東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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鏡を割らねば生き残れない

20年ぶりの『龍騎』メモ・SP

◆『仮面ライダー龍騎スペシャル[13RIDERS]◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹

  • 本放送時はTV本編の第33話と第34話の間に放映されたおよそ2話分の尺のTVスペシャル。
  • 「城戸……戦ってくれ。俺の……代わりに」……フラミンゴ柄のTシャツを着た真司が、倒れた蓮からデッキを託される、という場面でスタート。
  • 「合わせ鏡が無限の世界を形作るように、現実における運命も一つではない。同じなのは欲望だけ。全ての人間が欲望を背負い、その為に――戦っている。そしてその欲望が背負いきれないほど大きくなった時、人は、ライダーになる。ライダーの戦いが――始まるのだ」
  • 神崎士郎の前口上に続いて、冒頭から物凄く感じの悪い令子さんが登場し、パラレル世界を示す為の掴みかとは思われるのですが、こんなところでも令子さんを容赦なく犠牲にし、相変わらず井上脚本は令子さんに厳しい。
  • 続けて真司が未だOREジャーナルの机の下に寝泊まりしている事でパラレル世界が裏打ちされ、龍騎でさえないまま蜘蛛の怪物によりミラーワールドへと引きずり込まれると、そこに現れたのは 真司ではない別の龍騎
  • 巨大な鏡(色々と予算が無かったのか、布と光でそれっぽく見せようとはしているのですが、正直チープな見せ方)が出現すると、子供の落書きのような絵からモンスターが実体化。
  • モンスターを倒すも深手を負った龍騎(ドラゴン火球を放つ「はいーーー!」の叫び声に、なんか聞き覚えがあると思ったら……(笑))は、ミラーワールドからの帰還手段として真司にデッキを託し、本編とは違う形で真司龍騎が誕生。
  • 真司の前のデッキ所持者に過去ヒーロー俳優をキャスティングしたのは、メタ的な部分も含めて存在感の説得力を補強する意図が見えますが……本編で妙にフィーチャーされていた餃子は、ここを目指した仕込みだったの……?!(榊原役の和田圭市さんが過去に演じた『五世戦隊ダイレンジャー』の天火星・亮は、世界一の餃子を目指す料理人)
  • 力尽き、消滅間際の先代リュウブラザー・榊原からライダー住所録(怖い……)を託された真司は人間世界に戻るや、ツンツン頭のチンピラに絡まれる。
  • 初手から喧嘩腰でデッキをカツアゲしようとしてきた秋山蓮に反発した真司は、ライダーバトルの深い闇へと足を踏み入れてしまう事に…………(これ、真司の平凡な正義感以上に、蓮が、悪いのでは)。
  • 優衣からミラーワールドを閉じるコアミラーの存在を教えられた真司は、榊原の遺志を継いでコアミラーの破壊を決断し、本編に比べて明確な行動指針が真司に与えられる形。
  • 浅倉にライダー脱獄させるやらかしの後、コアミラー破壊に協力してくれそうなライダーを探す真司だが、最初に交渉に向かった高見沢グループの総帥は、だいたいヤクザだった。
  • 高見沢は、「欲望の為に戦う人間はみんなライダー」とうそぶいて真司をせせら笑い、この後の言行もだいたいヤクザ。
  • 恵里を挟んで蓮の旧友とされた手塚は、モンスター退治中に乱入した高見沢ライダー(カメレオン)の能力に翻弄され、特に何もしない内に逆さ脳天落としで殺される酷すぎる扱い。あまりにあまりで、思わず吹き出してしまったレベル。
  • 浅倉を除くガラの悪い人たちがちょこまかと鬱陶しい真司排除の為に手を組む一方で、カニ刑事が真司に協力を申し出る中、突然カードガチャでSSRを引いてサバイブする龍騎、TV本編よりも早い登場なのですが、前年のシャイニング以上のざっくり加減で、驚きの雑さ。
  • ミラーモンスターと戦っていた龍騎シザースに、高見沢組(若頭の高見沢・顧問弁護士の北岡・若い衆の芝浦・客分の秋山)が喧嘩をふっかっけ、もちろん裏切る悪徳警官。手塚の立ち位置で本編との設定違いは見せていたので、この世界のカニはいい人なの? とちょっと思わせてからの裏切りは面白く、SP版でもおいしい立ち位置。
  • ところがそこに真のバトルジャンキー・浅倉威が現れ、強制的に龍騎のなかまになった!
  • 「ミラーワールドに、刑事はいらない」……王蛇登場から約45秒後に、シザース爆死。
  • 龍騎にトドメを刺せ、とナイトに踏み絵を踏ませようとする若頭だが、ナイトはここでもトドメを刺せず、ドスもまともに使えない三下扱いを受けると、時間切れで皆撤収。
  • 真司と蓮は半年間を超圧縮した絆で結ばれると、共に逃亡者になるが、若頭一行に追い詰められた蓮は覚悟を決めて変身し、クライマックスバトルがスタート。
  • そこに次々とライダーが襲来し、本編での扱いがよくわからないのでとりあえず一緒にポーズを取るトラとインパラが、出会い頭の衝突事故みたいな事に。
  • 劇場版(今作放映より一ヶ月ほど前より公開)のライダー達も登場し、始まるライダー闇鍋バトル。
  • 龍騎をかばったナイトがカメレオン脳天落としを食らうも、瀕死の状態からファイナルベントを放ってカメレオンを爆殺し、一応今作の敵役(劇場版ボス的存在)として大きな扱いを受けていたのに、画面の右隅で小さく弾け飛ぶカメレオン、どうしてこんなに雑なのか(笑)
  • よってたかって蹴り転がされていた龍騎は、クイズタイムベント司会者によってデッキを破壊されてしまうが、突然出てきたクモモンスターと他のライダー達が戦っている内に蓮に駆け寄ると、瀕死の蓮からデッキを受け取って、冒頭に接続。
  • 本編リタイア組の中ではここまで生き残っていたガイだが、巨大クモに食い殺される無残な最期を遂げ、カメレオンよりもむしろ目立ちました。
  • コンセプトとして「途中リタイアや劇場版組も含めて、45分弱で13人の仮面ライダーを全員出します」があったのでしょうし、バトルロワイヤルにおける定番の戦法ではあるのですが、クライマックスバトルにおける、龍騎とナイトに対する数の暴力によるリンチシーンが全く面白くなかったのは、作品としては割と致命傷。
  • これは、本編において“真司と蓮が行こうとする道の困難さを示すイメージ”でもあるのでしょうが、今のところ本編では、二人揃って迷い道の真っ最中なので象徴としての機能性も弱め。
  • 真司は受け取ったデッキでナイトに変身するとサバイブし、バイクで他のライダーを轢きながらコアミラーへと突っ込んでいき……(あのミラーを壊せば全ては終わる。……でもいいのか。本当にそれで?……どうすればいいんだ、俺は……)
  • とりあえず目の前に出てきた巨大蜘蛛を轢き殺した真司ナイトは鏡の前でバイクを降り、「俺は戦う! 蓮の代わりに!」と宣言(確かこのクライマックスの決断が、2バージョンある企画でしたか)。
  • 残った7人のライダーに取り囲まれた真司ナイトは、答を探す為に戦い続ける事を選び――
  • 「この結末は悲劇なのか……それともこれで良かったのか。物語はまだ序章に過ぎない。答は、もうひとつの龍騎の物語が教えてくれるだろう」……と30話過ぎまでが序章だったと言い出した神崎士郎が場外に投げ飛ばして、エンド。

 今作限定カメレオンライダーが出てくる、という以外、全く記憶に無かったのですが……最大のインパクトは、酷すぎる手塚の死に方。
 龍騎とナイトがモンスターと戦っている内に敵の強襲を受け、助けを求める間もなく殺されてしまう、という文字にすると悲劇的な状況設定ながら……割とすぐ近くで戦っている・ナイトと龍騎がライア不在を気にする素振りが全く無い・スペシャル悪役にしても相手が凄いぽっと出・透明化からいったん物陰に隠れてナイトをコピーするベルデの姿がだいぶ間抜け・トドメとして地面に脳天から突き刺さって逆立ちの死に様が凄まじく間抜け、と、ベルデの悪を強調するどころか笑えるシーンになってしまい、どうしてそうなった。
 同じ必殺技でナイトも瀕死の重傷を負うわけですが、ダメージには納得できるものの、ホントどうしてその技にしたのか(《必殺!》ぽいとえば、《必殺!》ぽいですが)。
 で、そのベルデはベルデで、瀕死のナイトがファイナルベントを放ったら、背中を向けて無策に逃げた末に断末魔もなく画面の片隅で花火となり、このざっくり加減はいったい……とまあ、そもそも条件が難しく、リアルタイムでの諸々との連動あってこその企画ではあったのでしょうが、後年に単独で見ると、中盤以降の雪崩を打つような雑さ加減が凄く気になる出来でした。