東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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こっちを向いてよジロー

人造人間キカイダー』感想・第23-24話

◆第23話「キイロアリジゴク三兄弟見参!」◆ (監督:永野靖忠 脚本:長坂秀佳
 ロボット工学の若手研究者の芽を摘むため、結婚式を中止に追い込めと命じるプロフェッサー・ギル、「五年越しの恋」への言及は必要だったのか甚だ疑問ですが、何か、嫌な思い出でもあるのかもしれません。
 「殺せ……殺せぃ……殺せーーーーー!!」
 歯を剥き出しにして絶叫するギル、もはや大半のダークロボットより怖い。
 かくしてダークの刺客が白昼堂々と婚約者を襲おうとした所を毎度お馴染みトラブル招き寄せ体質のミツ子とマサルが助けるが、3人まとめて巨大アリジゴクに引きずり込まれたところに響くギターの音色。
 巨大なアンテナ塔のようなところに立ったジローがとうっと飛び降りると、ダークロボット・キイロアリジゴク(エレキングっぽい体表)は捨て台詞を残して撤収し、「結婚式を中止させる為に花嫁を殺す」筈が、「結婚式を中止しないと花嫁を殺す」になって、作戦が一歩後退しているぞ、アリジゴク。
 まあそもそも今回の作戦、「5年越しの恋を実らせて幸せな結婚生活とか手に入れていちゃいちゃしやがって、内助の功で研究がますます捗っていちゃいちゃしやがって、将来、光明寺レベルの才覚を現しいちゃいちゃしやがって、ダークの障害になるに違いないちゃいちゃしやがって!」と多分にプロフェッサーの推測と私怨に基づくものなので、何か、嫌な思い出でもあるのでしょうか。
 狙われる花嫁は、重病で療養中の父親に花嫁姿を見せたい、と病室の窓から見える丘の上で式を挙げる事情を語り、ミツ子さんぽろっと、「結婚できる男の人を、好きに(なって羨ましい)」発言。
 「ミツ子さん、結婚できない男の人を好きに?」
 ……たぶん今、壮絶な誤解が発生しています!
 ウェディングドレスをあててアピールしてきたミツ子さんをガン無視したジローはキイロアリジゴクに襲われ、アリジゴクはハネアリのような姿に変身。更に2体のキイロアリジゴクが現れ、〔角あり・角無し羽あり・角あり羽あり目なし〕の三兄弟が一挙投入されるちょっと豪華な展開で、ロケット角の直撃を受けて不覚を取るキカイダー
 キカイダー串刺しの衝撃映像から暢気にハイキング中の半平視点に切り替わると、どういうわけか普通に戦っていたキカイダーだが、周到に準備された対キカイダーのアルファベット作戦(残念ながら、音質の問題で個々に何を言っているのかはよく聞き取れず)により次々と能力を封じられた末にドロドロに溶かされてしまったところで、ハイ、プロフェッサー向けの予行演習でした!
 本物のキカイダーは、体に真っ黄色の角が突き刺さったままミツ子らと合流するこれまた衝撃映像で、あまりに平然と現れるので、一瞬ミツ子さんがスルーしてしまうのが、妙なリアリティを生んでいます(笑)
 「痛みは?」
 「痛くはないが、気のせいか、動きが少し鈍ってきた気がする」
 万力を使って巨大な角を引き抜くと応急処置を施したミツ子はジローに頬を寄せ、今回はアタックが激しいのですが、今見ると確かにこれは、三枝かおる系女子……!(笑)
 もっとも、立ち上がりはジローの方がミツ子の方を意識していて、ミツ子の方は「貴男の事は小さな歯車の頃から知っているのに、急に色気づいちゃってどうしたのよジロー」みたいな感じだったので、多分に過程をすっ飛ばし気味ではありますが、毎度置いてきぼりにする事でエンカウントと「命を救う」イベントを繰り返して好感度上昇を積み重ねた結果だと思えば、策士、策士なりジロー……!……?
 今回、ジローが常以上に非人間的な損傷と反応を見せるのはこの抱擁場面の布石であったようですが、アンドロイドマンの影が病院に近づく中、迎える結婚式当日――飛行機が遅れているのか肝心の新郎が姿を見せない中、病室から式を楽しみにしている花嫁の父(心臓が弱い)にショックを与えない為に花婿の代役を務める、と言い出すジロー。
 マシンの自分より人間の命が大事だ! と人間を守る為には身代わりを辞さない姿を機械のヒーローらしく示そうとはしているのですが、その為なら花嫁父を欺く事もいとわない、人の心も見失い加減。
 そこは非人間的でなくてもいいのよジロー!
 式を挙げる丘の上はダークに囲まれている筈、と命の危険を回避する為と言い聞かせて、偽装花婿作戦の理由を補強するも、いざ式が始まると、介添えの子供が2人ついている、のですが(笑)
 トドメに顔を隠した花嫁の正体は、ここまで散々アピールしてきたミツ子さん……どころかよりにもよって半平で、カムバック・人の心。
 「では貴様達には死んでもらう!!」
 心配する気にもならなかった立ち合いの神父は勿論アリジゴクの変装なのですが(結婚式を強行しようとした事ですり替わりの為に事前に殺害されたとすると、とんだ巻き添えですが……)、ジローと半平、双方の顔を確認した上で計画通りとばかりに殺害を決行しようとし、プロフェッサーの私怨の入った説明が長すぎたせいで、作戦の目的を正確に把握できていないのでは。
 恐らく後々ハニートラップにより心の隙間に忍び込む段取りの花婿は殺さない予定だった筈なのですが、それさえも混迷の彼方に置き去りにされており、話のつじつまと人の心が錯乱状態。
 実は花嫁の父が病室から見ていたのは正反対にある丘で、そこでは滞りなく結婚式が行われていた! と驚愕の物理トリックが明かされるような事もないまま戦いに突入したところで吹き鳴らされるギルの笛。
 だがアリジゴク三兄弟の散布した化学物質がジローの機能低下 → 聴覚の遮断を招いた事で、チェンジ成功。
 上司との意思疎通が不十分だったアリジゴクAは雑に大車輪投げで始末され、渾身のアルファベット作戦は、事前に全てを目撃していた半平にギャグで妨害され、ひ・ど・い。
 アリジゴクBはデンジエンド、アリジゴクCはダブルチョップ・回転アタック・大車輪投げそしてデンジエンドのフルコースで始末され、悪は滅びた。
 改めて丘の上で結婚式が挙げられると、純粋に飛行機が遅れていた花婿――若く有望なロボット工学者――の手によりジローの修理とメンテナンスが行われてそんなところはきっちり拾われ、なんだか面倒くさい女になってきたミツ子さんから逃げるように走り去るジローは征く、果てしない戦いの道を。
 次回――桃色アンドロイドマン出現。

◆第24話「魔性の女??モモイロアルマジロ」◆ (監督:永野靖忠 脚本:島津昇弌)
 峠に仁王立ちする、ピンクのレオタード風の衣装を着た女がくるくるくると腰を振るのを見せつけてくる面妖なシーンから始まり、女はダークロボット・モモイロアルマジロへと変身。
 球状になったアルマジロが高笑いしながら斜面を転がってトラックにぶつかると、トラックは哀れ崖下へ転落し、窓から放り出された運転手が、ちょうどアルマジロの足下に転がってくるのが、凄い(笑)
 アジトに運び込まれた運転手は洗脳改造手術を受け、これぞダークの新たなる人間社会支配作戦!
 アンドロイドの性能実験の為に温泉街一つ丸々で人間狩りを行うダークの姿はどこへ行ってしまったのか?! 新兵器の開発の為に山村を壊滅させるダークの姿は遠い日の幻なのか?!
 実験体の確保手段に疑問は山ほど浮かびますが、ダークは社会構造レベルから、世界征服を真面目に目指しています!
 標的を求めて観光地に繰り出したアルマジロ女は、ミツ子とマサルにバッタリ出会うと、いきなり作戦変更を指示され、吊り橋で2人をさらおうとするが、そこに現れるジロー。
 桃色タイツのアンドロイドウーマンを蹴散らし、ミツ子らを逃がすジローだが、吊り橋の上に巨大な桃色の球を転がすというまさかの映像により、アルマジロボールの直撃を受けて盛大に吊り橋から転落し…………余談ですが、こういった落下シーンに際して、人形などはしっかり回収されているのか、割と気になります(笑)
 逃走中のマサルは高熱を出して倒れたところを通りすがりの医師に助けられ、キカイダーを葬ったつもりのアルマジロ女は繁華街で獲物を物色し、まんまと引っかかった半平が洗脳改造を受ける一幕から、アルマジロのアジトでは、アンドロイドウーマンが洗脳した男たちをかしずかせていた。
 「いかん、どうもいかん……」
 あれなんか、予算の割り当て間違えた……? と眉間の皺を深くするギルは、洗脳改造の質を上げる為に八木という医師を狙い、それこそミツ子とマサルを救った人物であった。
 「私は倒されない。ダークが滅びる日まで」
 八木とミツ子に危機が迫ると、何事も無かったかのようにジローが復活し、随分と奇妙な頭部形状の桃色アルマジロですが……これ、シミュラクラ的に鼻のように見せているパーツは尻尾モチーフで、つまり……顔=尻……?
 結果的に、他になかなか類例を見そうにないデザインとはなっていますが、どうしてヒーロー作品の怪人に、飲み屋で接待されている時に思いつきましたみたいな発想を送り込んでくるのか『キカイダー』。
 八木娘を人質に取られたキカイダーは、何かとアピールしてくる“5センチの鉄板を貫く右手”に狙われるが、ちょっと戦っていると人質を忘れる事には定評があるので強烈なドロップキックを鳩尾に叩き込み、たまらずアルマジロは崖崩れを起こして逃走(回転能力を活かしつつ追撃を封じる手段として、ここは良かった)。
 改めて八木娘の救出に向かったキカイダーを待ち受ける吊り橋トラップだが、例の如く例のようにその爆発音がギルの笛の音をかき消した隙にスイッチオン!
 八木娘を取り戻されたアルマジロは切り札として、洗脳人間軍団にミサイルを背負わせた人間ミサイル作戦を決行し、何かの拍子に、キカイダーの闘争本能がスイッチオン! しそうで凄くドキドキします(笑)
 幸い最後まで理性が保たれ、次々と洗脳人間を気絶させたキカイダーは、いよいよアルマジロと一騎打ち。
 戦いに敗れたアルマジロは、誇り高き女は自ら死を選ぶ、とデンジエンドを拒絶してアジトへ戻り、最後に自らの美しさを鏡で確認しようするのだが、全身傷だらけで顔も醜く歪んだ己の姿に絶望するとアジトごとド派手な自爆を遂げ、もう、女性型ダークロボットはやめようかな……と心の底から思うプロフェッサー・ギルであった。
 被害にあった人々は、アジトの崩壊と共に洗脳から解放されてめでたしめでたし、となるのですが、明らかに体内に何か埋め込まれているので、『キカイダー』世界の倫理観が改めて問われます。