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わんだふるぼでぃ

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』感想・第23話

◆ドン23話「イヌ、いぬになる」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:井上敏樹
 飼い犬が事故に遭って死んだという少年の為に一緒に冥福を祈り、本日もアバンタイトルから圧倒的ヒロイン力を見せつけてくるみほちゃん。
 一方、本日もいちゃいちゃ回想にふける犬塚は、泳げずに夏美から特訓を受けていた過去の夢を見ている内に雉野夫妻と絶妙にすれ違うと、うなされながら跳ね起き…………黒づくめが、そろそろ限界なのではないか。
 その頃、喫茶店で司法試験の勉強に励んでいた青年が、周囲の物音に苛々するあまり、頭に熊の手がついた鬼へと変貌。
 「俺は、高みを目指して、学び、変わりたいんだーーー!」
 引き続き渡辺監督はヒトツ鬼のモチーフを押し出す路線で過激気に獣拳鬼がポーズを決め、動物モチーフが熊なのは、マク様(苛々要素)と、ジロウに僅かに香る『金太郎』要素の両取りでしょうか。
 頭部の熊の手アピールが強い為、ついつい、中華の食材……が脳裏をよぎります。
 公園のベンチで、(あちぃ、ちょっとあちぃよ……でもこれが、俺のハードボイルド……ひゅぅ)とうなだれていた犬塚はドンブラ召喚され、イヌブラザー!
 「もっと静けさをーーー!」
 「はっはっははは! 祭だ祭だ!!」
 が期待はしていても会心のタイミングで、久々の、フル神輿。
 「うるさーーーい!」
 「うるさくて悪いかぁ!」
 ドンモモもうるさいが獣拳鬼も充分にうるさい、と横から銃を撃ち込んだ黒は、戦闘開始早々にクマ怒臨時気で吹っ飛ばされると、図らずも冒頭で少年が事故現場に捧げていた花を踏みにじってしまい、そのせいなのかチェンジオフが出来なくなってしまう。
 ……そして浴びる、《投石》。
 「……久しぶりだな、君と会うのは」
 イヌブラザーはたまらず囚人の元へと面会に向かい、劇中でこの二人が対話をするのは、初でしょうか。
 とはいえ、この状況で囚人が何か役にたつアドバイスをくれるとは思えませんが…………ハイ、開始10秒で面会終了。
 「イヌの祟り。残念だ」
 一応、あなたは呪われました、とバッドステータスだけは説明を貰い、思えば『ゲキレンジャー』のパワハラ師匠軍団も後天的に獣人にされた人達だったので、今回は割と、エピソード内容とヒトツ鬼モチーフ作品の関連付けが強め。
 以前からそういった描写はありましたが、変身中は犬の習性に引き寄せられがちなイヌは、腹が減って盗み食いを我慢できず、通報を受けては保健所に追われ、どうやらこの姿だと一般人からは普通に犬に見えるようですが、姿は変わっても逃亡者となる羽目に。
 「あんまりだ! ヒーローだぞ俺は!」
 大丈夫! 世の中には、1年の間に逮捕歴2回ぐらいのヒーローも居るから!!
 その頃、ロボの力を求めるタロウは故郷で旧交を温めており、なんだかんだと今も子供の頃の夢を忘れず追いかけ続けているジロウの姿に、暖かい視線を送る幼なじみ一同。
 「やっぱりさ、ジロウくんは凄いよ、ある意味」
 「俺たち、ずっと応援してるよ、ある意味」
 「気の済むまでとことんやれよ、ジロウ」
 ある意味、の大合唱を受けたジロウはその日の内に帰路につく事を決め、ルミの見送りを受ける。
 「ルミちゃん、いつか僕が真のヒーローになったら……僕の為にお弁当作ってくれないかな?」
 は、いい台詞でした。
 「お弁当?」
 「うん。好きな人のお弁当を食べて悪を倒す! ……夢なんだ、僕の」
 「いいよ、作ってあげる」
 「ありがとう」
 事前の「夢」にまつわる、幼なじみ達のごくごく平凡なやり取りもスパイスとして鮮やかに効いて、難はあるけど本質は純粋で素朴なジロウの想いが描かれ、先の見えない夜の中へ走り出したジロウは、ふと立ち止まると、アバターチェンジ。
 遊びでは変身できない、と一度は見せるのを止めたヒーローとしての姿をルミちゃんにだけ見せるとジロウは笑顔で去って行き……これが4クール目だったら死亡フラグだぞジロウ!
 ソノーズも含めて各キャラにうまく愛嬌を散りばめ、好感度コントロールにはかなり配慮の見える作品ですが、その中では滝壺に向けて真っ直ぐにドンブラコしていたジロウに対してもギリギリのところで岸からロープを投げるタイミングが、実に上手い。
 真のヒーローとは何か? はまだ見えず、相変わらず内なる声さんに誘導されまくりながらも、ジロウが確かな一歩を踏み出した事が、今回のクライマックスへと繋がる事に。
 一方、呪いが解けないままのイヌは街でみほの姿を見つけるが、呪いの進行により人語を喋る事ができなくなってしまう。
 迷い犬と勘違いされたままみほに抱き上げられると、なんかもう、このままでいいかな……と流されかけるが、そこに獣拳鬼が出現。みほを逃がして獣拳鬼を撃退したイヌは、匂いを追いかけて路地裏で倒れていたみほを見つけるが、更なる呪いの進行により体力を著しく消耗すると、最悪のタイミングでネコ刑事と遭遇。
 「馬鹿な! 奴には、俺が俺だと、わかるのか」
 華麗なるゴミ捨て場ダイブを決めたイヌが気を失うと、ネコ刑事の姿を認めたみほの内部でツルが目を覚まし、肝心のヒーローは燃えるゴミと抱き合ったまま、激しい雨に打たれながら睨み合う理容師と老刑事の姿が劇中これまで屈指の決闘の空気を醸しだして、どうしてこんな事になっているの?!
 でもみほちゃん格好いい!
 脳人の攻撃が通用しないネコ獣人に、鶴野みほは高速壁走りから痛烈な一撃をたたき込み、ネコはハイジャンプで撤収。どうやら獣人同士にも敵対関係はあるようですが、引き続き獣人関連は細かい断片だけが散りばめられ、驟雨が通り過ぎると目を覚ましたイヌは鶴野みほの姿を目にするが、呪いの進行によりヒトとしての自我も記憶も失った末に、遂には一匹の黒い犬になり果ててしまう……。
 事態がエスカレートの極致に至るのは、メタ的にはオニタイジン合体不能にする為なのですが、並のヒトツ鬼より犬の祟りの方が凶悪な『ドンブラ』世界。
 割と事態を引っかき回した獣拳鬼をようやく取り囲んだドンブラザーズは、今回も急に一斉先輩チェンジするとダイレンジャーとなり、そこにジロウが遅れて合流。
 「幼なじみの顔を見て、元気をもらいました! 心機一転、戦います! 真のヒーローになる為に!」
 (はは、無駄だ)
 だが突然、ジロウの瞳が紫色に染まると、トラジロウがまさかの分離。
 「おまえは桃井タロウを敬いすぎている。だからタロウを超えることができない」
 「……感じます。君はタロウさんを嫌いすぎている。でも、僕には君が必要だ」
 タロウに対する極端な心理を抱える二人が同時にアバターチェンジすると金銀が同時に出現し、本当に、何者なのかジロウ(笑)
 話が進むごとに謎が深まるばかりなのに、劇中人物の誰もジロウに興味が無いので捨て置かれているジロウですが、そういう私も積極的に解明してほしいとは全く思っていないので、つくづく絶妙なキャラ設計……と言っていいのかどうかちょっと迷いますが、とにかくアクロバットなやり口です(笑)
 金ドラと銀トラが獣拳鬼に同時に攻めかかると、内なる声さんがロボの力を解禁し、ロボゴクウとロボボルトにアバターチェンジ。金色の龍と、青紫の虎……だと思うのですが、顔がそこはかとなく熊っぽく見えるのは耳の形か……?
 新たな一歩を踏み出した龍と、獰猛無類な虎に圧倒的火力で粉砕された獣拳鬼は巨大化し、対する金銀も龍虎で大合体。
 紫虎をコアパーツしてに金龍が外側から被さる合体形式により、己の内の荒ぶる獣を檻に閉じ込めて飼い慣らす――その存在を認め飲み込む事で力を生む――、というのは秀逸なデザイン。……まあ、虎の方にもロボ顔がついているので、逆転バージョンも出てきそうではありますが。
 「彼は……敵なんでしょうか? 見方なんでしょうか?」
 「面白い! 見せてもらおうか」
 肩シールドの謎文字が目立つ金銀合体トラドラゴンジンは巨大獣拳鬼と戦いを始め、鬼はなぜ激獣バット拳? と思ったら、まずは空中戦で一当たり。そこから武器を打ち合わせての立ち回り、そして拳法バトル、と初登場なので、かなり気合いの入ったロボ肉弾戦を展開してきます。
 「僕はタロウさんを超える!」
 敬意と敵意を一つに重ね、素顔を出して宣言したジロウは、爪と剣をダブルで繰り出す必殺奥義で獣拳鬼を撃破。
 「僕こそ、絶対!」
 …………これは何か、新しい方向の「悪」が生まれつつあるのでは?
 かくして鬼退治が終わった頃、街をさまよう黒犬は少女に拾われ、数日後――
 アバンタイトルと同じ場所を通りがかった雉野夫妻が、無残に散らばった花や水を丁寧に直して手を合わせると、イヌの祟りは収まり……最初から最後まで、みほちゃん、圧倒的ヒロイン力(笑)
 それにより、飼い犬ポチとなって新たな人生もとい犬生を過ごしていた犬塚は人の姿を取り戻すが、そのままドッグフードにかぶりつきつづけ……社会復帰できるのか一抹の不安を残しつつ、つづく。
 予告時点で色々と忙しそうかつ、オニタイジン誕生回が超勢いだったので、ロボジロウに関しては何も期待せずに見ていたのですが、故郷に戻っての一幕で、桃谷ジロウの好感度を救済してからのロボ登場となったのは良かったところ。
 分裂そして同時変身、とジロウはどんどん奇っ怪な生き物と化していきますが、まあドンブラ自体が怪異に近い存在といえば存在なので、そういう事がありうると言われれば頷いてしまう部分もあったりなかったりで、目指せ、真のヒーロー!