『仮面ライダーエグゼイド』感想・第26話
◆第26話「生存を賭けたplayers」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也)
見所は、勝手に動いて目からビームを出す顔型アーマー。
そして、アーマーから飛び出したり拾われたりする新アクションを修得するエグゼイド。
XX以降、どんどん動きが変態的になっていきます。
ゲームオーバーによる消滅事件の発生に、さすがに早々に『仮面ライダークロニクル』の回収と販売停止を決定した衛生省からCRに待機命令が下される中、そのやり取りに不信感を抱いた患者の少年が、「俺の体は俺が治す」と街に飛び出していってしまう。
ソルティと戦い始める少年を止めようとするエグゼイドだが、運営から送り込まれたポプ子が『ときめきクライシス』により仮面ライダーポッピーに変身し、なんだかもう、『ロボコン』ぽくなってきました(笑)
「マジかよ……」
唖然としながら攻撃をためらうエグゼイドだが、そこにスナイプ参戦。
「たとえポッピーピポパポでも、戦うしかねぇだろ!」
むしろ色々と不満が溜まっていてもおかしくなさそうなスナイプだが、銃撃を全てひらひらと回避されると、平手打ちからのコンボ攻撃を受けて一方的にぼっこぼこにされた上に、ぴぷぺぽクリティカルの直撃を受け、エグゼイドもろとも変身解除。
……まあ、いきなり提督してこないところに、花家先生のハードボイル度の限界値を見る思いです。
「ドクターの救助行為は、禁止。違反したらお仕置きだよ」
永夢にデコピンを食らわせてポピ子は去って行き、CRで永夢たちと行動を共にした記憶――セーブデータ――は既にリセットされている、と冷酷にパラドが告げる。
「あいつがおまえらCRに協力してたのは、データ収集の為にゲンムがプログラムした、一時的な役目にすぎない」
CR(衛生省)側がどうしてそれを受け入れていたのかが、大変摩訶不思議なわけですが……。
「『仮面ライダークロニクル』が完成した今、ポッピーピポパポはバグスターとしての本来の姿に戻る」
「……そんな……ポッピーが……」
「驚く事じゃないだろ。バグスターは人間の体を乗っ取って生まれたんだ。ポッピーピポパポも例外じゃない」
今の今まで無視を決め込んできた基本事項にパラドが踏み込むも、それに対する永夢のリアクションより前に話が次に移ってしまい、大きすぎる穴はもはや穴として認識できないレベルのポッピー問題はどこへ行くのか。
いざとなったら「黎斗が……」「黎斗が……」」と亡き前社長に責任を押しつけるのが今作の定番ですが、今回わざわざ触れてきたので「ポピ子が誰の体を乗っ取って生まれたのか」が今後のキーになりそうでしょうか……どうあがいても、永夢先生の「そんなの知ってます」発現の筋が通る未来は見えてきませんが……。
ところで、これまで幾人ものメンバーがどうにかこなしてきた「ポッピーピポパポ」を、パラドの役者さんがとても言いにくそうで、次からは省略しても良いと思います!
「こんなふざけたゲームに、なんの意味があるんだ」
「全部おまえたち人間が望んだ事だろ」
バグスターが“敵キャラ”であるのは人間が望んだ役割だと語るパラドは、しかしその与えられた役割、駒からの解放を宣言。
「バグスターだってこの世界に生まれた命だ。これはお互いの生存を賭けたゲームなんだよ」
人類の娯楽としてストレス解消の為に消費される“敵キャラ”である事を超える為に、人類を滅ぼして“自由”を得ようとするパラドの目的に、「仮面ライダー」の名が皮肉に響き、メタ前提(「仮面ライダー」とは何か)を元に、これをやりすぎたのが、後の『ゼロワン』ですね……。
大我の前にはグラファイトが現れ、『クロニクル』を攻略して俺の元までこいと挑発。
患者との信頼関係に亀裂が作り出されたCRでは、永夢と飛彩が「ドクター」とは何か、についてそれぞれの答を出そうとする。
「たとえ患者に信じてもらえなくても……僕は患者を救います」
「……ドクターの資格とは……なんだ?」
そして、『クロニクル』回収について会見した衛生省は、ゲーム病は公開したけどそれ以外の事はほとんどだんまりしていた事が明確になり、「幻夢コーポレーションから幾ら貰ってたんですか?!」「発売前の新作ゲームで接待を受けていたという情報があるんですが!」と、炎上するべくして大炎上(笑)
もはや、笑うしかありません。
一方、ネット上で有志を募って協力プレイでバグスターを攻略しようとしていたボーズたちだが、塩男爵と魔法使いに手も足も出ないまま、パラドクスによるジャッジメントが迫ったその時――そこに駆けつけたのは宝生永夢。
「今更なにしに来た! 誰もおまえらなんか期待してないんだよ!!」
「……わかってます。悔しいけど、ぼく一人の力じゃ、全ての命は……救えない」
「だったらしゃしゃり出てくんなよ!」
「それでも戦う! 一人でも多く、目の前の患者を救う為に! 一人でも多く……笑顔を取り戻す為に」
ここから先は完全に「ドクター」=「ヒーロー」と置いて、大衆の支持を失ったヒーローがそれでも戦い続ける事を選ぶ姿が描かれ、定番のテーゼを『エグゼイド』風に調理。
ただ、定番ゆえに、少年の跳ねっ返りぶりとこじれ方とか、ネットで集まる共感の描写が簡便になりすぎてしまい、テーゼありきの駆け足で出汁が足りなかったのは、ここからの推進力になり得る要素だっただけに、物足りなかったところです。話数配分的に難しい事情はあったのでしょうが、ここはもう少し丁寧に時間をかけても良かったかな、とは。
「しかし! 諦める事はありません!」
蓑踊り中の日向審議官は、永夢や飛彩が待機命令を破った事を聞くと意を決してゼロ・デイによる人体消滅について公表し、そして永夢の元には、二人の仲間が集う。
「――バグスターをぶっ潰すのは俺たちだ」
「……大我さん」
「目の前の命を救う。その為に俺たちはいるんだ」
「飛彩さん……」
「我々には、ゲーム病と戦う――優秀なドクター達がついています!」
『仮面ライダークロニクル』スタートに伴う新たな状況設定でのヒーロー再起動編となり、3人同時変身からのアーマー装着。
ドラゴン旋風剣と提督フルバーストで塩と魔法使いを撃破すると、箱物クリティカルストラッシュの直撃を受けたパラドクスは大ダメージを受けて撤退し、バトルジャンキーを気取っている内に、だいぶ戦績が悪くなって参りました!
少年の呼びかけに集まったプレイヤー達のゲーム病はひとまず治り、CRを信じる、と少年が率先してガシャットを返却。
その光景を見つめながら、グラファイトの事を胸に抱えて大我は去って行き、アジトへ戻ったパラドは、次の手を打つように指示を出す……次回――今なら、ログインする度に10,000ライドストーンがもらえるよ!!(※1,000ライドストーンで1回、R確定ガチャが引けるよ!)
ポッピーの謎、パラドの行動理念、グラファイトと大我の再会、衛生省の方針転換、現状でなんのために戦うかを宣言するドクター達……と1話まるごと後半戦の布石回、といった内容。
新たな状況において一度亀裂を描いた後に「大衆とヒーローの関係」を(部分的にですが)再構築したのは、やるとやらないでは大違いになりがちなので、後々に効いてくるといいな、と思うところです。