東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

壺を買わねば生き残れない

20年ぶりの『龍騎』メモ・第13-14話

(※サブタイトルは本編中に存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第13話「辻占」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子

  • バイクの移動シーンで色々遊ぶ演出陣。
  • 「俺の占いは当たる」……恋人の為に戦う事を選びながら、非情に徹しきれない己に迷える蓮の前に姿を見せる、エイのカードデッキを持った占い師。
  • 道ばたで「早くて半年で破滅」と女性を占っていたので、「だがそんな破滅の運命も、これを買えば回避する事ができる!」と壺を出してきたらどうしようかとドキドキしたのですが、破滅を回避する為の真摯なアドバイスを送り、なんだか、いい人そう。
  • 5人目の仮面ライダーは、「俺はライダーの運命を変えようと思っている」と神崎士郎の思惑を破壊する意志を明言。個人的に、「運命と戦う意志を持っているか否か」はヒーローフィクションの大きなポイントだと思っているのでするが、2クール目早々に、直球でそこに切り込む新キャラが登場し、作品に大きな一石を投じてきた印象。
  • 失踪事件と関係ありそうな都市伝説の調査に向かった真司と令子は、隣り合ったエレベーターでそれぞれ、真司は吾郎ちゃん、令子は北岡弁護士と乗り合わせる事に。
  • 「ふぅん、結構俺の事しらべてるんだ」「経歴を暗唱できるぐらいにはね」……軽口を叩いていたら、思ったよりこの女ヤバい……? という顔になる北岡(笑)
  • 真司の元には優衣ちゃんから電話が入り、「あの緑色の奴と?」「うん。確か、ゾルダっていうの」……突然、優衣ちゃんが呼んだ(笑)
  • 優衣は蓮から聞いたと言っているので、蓮が先日の戦いでステータスをチェックし、名前を優衣に伝えた、という事でしょうか……? やはり基本、小林脚本回ではライダーの名前をさくさく出す路線……なのかと思いきや、今回後半登場のエイのライダーはなかなか呼んでくれなかったり。
  • ゾルダの正体は、あの弁護士の……」秘書の方?! と誤解が発生し、吾郎ちゃんに的外れの《説得》を始める真司。エレベーターの使い方といい情報の誤伝達といい、小林脚本というよりも井上脚本テイストな感じですが、今改めて見ると、『アギト』の流れを継承する意識が結構強いな、と。
  • 前半、良くいえば丁寧、悪くいえば地味、な展開が続き、今日的な目で見るとさすがに話の起伏に欠けるのですが、グループの違うキャラとキャラが絡み始めてからグッと面白くなり、会話の妙味は時代を超えてきます。
  • 近作は近作で少々テンポ速すぎではと思う一方、今作は今作で冗長に感じる分は少なからずあって、時代の差を感じるところですが……そういう意味ではやはり、80年代後半の《スーパー戦隊》は、尺の短さという絶対的前提があったにせよ、ちょっとした異常進化めいているなと。
  • 「しかしどうよ……あのひねりの無さ加減。人を守るだってさ。はっ、意味わかってんのかね? ああいうのが一番つまらない人間だよ」……真司の言葉を聞いた北岡さんが、大変いい表情。
  • ミラーモンスターの気配に気付いた真司はエレベーターに乗り込み、「上へ参ります」の案内に合わせて吊り上げられていく被害者や、エレベーター内部での変身からカット変わると反転している表示板など、面白い演出。
  • 一方、恋人への想いを胸に改めて馴れ合いを断固拒否したい蓮は占い師と激突し、エイのライダー、は今見ても面白い落とし込み。
  • 喧嘩っ早いがそこまで強くない事に定評のあるナイトはエイライダーに蹴り転がされ、乗ってけ占いサーフィンに手心を加えて軽くひっかけられる屈辱を受けると、負傷した体で必殺ベントを放とうとするのだが……。
  • 龍騎はミラーワールドでモンスターに立ち向かい、ヒーロー物の一線を守ってくれる真司。
  • メガネザル(アイアイ?)のミラーモンスター、尻尾が拳銃になっているのは面白いギミック。確認の為に検索したら、モチーフと思われる動物の顔が、普通にちょっと怖かったです、ハイ。
  • ゾルダの乱入を受け、大砲とミサイルに追い詰められた龍騎は無我夢中でドラゴン大火球を放ち、直撃弾が足下の火薬に誘爆してゾルダ蒸発?! 初めてのキルマーク?! で、つづく。

◆第14話「奸計」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子

  • ミラーワールドから帰還した真司の前で、吾郎ちゃん死亡シーンを熱く演じる北岡……北岡……!(笑)
  • 死んだフリ長いな、吾郎ちゃん……。
  • 「綺麗事で戦っている奴は自分の手が汚れると脆いよ。あいつ……もう終わりかもね」……絶叫する真司の殺人に対するショックを描くだけではなく、それを仕掛ける側も一押し入れてくるのが、巧い。
  • 記者会見から締めだした令子に、巨大な顔写真パネルを送りつける北岡……北岡……!(笑)
  • 今回はこの、北岡フィーバーだけで満足度だいぶ高い(笑)
  • 戦いを知らないと言われ続けてきた真司が、命の重さを知らないと蓮の急所を突く、痛烈なクロスカウンター。
  • 北岡の悪辣な死亡詐欺に気付いた蓮は、令子の協力を取り付けて北岡を罠にはめ、ゾルダを殺していない事を知った真司、復活。
  • 「確かにこいつはバカだが、俺やおまえよりマシな人間かもな」
  • ミラーメガネザルに襲われた人を助けた真司が、完全に吹っ切れたわけではなく、変身をわずかに躊躇うのは、良かった。
  • だがそれでも、再び鏡の世界へ飛び込んでいく真司。
  • 「蓮……俺、決めたからな。絶対、ライダー同士の戦いを止める」「やりたきゃやってみろ。だが……俺は……」
  • 真司と蓮は、序盤どうしても、成り行きでなぁなぁ気味に共同戦線を取っていくしかない部分はあったのですが、そこから10数話の末に、真司には真司の“強さ”がある事を認めた蓮が、仮面ライダーとしてはいずれ戦うしかないが、人間としては真司を好きになっている……のが見えてきて、見る側の心をきつく揺さぶってきます。
  • この辺りで真司の、愚かさと表裏一体の善良さが、強さを支えるものとして確立してきた感じ。
  • 第10話までは終始状況を支配していたゾルダ北岡が一本取られる事でバランスが調整されて、つづく。