東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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思ったより筋肉路線

イナズマン』感想・第3話

◆第3話「黒い死を呼ぶ ファントム地獄!」◆ (監督:田口勝彦 脚本:高久進
 注目は、藤波博士邸に飾られた西洋鎧。
 そして、投げつけられるとバンバラ怪人を貫く槍。
 70年代東映特撮名物、カジュアルに壁にかかっている猟銃ばりの殺傷力です。
 冒頭、背中のプロペラで強風を起こし、高層ビルさえ飴のように曲げてしまうコブバンバラ。その映像を見せつけられる博士と助手の背後にもコブバンバラが居て、活躍予想図を見せているのか、過去の記録映像を見せているのか、いまいち判然とせず。
 話の流れとしては、掴みに凄いぞコブバンバラ!の脅威を見せてから、その能力を活かした恐怖の作戦を……が自然なのですが、場面転換と時制の錯綜によって、エピソードの焦点となる筈の「バンバ細菌」の扱いもなんだかふわっとしてしまう事に。
 コブバンバラを強化する為のバンバ細菌を作らされていた藤波博士がアジトから逃走するも、帝国兵に囲まれて袋だたきに遭っていたところに渡五郎が助けに入り……轢いた!
 いったいこの一週間の間に何があったのか、雷神号で帝国兵を躊躇無く轢き殺してヒーローのイニシエーションを達成した渡五郎は、剛力招来サナギマンに変身すると、次々と岩を放り投げ、帝国兵をチェストぉ!
 雷神号の飛行ギミックが描かれて五郎は救出した博士を屋敷へと送り届け、私服だ……! 普通の……! 良かった……!
 細菌テロによる人類皆殺しを目論み藤波家を襲撃するコブバンバラに対して、見ていてちょっと引くぐらいの勢いでサナギマンは顔面にパンチを叩き込み……これ、元々はコブバンバラのプロペラ能力でバンバ細菌を日本全国(ひとまずは東京都下)にばらまく作戦の予定が、制作中に紆余曲折あって、怪人の能力がプロペラと口から溶解液(細菌?)に分離した結果、バンバ細菌がコブバンバラ用エナジードリンクみたいな扱いになったのではとの疑念も生じます。
 コブバンバラを退けた五郎は、藤波博士と共にバンバ細菌を少年同盟のアジトに秘匿しようとするが、帝国兵が読唇術を駆使して追撃部隊を送り込み、丸目は普通に少年同盟と接触し、新人類との戦いも認識している事が判明するが、今回はいいところなく気絶。
 五郎は本日3回目の剛力招来を見せる忙しい展開で、Aパートの内に3回の変身はさすがに少々安売り感はあり。
 博士は少年同盟の秘密金庫室に閉じ込められてコブバンバラに襲われ、実際に銀行の貸金庫でも撮影に借りたのか臨場感のある映像なのですが、その内部にコブバンバラに入り込まれている時点で、色々と駄目なのではないか少年同盟(笑) そして何故、アジトの同盟員は自分たちの金庫を開けられないのか。一体どんなヤバいブツを隠しているのかキャプテン・サラー!
 サナギマンが超能力……ではなく超筋肉で金庫の扉を開いて博士は救出されるが、今度は、博士の娘・ルミ(演じるはお馴染み斉藤浩子さん)がさらわれてしまい、
 「あのぬいぐるみの中には本物のバンバ細菌が入ってたんだ!」
 娘の大事なぬいぐるみの腹をかっさばいて細菌入りカプセルを仕込む博士が、実に東映マッドサイエンティストです(笑)
 五郎は「スパーク!」で空中一回転すると同盟コスチュームに早変わりする技能(能力?)を披露すると雷神号で追跡し、本日4回目の剛力招来からサナギマンアイでさらわれたルミちゃん……ではなくぬいぐるみをズームアップ。
 「バンバ細菌が見つかる!」
 ……建前でもいいから、まずは人質の安全を心配して下さい!
 岩に続いてドラム缶を投げ落とし、筋肉のアピールに余念の無いサナギマンは無事にルミを助け出すが、コブバンバラは既にバンバ細菌を手にしており、それを飲み込む事により、そのパワーは一気に百万倍!(※個人の感想です)
 サナギマンがイナズマンへと変態すると、コブバンバラは背中のプロペラを広げ、崩れた顔のデザインからも、いわゆるせむし男がモチーフなのでしょうが、背中のコブの中に隠されたプロペラが展開するギミックは面白い一方で、超能力なのか改造人間なのかはあやふやな事に(笑)
 コブバンバラが背中のプロペラで高層ビルを吹き飛ばすと、イナズマンはすかさず、そういうお前をわしゃ食ったの術によりビルを復元し、ミニチュアのビル爆破や、強風により転がる瓦礫やドラム缶など、絵作りの独自路線は今作の面白み。
 高層ビルが大きく傾くと、イナズマンはマフラー稲妻走りにより巨大チェーンを造り出してビルを支え……ちょっと勢い余って、割った(笑)
 強く引っ張りすぎて自分の方に倒れてきたビルを受け止めたイナズマンは逆転チェストで修復し、中の人たちもあら不思議、たちどころに元通り!
 新品同様にピカピカです!
 形勢不利と見て逃げだそうとするコブバンバラの前にイナズマンが回り込んだところでEDテーマが流れ出し、早くも「リターン! チェストチェストチェスト!」が耳について日常生活に支障を来している今日この頃なのですが(※正しくは「ディンダン!」との事)、「強いぞ山も吹っ飛ばす」の歌詞が全く誇張ではなさそうで怖い。
 「私から行くぞ!」
 腕が棒状で格闘に向いていないコブバンバラを適度に痛めつけたイナズマンは、ほぼノーダメージから空中に放り上げて顔面に稲妻ストレートを叩き込んで新人類チェストでごわす!
 藤波父娘は無事に再会を果たし、それを喜ぶ少年同盟は一同整列して謎ポーズを決め、キャプテン・サラーを讃えよ。
 「バラバラバラバラバンバ~……コブバンバラは倒れたが、新人類は無数に居る。そのことをよく覚えておくがよい、イナズマンよ!」
 ボイス繋がりにより同期の某残念な破壊者の魂が乗り移ったのか、帝王バンバの遠吠えタイムでつづき、「バラバラバラバラバンバ~」は、「できるできるできるできる俺~」みたいな自らへの鼓舞なのかもしれません。
 最後のナレーションにより「ファントム軍団」の言葉が出るのですが、未回収に終わったサブタイトルの「ファントム地獄」といい、これが戦闘員ポジションの名前ないし新人類帝国の戦闘部隊名、という事でありましょうか。
 物事の基本は、腕力……!