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圧縮『エグゼイド』

仮面ライダーエグゼイド』感想・第42話

◆第42話「God降臨!」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
 密かに正宗によって思考ルーチンを書き換えられていたゲムデウスは、実体化するや否やゲーム病のウィルスをまき散らし、発生するパンデミック
 「こうなったら、感染者を増やして人間の命をデータ収集し、私こそが世界のルールになる!!」
 ……こうなったらも何も、『仮面ライダークロニクル』はあくまで「手段」であって、最初からそれが目的だったのでは……?
 悪の親玉がすっかり転倒している一方、街でウィルスをばらまくゲムデウスにエグゼイドとパラドクスが立ち向かい、ゲムデウスが胸部にイメージを浮かべながら各バグスターの能力を強化使用するのは、らしくて良かったです。
 しかしそもそも、無敵が無くてクロノスが倒せないならゲムデウス倒してゲームクリアしようぜ! って言い出したけど、ゲムデウスなら勝てる根拠はゼロだったわけで、クロノスに勝てそうにないから一縷の望みを掛けて……だから説得力があったのに当の無敵がさっくり再販されてしまった為に、ゲムデウス出現そのものがCRによる人災みたいな事に。
 故にパンデミック発生の責任は正宗がデータを弄った為と押しつけるのですが、それによりまた正宗が、ゲームにどこまで手を加えられるのかが不明瞭になり――ドライバーは作れないが、ガシャットは作れて(?)、内部データは弄れる……?――正宗の“悪”としての位置づけが曖昧さを増す悪循環。
 「自分もおまえも、バグスターとして本来甦るべきじゃない命を手に入れた。その命に課せられた運命がなんなのか、ずっと考えてた……ようやくその答が見つかったよ」
 「答?」
 「二度と悲劇を繰り返さない為に、自分にしか出来ない事だ」
 CRでは貴利矢が九条と対峙し、ようやくバグスター蘇生問題に触れてくれるのですが、突然、自分で向き合って、自分で乗り越えていくばかりで、非常に物足りません。
 レーザーTに変身した九条はゲームフィールドを展開すると黎斗にゲムデウスウィルスを打ち込み、ゲムデウスウィルスに順応できるバグスターの肉体を利用して、お互いを検体として死と感染を繰り返す事により超速で抗体を作り出す為の死闘を開始。
 レーザーTがZ幻夢を繰り返し殺害する事で両者の関係の帳尻を合わせつつ、医療要素やキャラクターの心情も盛り込んで抗体製造の過程が劇的に描かれ、ここでこれが出来るなら、前回の大惨事はなんだったのか。
 「残りライフ、5……」
 60回ほど殺されたZゲンム(黎斗本人の所業の精算としても、ある程度機能)は遂にウィルスを克服し、そのデータを読み込んだ対ゲムデウスガシャットが完成。
 レーザーTからそれを受け取ったエグゼイドがワクチンスラッシュを叩き込む事でゲムデウスが大幅に弱体化すると患者たちの症状も一斉に回復するが……悪あがきを諦めない人物が一人。
 「『仮面ライダークロニクル』は終わらせない……幻夢コーポレーションが、世界に君臨するのだぁ!!」
 乱入したクロノスが必殺キックでゲムデウスを撃破すると、回収したデータを自らに打ち込む事により、ゲム正宗として新生。
 「檀正宗は……人としての命を終えた」
 「あいつ……バグスターになりやがった」
 「クロノスとゲムデウス両方の力を手に入れた私こそが、『仮面ライダークロニクル』運営にして、真の……ラスボス」
 ゲームを利用して命を管理しようとした男は、とうとうゲームに取りこまれてコード仕掛けの神となり、一時撤収。
 ゲムデウスパンデミックはひとまず解決し、貴利矢は正式にCRに所属、黎斗は衛生省印の封印(役に立たなそう)を施された上で改めてCR預かりとなり、貴利矢と黎斗に、殺し合う関係の清算と一定の着地場所を与えてくれた事は、今作なりの誠実さとして評価したい点。
 ただホント、今回これが出来るなら、どうして前回ハイパー無敵再販をもっと丁寧に描けなかったのか、という点は返す返すも残念……。
 また、病院の方では改めて大我に医者の魂が残っている事(そもそも、免許剥奪されたのは「衛生省のスケープゴートにされた」印象しかありませんが……)が示され、大我とニコのコンビが「医療」に接近していく姿が未来への光として描かれるのですが……確かに浮き草稼業とはいえ、まがりなりにも「年収1億円のプロゲーマー」が「人に寄り添う医療従事に関心を持つ」事を“成長”のように描くのは、少々失礼ではなかろうか、とは引っかかった部分。
 基本的にメインキャラクターが“大人”なので、ここで未成年のニコに“変化していく可能性を持った存在”として焦点を当てたかった意識はわかるものの、元々ニコ、攻撃的な性格に難はあるけれど、そこそこ以上に“賢い子”として描かれているので「今楽しく稼げればいーじゃん」といった刹那的なイメージも弱く、それやるなら(キャラ配置的に難しかったのでしょうが)パラドでやる話ではないかなと。
 まあパラドはパラドで、“戦う”以外の遊び方や生き方を覚えていくくだりは描かれるのだろうとは思いたいですが、次回――まだだ! まだ賞味期限は残っている!!