東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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吸血変態紳士路線

人造人間キカイダー』感想・第8話

◆第8話「カーマインスパイダーが無気味に笑う」◆ (監督:北村秀敏 脚本:長坂秀佳
 縞模様を帽子に見立てているのが洒落たデザインのカーマインスパイダーは血を狙って子供を次々と襲撃し、そこに現れたジローがスイッチオン! ダブルチョップで両手を切断されたスパイダーは逃走し、その光景を何故か、光明寺が見ていた。
 ダークでは全ての人間をダークの命令通りに従わせるXR4号を開発しようとしていたが、その完成には、性格的に無気力な子供の、希少な型の血液が必要であり……
 「ええぃ! 専門的な説明はいらん!」
 芸術点10.00の駄目上司ムーヴを見せたプロフェッサー・ギルはこの後も、監視カメラ付きペンダントをジローに見破られて「えぇ?!」という顔になり……長坂さんは割と、ナチュラルに悪役の格を落とす癖があったりするのでしょうか(笑)
 養護施設で暮らすケンイチ少年の血こそXR4号に求められていたものと判明し、自らその身柄の確保に向かうもジローに見破られたダークのドクター、ジローに拳銃を突きつけても、あまり脅しにはならないような。
 悪いのは貧困だ! ダークを手伝って成り上がるのだ! と世間に憎しみをぶつけるドクターと、スパイダー毒に苦しむケンイチ少年は幼い頃に生き別れた姉弟なのでは? と引き裂かれた肉親の悲劇(真相不明)がウェットなドラマとして挟み込まれ、アンドロイドマンの襲撃を受けてキカイダーが一当たりしている間に、半平と少年は山へと逃げ込む。
 前回の、話のキレはいいが遺族少年は「強く生きろ」と投げっぱなし気味になる伊上脚本に対して、養護施設で育った少年とダークに協力する女、二人のゲストに焦点を当ててドラマが展開するのが長坂脚本の味なのかとは思われますが、少年が残したボーイスカウトの道しるべを頼りに一同揃って山を進むシーンなどはどうにも間が抜けてしまい、この時期らしい(時に登場人物の心情を置き去りにしても)右に左に動き回る展開と、そこに組み込もうとする人間ドラマの折り合いが上手く付かず、もたついている印象。
 究極的には、レギュラー縛りのミツ子・マサルを削ってしまえればまだスッキリしたのでしょうが、それをしなかった上で養護施設の教員を加えた事で完全に人員オーバーになっているのは、苦しい作りになってしまいました。
 少年を発見するもギルの笛に苦しむジローは、敢えてスパイダーの吐く糸を顔面に浴びる捨て身の作戦で笛の音を遮断し、顔面から大量のスパゲティナポリタンもとい蜘蛛の糸を垂らしながら、チェンジ・スイッチオン!
 ちょっと今時感のある、敢えてやる系の演出で、72年作品で見るとなんだか新鮮。……まあ、ここにあるという事は、探せば類例は色々とあるのでしょうが。
 今回もアクロバット方向のバトルとなり(一部明らかに映像を使い回していますが……)、アンドロイドマンを蹴散らすキカイダー
 対してネット攻撃を行うカーマインスパイダーだが、サイドカーで走り出したキカイダーにより自らの糸でグルグル巻きにされてしまうと、トドメの必殺コンボを受け、デンジエンドの藻屑と消えるのであった。
 一方、解毒剤を打たれたケンイチ少年は助かるが、散々スパイダーウェブに締め上げられたドクターの命数は、既に尽きようとしていた……。
 「……教えて下さい……ケンイチくんは、本当にあたしの弟なんですか……?」
 「……わからない。でもねユカさん、困っている子供はみんな弟だ。そう思ってもいいんじゃないですか?」
 ジローの言葉に微笑を浮かべた女は事切れ、ダークに協力した罪を精算して終わるやるせない幕引きとなり、元気を取り戻した少年らに見送られ、走り去っていくジロー。
 ナレーション「ダーク破壊部隊・カーマインスパイダーは、キカイダーに倒された。が、探し求める光明寺博士はどこか。幸せを掴むのはいつの日か。ジローはゆく。果てしない戦いの道を」
 次回――ナレーションで「怪獣」と言われるレッドコンドル登場。
 「その嘴から発射される、恐るべき新兵器・コンドル光線」にワクワクが止まりません。