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超力招来!

イナズマン』感想・第2話

◆第2話「危うし少年同盟! 呪いの水!!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝
 見所は、本格的に猛威を振るう渡五郎の同盟コスチューム。
 排水溝から伸びる奇妙な海藻、トンネルに降り注ぐ謎の雨……あり得ない事が発生するファンタジー風味のホラーが印象的な導入で、トンネルを抜けると突如として海中に沈んだバスの乗員乗客がまとめて水死する、強烈に70年代的な展開。
 ただ一人、少年同盟員の同志・ミドリだけがテレポートで脱出に成功し、海岸で気を失っていたミドリを救ったのは、昼間に街で会うと通報されそうなコスチュームを着込んでしまった渡五郎。
 ……謎のプロテクター部分と、上着の下にワイシャツとネクタイの組み合わせが悪いのではないかと思うわけなのですキャプテンサラー!
 真っ赤な手袋とブーツがどこか仮面ライダー風味の五郎(主なカラーが、黒・赤・銀、の配色も今日見るとなかなか凄い)は、五郎のコスチュームを平然と受け止める丸目と共に少女を病院に運び……病院でも、平然とこのコスチュームでした。
 五郎はミドリ両親の元に事情を知らせに向かい、娘さんが事故に巻き込まれて病院に担ぎ込まれた危急の知らせは、その服装で行っていいものなのか、「よろしかったら私の車にどうぞ」と、その車に乗って病院で向かうのか……!
 場合によってはお父さんがリビングの壁に掛かった猟銃を手に「ふざけているのか!」と弾を込めて戻ってきそうですが、直近の『キカイダー』が(最初はちょっとギョッとしたものの)まがりなりにも一般人で通る服装をしていた事に加えて主人公の顔が同じな為に、少年同盟は公的組織ではない筈だが、この服装はこの世界ではそこまで不審者ではない、と穏やかに受け入れられるようになるまで、やや時間がかかっております。
 娘を心配する両親を雷神号の後部座席に乗せて病院に向かう姿は、もはやシュールの領域に片足を突っ込んでいる一方、その間にミドリの看病を買って出た丸目が、少々騒がしいが弱きを守る気概を持った好漢として描かれているのはホッとするところで、その病室には蛇口を通って水バンバラが出現。
 病院へと急ぐ五郎はバンバラ兵の足止めを受けると生真面目に車を止め、服装ほど常識を捨て切れていないところをみせるのですが、ミドリの両親に化けていたバンバラ兵が後部座席で正体を現して前後を囲まれ……今の今まで完璧に騙せていたのだから、ミドリ確保の為にはこのタイミングで正体を現す必要性は皆無だったと思われ、早くも、新人類帝国の作戦遂行能力に暗雲が立ちこめます。
 「おのれは!」
 「新人類帝国の野望から世界を守る、サナギマン!」
 五郎はすかさず剛力招来し、盛り上がった筋肉のイメージもありそうですが、線状の隆起が幾重にも重なっているのがやはり怪奇ミミズ男風味なサナギマンは帝国兵を蹴散らしていき、超能力の基本は、筋肉……!
 そう、「人はその体を鍛えれば鍛えるほど強くなる。そして人知を越えた力、想像を絶した力を引き出す事が出来るんだ」と、後のオーラパワーおじさんも言っています(※個人の感想です)。
 病室では丸目が水バンバラを相手に必死の抵抗を見せると、すんでのところでサナギマンがダイビング頭突きチェストぉ! で救援に駆けつけ、サナギマンのスーツは目出し。
 海藻類・珊瑚・クラゲ、といった海のモチーフを組み合わせたデザインがなかなか面白い水バンバラの海藻縛りを受けて危機に陥るサナギマンだが、拘束プレイによりMゲージが頂点に達すると、超力招来。
 一方、少女を背負いながら下駄履きで走っていた丸目の足下が、ハッと気がつくと水浸しになっているのは面白い映像で、水バンバラの生み出した忍法・底なし池(まあどうしても、超能力というより、忍術とか妖術の類には見えるのですが……)の中に沈んでいく丸目と少女だが、間一髪、イナズマンの操る雷神号によって救出され、丸目豪作のヒロイン度が上がった♪
 それにしても丸目、五郎@同盟コスチュームとも、サナギマンとも、イナズマンとも、全て普通に会話していますが、既に五郎の活動と変身を知っているのか、単に適当かつ剛胆なだけなのか(笑)
 水バンバラの強烈な水鉄砲を超能力でリターンしたイナズマンは、ひとまずミドリを東南大学の学生寮に匿うよう丸目に指示し、多少バンバラに襲われても死なないだろうと思われているのか、丸目の命に対する扱いが軽い!
 既に新人類帝国の人質とされたミドリの両親の行方を追う内に、学生寮が水バンバラに襲撃されてミドリがさらわれてしまい、急ぎその後を追う渡五郎と雷神号。
 次回予告ではダム決壊の映像に合わせて「おまえの超能力で、日本中を大洪水にするのだ」と帝王バンバがピーアールしていたのに、開始15分以上経っても、ダムの「ダ」の字も出てこないと心配していたところ、さらわれたミドリを追った五郎がダム湖の上で水バンバラの攻撃を受け、水攻めと巨大海藻により橋が崩壊するのは大スペクタクルで、前回今回と、巨大特撮寄りの絵を入れてきて特徴付け。
 ……なお、映像と台詞の合わせ技ですっかりダム破壊作戦のイメージになっていましたが、よくよく予告を確認したら帝王自身は「ダム」について一言も触れていないので、予告詐欺ではありませんでした(笑)
 ミドリを捕らえダムの上に陣取った水バンバラは十字架に磔にした両親を見せつけ、超記憶能力により日本中の少年同盟員の住所氏名を把握しているミドリからメンバーリストを聞き出そうとするのだが、やたら覚悟の決まった両親がそれを制止している間に、駆けつけたサナギマンが超筋力を駆使して両親を救出。
 「おのれー、サナギマン。人類もろとも、沈めてやる」
 サナギマン一人を倒す為に「日本中を大洪水にするのだ」と、予告の文言が拾われるまさかの叙述トリックにより、ダムを決壊させようとする水バンバラだったが、超力招来したイナズマンがダム決壊返しチェスト! により崩れかけたダムを復元する凄まじい能力を見せつけてこれを阻止。
 イナズマンがミドリも奪還すると、水バンバラは最後の力で水竜巻を繰り出してくるが、返し技の達人であるイナズマンの逆転チェストの前に打ち砕かれ、“そういうお前をわしゃ食った”理論により、イナズマンが圧倒的な強さを見せつけてきます。
 最後は、超能力者バトルを表現する意図だったのか、青い背景の空間に入ってスローモーション気味の肉弾戦となり、イナズマンの連続パンチから足で相手の首を締め上げながらの投げ技が炸裂し、新人類チェストーーー!
 イナズマンの活躍により、ミドリ一家は救われ、少年同盟のメンバーリスト流出も防がれ、自転車に乗った同盟員が空飛ぶ雷神号に手を振って、少年少女と明るく交流な今作の方向性をアピールするラストシーンで、つづく。
 現状、凄く面白いというわけではないですが、サイドキックの丸目が好感の持てるキャラ付けなのは良いところ。あと、先週まで見ていた『キカイダー』とは、同時期の特撮ヒーロー作品としても方向性がだいぶ違うので、そこは比較して興味深い立ち上がりでありました。
 渡五郎、実は超能力を使えるミュータントでしたと言われようが、悪のミュータントと同じ異形の存在に変貌しようが、特にこだわりなくさらっと受け入れていて、キカイダー/ジローだったり、放映時期が今作直前のK(『ロボット刑事』)だったりが、アイデンティティ(探し)にこだわっていたのとは正反対で、70年代ヒーローにしても自身のアイデンティティへの興味の薄さが今日的な視点からは一種“つかみ所の無さ”になっていますが、ぼちぼち見ていきたいと思います。