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そして第三楽章へ――

仮面ライダーエグゼイド』感想・第24話

◆第24話「大志を抱いて go together!」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
 永夢の外科研修最終日――売れないバンドのボーカルメンバーが事故に遭って緊急搬送を受け、飛彩が執刀、永夢は貧血を起こす事なく最後まで立ち合い、ゲーム病とは関係ない病院の日常からスタート。
 ところが、術後の患者と見舞いに来たバンドメンバー二人が音楽性の違いから病室で揉めていると、3人同時にゲーム病を発症。
 LV20バイク・LV40ロボット・LV40サムライが一斉に出現し、逃走劇に巻き込まれた入院患者を飛彩に任せた永夢が、3体まとめて相手してやる、と変身しようとしたその時、響き渡る男の声。
 「よっしゃラッキーーー!!(今回は地面に立っているところから始まったぜーーー!!)」
 突然出てきた、宇宙一ラッキーな男は永夢と知り合いのような空気を出すのですが、『キュウレン』サイドのコラボ回の方が時系列が先という事なのか、単なるヒーローフィーリングなのか。
 バグスターの砲撃を受け、結局は墜落する運命だったラッキーは、エナジーコインのお陰で着地に成功し、よっしゃラッキー(返す返すも、もっと面白い使い方が出来たと思うのですよねこのフレーズ……)。
 「スーパースター! シシレッド!」
 「仮面ライダーエグゼイド! レベル10!」
 別の時空から来た赤い戦士にならって力強く名乗ってみるエグゼイドだが、全身で表現したX(テン)のポーズはウケが悪く……宇宙幕府の統治下においては、ローマ数字は消滅してしまったのかもしれません。
 気を取り直して、XXに分裂して、3対3でバトルスタート。
 「超協力プレイで!」
 「クリアしてやるぜ!」
 祝・初めての、友達と協力プレイ(涙)
 エグゼイドとシシレッドは適当に3バグスターを蹴散らすとラッキーは開始6分少々でまだ見ぬ明日へ向けて走り去っていき、どだい色々と無茶があるのは勿論として、ただでさえ限界まで尺を使っているのにコラボなんてやってる暇ないんですよ!! という力強い意思を感じます(笑)
 ちなみに『キュウレン』の方ではどんな扱いだったっけ……と感想を確認してみたら、永夢先生がキュータマによりキュウレン宇宙に召喚されると、スペースイカデビルと戦って帰宅した様子であり、『トッキュウ』×『鎧武』合体TVスペシャルより始まり、年々雑な扱いになっていたTV本編を使ってのスーパーヒーロータイムコラボ劇場版宣伝企画は、この2017年をもって終了する事に。
 (ちなみに1年目の『トッキュウ』×『鎧武』春休み合体スペシャルに関しては、コラボ仕事人・毛利亘宏の脚本を、名匠・中澤祥次郎が見事に仕上げた秀逸作で、むしろ劇場版宣伝要素が完成度を下げて不要だった、というよくわからない事になっていたり(笑))
 ラッキーの問いかけを受け、ポピ子さんに向けて、飛彩、大我、そして貴利矢が仲間だ! と力強く宣言した永夢は、別の宇宙からやってきた未知の細菌に感染してしまったのか、変なテンションで一致団結を求めるが、「研修医」呼びに戻った飛彩には“仲間”の部分から否定されると、大我は例のごとくガシャットをメンコみたいに景品扱いし、
 「まっっったくわかりあえなかったね」
 ポピ子さんが、珍しくいい事を言いました。
 競い合うようにして3人がバグスターの追跡に向かった後、ドクター不在のCRを患者の見舞いに訪れた白いスーツの男は、ゲンムコーポレーションの新社長・天ヶ崎恋。
 「座右の銘は、世界中に I LOVE YOU」
 顔も喋りも動作も全てが情熱スペイン仕様の天ヶ崎が、現在、社運を懸けたゲーム制作の真っ最中であり、ゲンムコーポレーションの経営が大変厳しい事を説明すると、ゲンムコーポレーションが潰れるのは困る、と『ドレミファビート』から生まれたバグスターである事を明かしてコスチュームチェンジしたポピ子に、新社長は大興奮。
 「きっと、僕は……君に出会う為に生まれてきたんだ。君こそが、ゲンムの救世主。救いの女神だ」
 ポッピーに熱烈にアプローチを行う新社長のデリカシーに欠ける発言が引き金となって、患者内部に眠っていたバイクバグスターが再起動し、諸々のリアクションといい効果音といい、割り切ったコミカル演出が続くのですが、データ化したバグスターがネットワークを介して移動する描写が描かれたのは、恐らく初のような。
 まあ、描くと描くで、どうしてCRは患者の処置室をネットワーク的に閉鎖しておかないのか、となるのですが。
 慌ててバイクバグスター再出現を永夢に連絡するポピ子だが、新作ゲームの主題歌を是非! と新社長に囁かれると何故か素直に頷いてアイドルMV風演出でポッピーオンステージが始まり、挿入歌をバックに、聖都スタジアム爆破を目論むバグスターバンドと戦うドクターライダー達。
 MAXエグゼイドはバイクバグスターをさくっと瞬殺……せずにリプログラミングでバイクを分解して戦闘手段を封じ、小さな蟻も、手足をもいで確実に抹殺していくスタイルです。
 醜いフィニッシュの奪い合いの末にバグスターバンドはまとめて消し飛び、オペ終了(しれっと放たれているDブレイブの分身ストラッシュが格好いい)。
 一方、一曲終えたポピ子に拍手を送るのは、いつの間にやら声が変わった気がする天ヶ崎恋。
 「素晴らしい。今日からは君が歌姫だ」
 「うん!」
 「新作ゲーム――『仮面ライダークロニクル』のね」
 崖っぷち新社長が満面の笑みで宣言すると、二人が並んで立っているのはゲーム筐体の中というのは面白い演出となり、ノイズと共に電源が落ちるポッピールーム……そしてCR……。
 もはやギャグをやっている雰囲気では無くなっていたが……
 「おい。……トドメを刺したのは俺だ」
 「一番レベルの低いガシャットを使ってたのは俺だ。俺の勝ちだ」
 3ヶ月経っても、ドクター達の器は小さいままだった。
 大我と飛彩の低レベルな争いが勃発する中、ああはなりたくない……と反省してバンドメンバーは、和解。一件落着、と思われたところでメンバーの一人が苦しみだし、緊急搬送で手術受けた数時間後に動き回っていたらそれは怪我も悪化するよね……となると、慌てず騒がず永夢がその場で診察を初めて半年間の研修の成果を見せ、飛彩がその所見を確認して緊急手術が必要と判断すると大我が救急車を呼び、リアルの医療現場で鮮やかな連携を見せる3人(腰に蛍光カラーのドライバーを付けたまま)。
 「案外チームワークいいじゃん」
 1クール目に用いたフレーズを物語の各所に散りばめてアレンジする事で、成長や変化を印象的に描く手法を繰り返してきた2クール目の締めは、チーム医療の理想と現実、となり、まだまだ、一致団結! ライダー融合! とまではいかないも、互いの能力をそれなりに認める程度の関係が構築されてきてはいる事を描写。
 また、最初と最後を「現実的な医療」でサンドしたのは、フィードバックも感じられて面白い趣向となりました。
 一方、黎斗のアカウントを乗っ取ったパラドは、回収していたバグスターのデータを解放。
 そしてそこには、永夢先生の土下座外交詐欺の犠牲となったグラファイトの姿が!
 「パラド?! ……なぜ俺は生きてる?!」
 「ゲンムは知らなかったんだよ。完全体のおまえなら、いつだって、復元できるって事をな」
 ……なんかまた、前振りの全く無い事を言い出しましたが、劇中的にもメタ的にも新たな立ち位置が把握しきれていないのか、心なしか、グラファイトの物腰が柔らかくなっているような(笑)
 まあ最後に見た時は、これでワシらが全国制覇じゃーーーとグラファイト組立ち上げの真っ最中でしたからね。
 「……全ておまえが描いたパズルってわけか」
 「これでバグスターは9人。……最後の一人は」
 「……そっちのルートも、攻略済みだよ」
 パラドを改めて「パズル」に紐付けたのは小技が聞き、最後に部屋の中に入ってきたのは、天ヶ崎恋(声は、最近ナレーションの出番が無くなっていた諏訪部さん?)、そして天ヶ崎に洗脳されて主題歌を歌う事になったポッピーピポパポ。
 「これでプレイヤーは揃った。――『仮面ライダークロニクル』、ゲームスタートだ!」
 黎斗の遺したガシャットをパラドが起動すると、パラドと天ヶ崎を除いた10人のバグスターがゲームの中に吸い込まれていき、遂に究極のゲームが、その悪夢の幕を切って落とそうとしていた……。
 本編に浸食してくる別作品コラボ、という大変厄介な要素を消化するにあたって、コラボによる面白みに凝るとか、コラボを合理的に劇中に取りこむとかは最初から捨ててかかった上で、全体的にギャグテイスト、おふざけ寸前の演出(走って息の荒いまま変身する永夢とか)を盛り込んでコラボ的なお祭り感(と場合によっては前半の事は無かった事にしてもいい雰囲気)を出した上で、そのノリの一貫かと思われたフラメンコスター・天ヶ崎恋が道化を演じていたのは偽装工作でした、と締めに繋げる、トリッキーな一篇。
 好みからすると色々とやり過ぎでしたが、そもそもラッキーが出てくる時点で一定の破綻をしているので、天井に空いた大きな穴の存在を、ギャグで少しずつ気を逸らしながら徐々に小さくしていって、だいたい忘れられた頃に本編に戻した、とでもいいましょうか(笑)
 前回は黎斗退場、今回はコラボ消化、何故それを一班で……? みたいな環境に置かれた山口監督ですが、構成の工夫に光の見える一本でありました。
 その一方、「何故か衛生省から派遣されてCRのお目付役でありドクター達にも平然とその存在を受け止められているバグスター」という、今もって意味不明な上に説明皆無であり、実質的に敵味方双方からアンタッチャブルな扱いの存在だったポピ子が、『仮面ライダークロニクル』最後のキーだったのは、フェアかアンフェアかでいえば、アンフェアだと思うのですが、うーん……信頼のメモリーとか捏造されずに、面白く転がってくれると良いですが。
 …………あ、今になって気付いたのですが、「究極の救世主」と「究極のゲーム」がつなが…………っても困るので、やはりラッキーの事はゲーマドライバーの不備が見せた白昼夢だと思って忘れましょうそうしましょう。
 次回――なにやら色々、凄そうではあり。