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シークレット・カクレンジャー

忍者戦隊カクレンジャー』感想・第1話

◆第1話「忍者でござる」◆ (監督:小林義明 脚本:杉村升
 東映ヒーロー全体では『仮面の忍者赤影』『忍者キャプター』『世界忍者戦ジライヤ』などの作品があり、《スーパー戦隊》シリーズにおいては個人単位でダイナブラックやイエローマスクが強い存在感を放っていた「忍者」が、とうとうシリーズ史上初のメインモチーフに!
 血で血を洗う戦国の世、群雄割拠する時代の影で、5人の忍者が妖怪忍者(とりあえず「忍者」つけておけばなんとかなる気がするメソッド)のボス・ぬらりひょんを封じた事により、妖怪たちが妖気を失って久しい科学文明の現代――猿飛佐助と霧隠才蔵の子孫であるサスケとサイゾウは、とある顛末から、その扉の封印を開いてしまう……。
 謎の男の報酬につられ、不気味な島に上陸したサスケとサイゾウを待ち受ける、晴れ着姿の少女や狐面の子供達が実に小林演出で、第1話の印象としては、総じて小林監督の味付けが強め。
 少女に翻弄されながら島を彷徨うサスケとサイゾウは、突如として仮面の忍者軍団の襲撃を受け、ドタバタ風味で逃げ回っている内に巨大な扉の封印を開いた事で、内部に封じられていた莫大な妖気が此の世に解放されてしまう。
 「力が、みなぎるぞーーー!」
 サスケとサイゾウをそそのかした男は、妖気を浴びると妖怪カッパに変じ、次々と世に解き放たれる妖怪忍者たち。
 カッパの妖術を受けるやいきなり地下鉄のホームに転がったサスケとサイゾウは、アズキアライやヌリカベ、モクモクレンといった妖怪忍者に次々と襲われた末、島でも姿を見せた着物姿の謎の男・三太夫によりススキ野原に吹っ飛ばされると、
 「24代目、鶴姫参上!」
 から、いきなりなじられました。
 ちょっときつめの女の子、として登場した鶴姫様を評するサイゾウの「ハクいじゃん」には大変時代を感じますが、サイゾウは、忍者と同時にヤンキーブームの末裔なのか。
 ササコンビはは鶴姫に促されるまま、地面に突き刺さった刀を引き抜き、忍者の子孫として覚醒。
 するといきなり、背後の城が人型の巨大ロボになった!
 OP映像から、頭部が折り鶴が大きなインパクトだった巨大ロボですが、城郭をモチーフとして取りこんだデザインは「無敵将軍」の名前負けしない格好良さ。
 3人は無敵将軍の中から飛び出した先祖の霊より、印籠モチーフ(?)のドロンチェンジャーを受け取り、
 「戦いの時は来た! おまえたちは今こそカクレンジャーとなる。鶴姫を助け、妖怪たちをことごとく倒すのだ」
 「よいか、毎朝髭を剃り、歯を磨け」
 「「「「「頼んだぞ」」」」」
 カッパ軍団の襲来に対し、赤白青のカクレンジャーへと、スーパー変化。
 「ニンジャホワイト――鶴姫!」
 「ニンジャブルー――サイゾウ!」
 「ニンジャレッド――サスケ!」
 「「「忍者戦隊・カクレンジャー!」」」
 「オンサラバ、妖魔退散!」
 『ジュウレンジャー』から続く、力強く自らの名前を加えるタイプの名乗りで、OP映像では序列2番目に入り、初の名乗りではセンターに立った白が、ムンクの『叫び』顔で水色タイツの妖怪忍者戦闘員をばったばったと薙ぎ払うと、アメコミ風の擬音が画面に入る演出が特色。
 これをぼんやり見守っていた素人2人はカッパの攻撃を受け、秘剣カクレ丸を引き抜いて応戦するも苦戦し追い詰められた所で、大獣神会長の系譜なのか、背後に立っていた無敵将軍が掟破りの自分で動いていきなり必殺剣を放つが、これをかわしたカッパの元に新たな妖怪が飛んできて、つづく。
 OPは戦隊シリーズとしては珍しいスローめのテンポの主題歌で、ブラックホールに消えた奴が居る……??? でしたが、EDはEDで大量のムンク戦闘員によるダンスに途中から妖怪も加わり、終わり間際に乗り物付きでやっと出てきたカクレンジャーから慌てて逃げる戦闘員に最後までスポットが当たる変化球。
 前作に続き、今時の若者が(血の因縁があるらしいが)よくわからないまま成り行き気味に変身する“半人前ヒーロー”が押し出される路線となり、尺の短さを「第1話では3人まで」でカバーしつつ、『ジュウレンジャー』型(鶴姫様)と『ダイレンジャー』型(サスケ・サイゾウ)を組み合わせた形のチームスタート。
 作劇として最大の特徴は、冒頭から進行役を務める講釈師が登場しては、物語の外側から随時情報を補強するメタ構造なのですが、それによって話の進行がたびたび切断されるのに加え、「血をもって血で洗っちゃう(中略)どうやって洗うんだ」「オムライスだよオムライス」「(カッパは)女の人のお尻を触るのが大好きというおじさんも大好きであります」など、立て板に水で喋りながら洒落やツッコミを入れてくるのが個人的には凄くノイズで、非常に入ってきにくい第1話でありました。
 ……まあ、「妖怪どもは妖気を失い陰気になっちゃった」は面白かったので、その内この作りとテンポに慣れてくるかもですが。
 ただ、ルールは自分で作る感じの無敵将軍は非常に格好良かったです。