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大事な大事な説明書

仮面ライダーエグゼイド』感想・第44話

◆第44話「最期のsmile」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也
 「人類よ。心ゆくまで楽しむがいい。永遠なるゲームを」
 随分と用意されていた雑魚バグスターマスクにより大規模なゲーム病パンデミックが描き出され、花柄で識別される貴利矢。
 「俺たちも戦うしかない。……命を救う為に」
 「……待って。……私たちバグスターにしか、出来ない事がある」
 何かを決意したポピ子がエグゼイドの元へ向かう一方、雑魚バグスターをなぎ払おうとする黒ゼイドの前に、やたら喋り方の軽いビルドが乱入し、正真正銘クライマックスバトルの真っ最中に次作主人公を顔出し出演させて下さい、のオーダーは、率直に言って地獄だな、とつくづく。
 黒ゼイドをエグゼイドと勘違いしているビルド、ゲンムのこの姿からしてメタな都合満載ですが、大変軽い調子で、
 「君の成分を、貰いに来たよ」
 と告げるのは、物凄く悪い意味で戦兎さんっぽいですね……。
 そしてゴリラパンチで黒ゲンムを殴り殺し、
 「あ、ごめん! ……あれ? ……死んじゃった?」
 も、大変悪い意味で戦兎さん全開になっており、今見ると、あまりにも的確に『ビルド』すぎて戦慄します。
 エグゼイドの持つ対ゲムデウスワクチンガシャットを手にしたポッピーは、自らそれと一体化することによって、存在の消滅と引き替えに全ての人々にワクチンを行き渡らせると言い出し、相変わらずですが、何故それができるのか? の根拠も理屈も完全に行方不明で、特大のクエスチョンマークが脳裏を飛び回ります。
 そういうものだから、で納得してほしい部分なのでしょうが、そこの相性もまた、つくづく合わないなと……。
 「ずっと思ってたんだ。……いつか、こんな日が来るって。患者の命を脅かし続けたバグスターは、いつか死滅しなければならない。それがバグスターの……私たちの運命だから」
 正宗が好んで使い、永夢が変えようとしてきた「運命」という言葉のチョイスからも、恐らく、最終回でひっくり返すの前提だとは思いますが、ポピ子さんがバグスターとしての原罪と精算を語ると、ワクチンガシャットを自らに打ち込み、キラキラしながら消滅。
 対ゲムデウスワクチンとして遍在する存在と化したポッピーは主要メンバーそれぞれにメッセージを送り、パンデミックは収束。
 この5話というもの、
 第40話「リセットだぁぁぁ!!」 → 第41話「無敵セーブだ!!」
 第42話「ゲムデウスの思考ルーチンを弄っていたのだぁぁ!!」 → 「ワクチンガシャットだ!」
 第43話「真のラスボスだぁぁぁ!」 → 正面から殴り倒される
 第44話「運命のパンデミックだぁ!!」 → ポッピーワクチン
 正宗が、代わる代わるげははははと花火を打ち上げてはCRに速効で消火されるのも何度目なのか、といった具合で、「派手なイベントで引っ張る」「繰り返しへの意識」といった『エグゼイド』的な手法の究極系といえば究極系で、行き着く所まで行ったとはいえるかもしれませんが、こうも短期間に繰り返されれば鮮度が急速に落ちるのも当然で、個人的には畳みかける面白さよりも、一つ一つの重みの不足を感じてしまいました。
 「幻夢コーポレーションを、世界一のゲーム会社にする。そんな絵空事のような、幻にも等しい夢を実現する為に私は、人生の全てを捧げた。幻夢コーポレーションは、私が命を削って築き上げた。私の全てだぁぁぁぁ!! 実現してみせる……私の夢をぉぉ! ははは! うわーははぁ!!」
 正宗は超魔王ゲムデノスへと変貌し、果敢に挑む4ライダーが叩きのめされた時、ポッピーの犠牲を胸に飲み込んで、永夢、参上。
 「攻略法なら――ある」
 永夢が取りだしたのは、昔懐かし初代ガシャット『マイティアクションX』。
 「ゲムデウス……おまえの運命は、俺が変える」
 永夢は敢えて寸胴エグゼイドLV1へと変身するが、それこそが、LV差を超えてゲムデノスに有効打を与える手段なのであった。
 ――「バグスターと患者を分離させるのはLV1じゃなきゃ出来ないの」
 今こそ、ポッピーが教えてくれた、説明書の内容が火を噴く時!!
 デジタルだと正直面倒くさいけど、やっぱり読もう! 説明書!
 檀正宗からゲムデウスを分離する……永夢の狙いに気付いた飛彩たち4人も一斉に初期ガシャットを起動し、寸胴体型へと変身。それぞれのキャッチコピーを口にしながらゲムデノスに立ち向かうも全方位攻撃に倒れるが、飛び込んできたパラドクスが身を挺して下半身ソードを食い止めると、寸胴ライダーズは一斉に必殺技を放ち、ゲムデノスに突き刺さる五つのライダーキック。
 「……これで少しは……償えたか」
 「パラド……」
 「短い間だったけど……おまえとゲームできて……最高に楽しかったぜ…………永夢」
 分離されたゲムデウスは、ワクチンガシャットの利用によりパラドクスが相打ちに持ち込み……最終回1話前にして「バグスター切除手術」の原点に立ち返り、レベルインフレを繰り返してきた今作においてLV1が切り札になる趣向そのものは面白かったですが、その一方でバグスター組が自己犠牲爆弾を立て続けに炸裂させて消滅していくのには心が動かず。
 パラドの場合は、『クロニクル』においてプレイヤーを消滅させた完璧実行犯なので、その復帰が無い場合は因果の報いを受けさせる必要はわかりますが、ポッピーについては「ポッピーはバグスター」である事について作品があまりにも不誠実であり、ここで都合良く「やっぱりバグスター」扱いするなら、最初からずっと丁寧にやるべきだったのでは、と重ねて。
 『クロニクル』消滅プレイヤーをどうするのか、という問題が残っているのでそれ次第ではありますが、上述したように「運命」という言葉の使い方からも、ひっくり返すの前提に見えるのもノりにくく。後、二人の消滅をそのまま受け入れてしまうと、元人間とはいえ、貴利矢はこの世界に存在していていい命なのか? という問題が浮上しますし、黎斗は壺に詰めて宇宙追放ぐらいしないと帳尻が合わなくなりますし……(黎斗はプレイヤー復帰を担って帳尻合わせそうな予感)。
 「……運命はこの私に味方したようだ。パーフェクトノックアウトは完全に消滅し、ハイパームテキは変身能力を失った。ん~? もはやクロノスを攻略するすべは……無い。――君たちの運命は、BAD ENDだ」
 残った正宗は目を爛々と輝かせて嗤い、しつこい油汚れ以外の感想が出てこなくなったところで、次回――最終回。