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タヌキより始めよ

仮面ライダーギーツ』感想・第8話

◆第8話「邂逅7:切り札ニンジャ」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:高橋悠也
 え、桜井モノローグ、ずっと自分の顔見ながら収録しているの……?!
 という事は、後で振り返ろうと再生した場合、ずっと自分の顔を見ながら聞き続けるの……?!
 凄い精神力だな?!
 今初めて、桜井景和をちょっと凄い奴かもと思いました!!
 そこに姉からの着信があって、姉がサボテンゲームに巻き込まれた事を知る、というのは勢いがついて良いアバンタイトルでした。
 ゲームが始まると、姉の危機を救う為に桜井がダッシュ変身するのは今作にしては格好良く決まり、偶然タヌキコアに触れてしまう桜井姉、これは次回参加者に選ばれる流れか? と思いきや、両親がジャマトの犠牲になって死亡した記憶を思い出す。
 「ジャマトが? ……父さんと母さんを?」
 復活しなかった一般犠牲者という事は、サボテンジャマトのみならず、ゲームーオーバーを迎えたデザイアグランプリが過去に何度かあったのかと思われますが(ただし、エースの言行や、世界の作り替えを考えると、今作世界の時系列が一直線とは限りませんが……)、桜井姉はジャマト兵にさらわれ、ニンジャギーツは失点覚悟でニンジャバックルを奪おうとするゾンビバッファに襲われている内に、ラスボスは姿を消して、またもインターバル。
 姉を救いたい一心で共同戦線を持ちかける桜井だが、ゲームの勝利を譲るわけにはいかない、と道長どころかネオンにも拒否されてしまい、基本、最終戦で全滅を誘発しやすいルールになっていますが、DGP運営の裏は、上手く繋がっていってほしいところ。
 「誰も間違っていない。……――世界の為に自ら犠牲になろうとする奴なんて、そうはいない」
 「自分さえ良ければ、他の人が犠牲になってもいいっていうのか?!」
 「その言葉、そっくりお返しする。自分の姉さえ守れれば、自分たちさえ幸せなら、誰かが幸せになれなくてもかまわないというのか。……誰よりも傲慢なのはおまえの方じゃないのか?」
 “世界の為に自ら犠牲になる事をいとわない存在”と典型的なヒーローテーゼを取り上げつつ、誰かにそんなヒーローである事を強いるのは正しくないと桜井を一刀両断するのは、エース様の筋が通っていて良かったです。
 「かなえたい事があるなら――戦え。それしかない」
 現在配信で視聴中な事や、スタッフの意識はありそうな事から、どうしても『龍騎』の残像はちらついてしまうキーワードですが、序盤の山場においてそこに、ヒーローを求めるなら何よりまず自分がそうあれ、と意味を乗せてきたのも、良かったところ。
 「………………わかった」
 そして再びサボテンボスが出現し、アローブーストしたタヌキは声を張り上げて自ら超巨大サボテンの注意を引きつけると、ブースト逃走……て、あれ?
 何故かブーストバックルを再び使えているのですが、前回、アイテム欄からの逃走を阻止するようなアクションがあったか覚えがなく、もしそういうアクションを入れていたなら、(ここまでのセオリー外しであるので)どうにこうにか回想シーンは挟んでおいて欲しかったところ。
 「何してんの?!」
 「自分が囮になる気か」
 「どこまでもお人好しなやつだ。……なら望み通り、俺が終わらせる」
 ところがギーツはバックルに拒絶され……これがスマートブレイン製だったら、海老反りで思い切り後方に吹き飛ぶところでしたねエース様!!
 「どうやらニンジャバックルが共鳴したみたいだな。目的を果たすためなら、自己犠牲もいとわない、タイクーンの忍びの心に」
 自力救済を唱えるなど、どうも室町脳なエース様、その忍び概念、忠節を尽くす主君とか、後を託す仲間とか居てこそでは……とは思うのですが、とにもかくにもギーツの手を飛び出したニンジャバックルがタヌキの窮地を救って緑と緑でニンジャタイクーンが誕生し、適性Aのバックルを装着する事により胸部装甲が増加、顔のクラッシャー部分が明確になって眼が赤くなると、とても仮面ライダー顔(2号顔……?)になるデザインは、成る程。
 今作ここまでで、一番感嘆しました。
 誰かを救う為に戦う一歩を踏み出すのは、まず自分――桜島魂に目覚めたタヌキはニンジャそしてブーストによる高速移動でサボテンの体表を駆け上がると、ライダー忍法・ポンポコ手裏剣の舞いから、渾身のライダータヌキックを打ち込んで囚われの人々を解放。
 そして最後に缶を蹴ったのは――…………?
 確かにエナジー缶をフィールド外に飛ばした筈なのに何故かゲームが終わらないまま、満身創痍の桜井が合流し、注目は、思わず駆け寄ろうと一歩出てしまう道長ーーー!
 なお、ネオンは3歩ほど、エース様は微動だにしませんでした。
 傷だらけの桜井は姉との再会を無事に果たし、折り紙の手裏剣の伏線も回収されるが、ダメージの大きさにより運営からドクターストップがかかって仮面ライダー脱落処分となり……ジャマーフィールドより消失。
 「彼は、仮面ライダー失格となりました」
 シーズン1の最後は、キツネと見せて最後をタヌキが持っていく可能性も考えてはいたのですが、最終決戦を前に先んじて「ヒーロー」となったタヌキが脱落するという形に……ここまでの今作では割と面白かったですが、やはり、「強敵とその打破」はヒーローフィクションの面白さとして重要だと思う部分です。そしてそこにきっちりと、桜井のヒーローとしての飛躍を重ねてくれたのが良かったところ。
 サボテンボスは、頭頂部から二つの馬の頭が突き出しているグロテスクさなども、秀逸なデザインでした。
 「後は任せろ――タイクーン。こんな世界、俺が終わらせる」
 英寿は桜井の残したニンジャバックルを手に宣言し、今後この、「ヒーローになると脱落する」パターンが繰り返されるとちょっと嫌なので不安材料とはなりますが、次回――今度こそ、最終決戦!(の筈)