東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

汚れなければ生き残れない

20年ぶりの『龍騎』メモ・第35話

(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第35話「執念」◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子

  • 前回ラストの龍騎サバイブ変身に、「城戸……おまえはいつか、俺と戦うと言ったな。本気だな? ――今すぐ戦え」をかぶせて格好いいBGMで彩るのは痺れる導入で、正攻法の盛り上げ演出で石田監督の腕が光ります。
  • この後、やたら濃い化粧をした島田&浅野が、北岡&吾郎ちゃんを巻き込んでカラオケルームで乱痴気騒ぎに興じるギャグはギャグで入れてきますが。
  • サバイブvsサバイブの激突で、臨場感を出そうとして手持ちカメラみたいな映像を挟んだのは、画質が変わりすぎてかえって没入感を削いでしまって微妙でしたが……これは近年もある問題。
  • グリーンジャイアントを王蛇に蹴り飛ばされたゾルダはミラーワールドから逃走し、背広で全力ダッシュする北岡先生がちょっと面白い(笑)
  • 「ははっ、鬼ごっこがぁ、趣味なのか? 戦えよ。俺はまだ満足してないッ」……迫る生身浅倉に土下座ムーヴで命乞い、と見せて北岡先生は袋小路に罠を仕掛けており、機動隊に取り囲まれる浅倉威……汚い、北岡先生、汚い。
  • 一方、サバイブ同士の戦いは龍騎サバイブのパルプンテによりトリックベントvsトリックベントが発生しており、冒頭の盛り上がりからすると、あからさまに奇をてらってダラッとした空気が出てしまったのは残念。
  • 龍騎サバイブ登場の為の盛り上がりは作ったものの、両者の決着は先に延ばすしかないので当然ではあるのですが、この辺り、主人公は「戦いを止めたい」し「人の命を守りたい(モンスター退治をしたい)」ので、龍騎/真司の見せ場は、VSモンスターで作られても良さそうなのに、物語としては「ライダーバトルをこそ見せたい(求められている)」為に、作品としての需要を満たそうとする程に主人公が望まぬ戦いに駆り立てられるのは、悩ましい作りであり。
  • ナイトはひたすらに恵里への思いを背負って戦い、結局、二人の死闘は引き分けに。
  • 蓮の行動もまた、本質的には“望まぬ戦い”といえるのですが、物語が終盤戦へ向けて加速を始めると共に作品としてのルートも定まってきた感じがあり、それぞれの背負うものの為に“望まぬ戦い”と“望まぬ戦い”が繰り返されるところに「面白さ」を見いだせるかどうか、この辺りから味付けとしてより強くハッキリしてきますが、個人的には苦手方面。
  • 「あいつは……止められないよ。蓮は……きっと最後の瞬間まで戦いをやめない。たとえ無駄でも。……自分が……死ぬとしても」
  • 傷だらけで戻ってきた真司は優衣に語り、ひたすらトーンが暗い。
  • 「――何か別の方法を探す。蓮を止められなくても、ライダーの戦い自体が無くなれば……」
  • しかし、その闇の中に光を見出そうとする真司の姿を描いて空気を反転させるのですが、「真司の光」は「蓮にとっての光」を否定するものであり、真司は確かに「蓮を救おう」とはしているけれど、しかしその中に恵里は入っていないのが厄介かつ、多分ここでは、作劇として意図的に見ないフリをしているところ。
  • 浅倉威は25歳。
  • 獲物を探す蓮は空振りを続け……割といきなりモンスターの気配を追っている真司は、清明院大学において、元・神崎士郎の実験室で何かを研究している香川教授たちと遭遇。
  • 「おまえ達ライダーに死に急いでもらう必要はなくなった」……獲物を探すも空振りを続ける蓮の前には士郎が現れ、強引に戦いを挑んだナイトはクイズタイムベントに惨敗するが、死んだフリ戦法でオーディンを刺殺……?
  • ミラーワールドにはマサカリ担いだ虎のライダーが姿を見せ、デザインは凄く好き。巨大クローとか、ときめきます。
  • 「私たちは知っているんですよ。ミラーワールドを閉じる方法を」……虎のデッキを手にした香川教授は真司に告げ、神崎士郎との対立を仄めかす新たな勢力の登場により、新展開が加速。
  • 協力を申し出る真司だが、早朝から研究室にノックもせずに飛び込んでくるロン毛とか信用できない、と邪険に追い払われ、研究室の3人が、三つの虎のデッキを手にしている、のは面白い引き。
  • とはいえ、教授の言葉に喜ぶ真司にはやはり、恵里の事は頭からすっぽり抜け落ちている感があり、真司はそんなに同時に沢山の事を考えない人物ではあるのですが、真司を嫌な感じに見せない為に、ライダーバトルを止めたら恵里がどうなるかまで真司は考えていない(少なくとも表面上はそこに触れない)、のは少々ズルい作劇。
  • まあ、そこの葛藤まで背負わせると、真司がパンクするのも確実ではあるのですが。