東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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タマゴよタマゴ

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第39話

◆第39話「地底獣の涙…」◆ (監督:小笠原猛 脚本:高久進
 山でハンターを襲う謎のナマズっぽい怪物、その正体は、伝説の地底獣ゴダ!
 打倒ジュウレンジャーの為に伝説のモンスターを味方につけるのだ、とバンドーラ様が指示を出す一方、ハンターに事情を聞いて山に入ったゲキたちは、村の少年・一平が、ゴダに助けられた事を知る。
 「えぇ? モンスターが君を助けてくれた?!」
 「そんな筈はないだろ」
 「そうよ。あのモンスターは、どう見たって凶暴そのものだもん」
 人は、見た目が、9割!
 一見して醜い怪物が優しい心を持っていたパターンで、今回のゲスト子供は、悪夢を見る側ではなく、その純粋さから怪物の真の姿を理解する役回りとなり、話の構成が少し古めかしいのに合わせてか、演出のタッチもなんとなく古め……に見えるのは、冒頭から猟銃が出てきた事で、私の脳が勝手に、猟銃=70年代、と接続してしまっているかもですが(笑)
 とにかくゲキたちが一平少年と行動を共にする一方、トットバットとブックバックは道ばたで見つけた大きなタマゴをぺろりとたいらげてしまうが、それこそはゴダのタマゴであり、咄嗟にジュウレンジャー一行に責任転嫁するグリフォーザ。
 喋れて良かった。
 怒れるゴダはそのパワーで5人を軽々とひねり飛ばし、男衆は3話連続の派手な崖落ち(今回はメイも参加しました!)。
 少年が数日前に見つけたという謎のタマゴと、割れたタマゴを前に嘆くゴダの姿を目にしたゲキたちは、人相が凶悪なだけで悪い奴ではなかった! と気付くと、少年が確保していたタマゴを渡して地下へ帰ってもらおうと考えるが、それよりも早く、バンドーラ様自らがゴダの前に姿を現してしまう。
 「ゴダ! ジュウレンジャーを地獄に突き落とせ!」
 ジュウレンジャーを倒せば魔法の力でタマゴを戻してやる、とバンドーラ様は囁きかけ、魂の契約が成立すると悪霊パワーで巨大化。
 凶暴・巨大化したゴダに対して、大獣神に乗り込んだジュウレンジャーは《説得》スキルを用いるが失敗し、タマゴを持ってゴダに呼びかけようとした少年が踏みつぶされそうになった時、少年とタマゴを救ったのはブライ!
 「ゲキ! この世には、どうしても避ける事のできない悲劇がある! 平和を守る為には、その悲劇を乗り越える、勇気が必要なんだ!」
 いきなり凄い理屈をぶつけてくる兄さんは、ゴダは既にバンドーラに魂を売り渡しており、もはや悪だと断言。
 「悪を倒す為には、俺の屍を乗り越えてでも前進するんだ! ゲキ!」
 死期の迫る兄さんの意図が透けて見えすぎて(透けるどころか、テンション上がった本人も途中から「俺の屍」とか口を滑らせていますが……)、ゲキの成長を促す為に地底怪物を生け贄に使おうとしているのがあまりにも露骨なのですが、心優しいバンドーラ様がゴダにダム破壊を命じた事で、多くの命を救うためにはやむを得ない、とジュウレンジャーの決断を正当化。
 「おまえは大獣神の声を聞いた筈だ!」
 命にとって最大の幸福は、次代へと繋がっていく事、とブライの願望混じりによる若干の拡大解釈に背を押された赤が覚悟を決めると、ブライも緑に変身してドラゴンシーザーを召喚。
 背後のダムを守る形の、ちょっと珍しい画の巨大戦となって合体ドラゴンミッションすると、剛龍神とティラノに分かれて今日もプテラノドンが豪快に余り…………特にその存在にフォローの無いまま、龍神突きで土手っ腹に風穴の空いたゴダは大爆発するのであった。
 東映特撮名物:勝手にお墓(こ、ここで来るとは……!)がゴダの為に立てられ、母ゴダは死んだけど、タマゴがあるからいいじゃない……?
 ヒーローの力を持ってしても全ては綺麗に解決できず、苦みを残して終わる……のは60~70年代感があるのですが、「タマゴを巡る怪物の悲劇」は主題ではなく「最終章へ向けてゲキに度胸をつけさせようとするブライ」を描く為の仕掛けでしかないので、少々古めかしい作劇と合わせてブライがなにかと割り切りの早い70年代ヒーローに擬態しているが、その実態は私情から状況を利用した悲劇の後押しとなっていて、やり口が大獣神に似ているのは、引っかかったところ。
 こう見ると、この時期の高久先生は、あるオーダーに対して「その作品に合わせて話を組み立てる」のではなく「自分の持っている文脈で処理しようとする」のが、良し悪しなのかな、と(ベテランゆえではありますし、それが求められている場合もあるでしょうが……)。
 キーアイテムが「タマゴ」なのは、巧く繋げたというよりも、ちょっとくどい感じになってしまいましたし……後せめて、ビジュアル的に、恐竜のタマゴとはもっと形や色を変えた方が良かったような(笑) 意図的だったのかもしれませんが、そのまま使い回し(?)のような見た目も、連想のさせ方がわざとらしくなり、ブライは今回の話ではなくてここから先の話をしている感(極論すると、ブライが目の前の出来事には興味が薄め感)が、強くなりすぎてしまったように思えます。
 次回――最終クール突入で終章開幕! の前に、総集編風味……?