東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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誰がために

イナズマン』感想・第16話

◆第16話「約束に向かって走れ!」◆ (監督:塚田正煕 脚本:高久進
 前回、OPクレジットに名前があるも出番の全く無かった少年同盟、とうとう、クレジットもばっさり消滅。
 唯一残った丸目豪作の姿は渡五郎と共に山中にあり、新人類が怪しい動きをしているらしい……と情報がもたらされた地点に何も説明せずに丸目を連れて行く五郎、信頼といえば信頼ですが、序盤から一貫して、丸目の命に対する扱いが軽くて不安です(笑)
 なんかもう丸目、死亡フラグが10個ぐらい立ちまくっていて……!
 周囲を探る二人だが、突然、山肌を吹き飛ばす爆発が起こり、五郎は倒壊した秘密工場と積み重なる死体を発見。
 重傷を負いながらも生き残った男に代わり、男の妻子の安否を確かめる事を約束した五郎だが、丸目と男を逃がす為に囮となって帝国兵の目を引きつけるも、ウニの怪人のようなトゲバンバラの猛毒を受け、変身不能となってしまう!
 毒に体を蝕まれながらも荒野を進む五郎は、帝国バイク部隊の襲撃を受けるとロープで地面を引きずり回され、照りつける太陽の強調など、完全に西部劇な展開(と考えるとタイトルも『明日に向かって撃て』のもじり……?)。
 「俺はここで死ぬわけにはいかない! 俺には約束がある!」
 「無駄な約束だ」
 「俺は約束を守ってみせる!」
 「強情な奴め。もっと痛めつけてもらいたいと見える、ぬはははははは!」
 胸のワクワクが止まらない帝王バンバは、これまでの恨みを晴らさんと敢えて五郎を放置。朦朧とする意識の中で禁じ手の雷神号を召喚する五郎だが、やってきたのは雷神号……ではなく帝国ジープ部隊。
 手榴弾から逃げ惑う五郎の姿が執拗に描かれる疑似拷問(古来、二枚目の拷問シーンには需要があるらしい、とか)で、爆発から逃げ回る五郎は、深追いしてきた帝国兵を仕留めると手榴弾ジープを破壊し、村へ向けた移動を再開。
 瀕死の状態で崖を越える五郎だが、進めども進めども村に辿り着けないまま意識を失い……内なる自分と言葉をかわす。
 「渡五郎……なぜ危険を冒してまでおまえは行かなければならないんだ」
 「待っているからだ! 少女とその母が!」
 「それがおまえとどういう関係があるのというのだ」
 「関係は無い。だが俺は約束した!」
 「約束だって?」
 「男が一度約束した以上、死んでも約束を守らなきゃならないんだ! それが男なんだ!」
 最終的な出力は九州男児魂みたいになっていますが、己自身との対話を通して、ヒーローの行動原理が一度、個人の信念にまで分解されており、第12話においてはヒーローとして戦う為に「私を捨てる」事を求めた一方、滅私の行動の背骨に改めて強烈な「私」が置き直されていて、それこそが、「個人的な復讐へのこだわりを捨て去り」「ミュータントであるか否か」に関係なく残った、渡五郎を突き動かすものであるといえるでしょうか。
 話の組み立てとしては、卵が先か鶏が先かわかりませんが、それが今回も、“超人としての能力を失った時”に描かれるのは、興味深いところ。
 執拗に崖を登ったり滝を登る事を考えると、五郎が人と超人の狭間で困難な試練を乗り越えていく先に、己自身を見出す意図かとは思われますが。
 辛うじて村(村……? とか、労働力として男手だけ連れ去られてそのまま放置されている母娘とか、描写は話の都合優先でだいぶざっくり)まで辿り着いた五郎は完全に意識を失うが、母娘に助けられて紫色の顔から回復すると、力を振り絞って剛力招来。
 サナギマンに変転(と、今回から表現)すると、帝国兵の攻撃、そしてトゲバンバラの毒のトゲを受けていい感じにゲージを貯めて超力招来!
 「自由の戦士! イナズマン!」
 虹のかかった滝の上に甦ったイナズマンは雷神号を召喚し、トゲバンバラの放つ巨大トゲと空中戦を展開した末、バルカンでまとめて破壊。先程までの復讐とばかりに帝国兵を空中から追い散らすと逃げ腰となったトゲバンバラに稲妻落としを叩き込み、新人類をチェストするのであった。
 次回――五郎vs五郎!