマーとなる、メタリックにしてヒロイックな新たな姿となり、高出力の炎の剣で、カマイタチを文字通りの一刀両断。
 「――響鬼・装甲だな」
 音撃どこ行った、な身も蓋もなさ過ぎる必殺剣が圧倒的な力を発揮すると童子と姫は姿を消し、背中にバチを二本差ししていると、印象は完全に機動戦士ガンダムクレナイですが、ディスクアニマルが外部装甲に転じるのは、全部乗せ系最強フォーム『響鬼』版として、面白いビジュアルでありました。
 ギミック面でのテコ入れとしては、だいぶ残酷な部類に入るので、次回以降の使われ方がどうなるかを待ちたいと思いますが、小暮の特訓のお陰で使えるようになったというより、イガグリの効果も出た上であろう点が、今後の展開に影響してくるかどうかは、気にかかる点(ここで新装備に怪人サイドの力が入り込むのは《仮面ライダー》的ではあるのですが、どこまでの意味を持ってくるのか……)。
 新フォーム登場編としては、基本的に鬼が普段から「鍛えている」設定なので、レジェンド鬼を出しての「特訓」を描いてもあまり劇的にならなかったのは苦しかったところ。概ね、布施明が歌う回、になってしまいましたが、「アームズ」にして「アーマー」であったアームドセイバーを今後の物語の中で上手く使ってほしいです。
 次回――逆襲のもっちー?! から、予想もしなかった展開勃発?! そして、猛士組織の深い闇に切り込む……のか?!