『恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第40話
◆第40話「ブライ死の出発(たびだち)」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
「なんて気持ちのいい風なんだ……車屋さん、いったいどこへ行くんだい?」
「決まってるじゃありませんか。旦那を死の国へご案内するんですよ」
「死の国?!」
「はははははは……はははははは……」
幻想的な映像で人力車に乗り込むブライの姿から始まると、骸骨の車夫が笑いながら高速で車を走らせていき、冒頭から視聴者に悪夢を見せつけてくるスタイル。
絶叫したブライは独房の中で目を覚まし、その見つめる蝋燭は、残り4時間あまり……。
一方、公園でストレッチしていたゲキたちは、草野球をしていた少年が飛ばしたボールを探している内に足下に曼珠沙華の咲き誇る森へと入り込み、そこに何者かの暗い歌声が響く。
「ひとーつ、ひとりぼっちのブライはー
ふたーつ、ふたっりきりのきょうだいでー
みーっつ、みつめるしのせかいー」
「43……42……41……もう40日ないのね、この星が消えてなくなるまで」
不吉な手まり歌を謳うクロトが、次に精神と時の独房を出た時が地球、じゃなかったブライの最後の時と宣告し、もはや狙ってやっているのかと思えるレベルで同年の『特捜エクシードラフト』とニュアンスが被って<炎の黙示録>が幕開けしそうなのですが、年末にドーラサンタとか出てきたどうしよう(笑)
ブライを救いたい、とゲキ以外の仲間達もアジトで資料をひっくり返し、その内に一同の脳裏に甦る今日までの戦いの日々……という形で、「ヤマト族プリンス! ブライ!」以来の恐竜任侠伝を回顧。
仲間たちの協力に感極まるゲキとゴウシとのやり取りから、ブライ復活以前の戦いから振り返られ……で、伝説の武器……ダ、ダイノクリスタル……。
伝説の武器、序盤に入手する個人武器としては特別扱いが悪いわけではないのですが、なまじ“正義の意思を持った仲間”として描いてしまったがゆえに、関係性の特別な濃さといったものが劇中で活かされない事に物足りなさが出てしまうのは難しいところであり。
無数の矢に追われ爆発の中を走るメイ、小瓶に閉じ込められるダンとボーイ、ドーラナイトに襲われるゴウシ……皆の活躍、ではなくどちらかというとピンチのシーンを振り返る、総集編としてはだいぶ珍しい趣向で、ここから格好良く逆転劇が描かれるのかと思いきや、そのままいきなり究極大獣神復活の儀式へと飛んでしまう、なんだか妙な編集。
……まあ、ジュウレンジャー=苦戦と言われればチームカラーとして否定はしづらく、それでも俺たちは一心同体だ! と固い握手をかわすゲキとゴウシ。
ここまでが少々長めのAパートに収められると、月のパレスでは、ブライの残り寿命をつぶさに把握しているバンドーラ様が新たな作戦を発動し、全身白塗りののっぺらぼう(『ファイブマン』のゴルリンぽい感じ)に一つ目だけが輝く怪人・ドーラガンサクを誕生させる。
「ブライは二度とあの部屋に戻れなくなる。ジュウレンジャーも最期の時を迎えるのだ! うわっはははははは!」
バンドーラ様の高笑いから市街地の派手な爆発シーンに切り替わり、街を蹂躙するのは、大獣神とグルだった事でお馴染みドラゴンシーザー! 今回も何か思惑があるの大獣神?! 人の街の一つや二つぐらい塩の柱にしても正義の為にはやむを得ないの大獣神?!
狼狽していると、久々に自転車に乗って登場したバンドーラが、ドラゴンシーザーはいただいた宣言。
いいも悪いもぴーひゃら次第のシーザー(まあ恐らく贋作)が街を破壊していく中、繰り返される死の悪夢にうなされるブライは、何故かその夢の中でベンチに座り込む見知らぬ少年を目撃し、謎が謎を呼ぶ展開で、つづく。