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アイランドのひみつ

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第36話

◆第36話「くだけ!死の鏡」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升
 海で釣りをしていた少年・タダシが釣り上げたガラス瓶の封を開くと、ジュウレンジャーのアジトとバンドーラパレスが激しい衝撃に揺れ、その原因は“破滅の鏡”の在処を示す地図を封印していた瓶が開かれた事で、内部に蓄積していた莫大な妖気が放出された為であった。
 “破滅の鏡”――それは、見るものを一瞬にして殺してしまう恐るべき魔力を持っており、数百年前、その鏡を封印したとある海賊は、鏡の隠し場所を記した地図を瓶に詰めて海に流したのだった……と、のっけから理解に苦しむ展開(何故わざわざ海に流す……)なのですが、後半には更に驚愕の展開が待ち受けるので、軽いジャブです。
 天地を揺るがす伝説の秘宝の復活に、破滅の鏡を闇に葬ろうとするジュウレンジャーと、破滅の鏡を手に入れようとするバンドーラ一味が向かうのは……
 「触れ合いいっぱい、楽しさいっぱいの、行川アイランドへようこそ」
 俺たちの夏休みは今日だけだなどで色々お馴染み、房総半島の魔空間・行川アイランドであった。
 妖気の反応から地図の行方を追う両陣営だが、これは宝の地図に違いない、と独り占めを目論むタダシ少年はゲキたちへの情報提供を拒み、プレシャスは早いもん勝ちじゃないもん!
 「そうよね~、強いもん勝ちだもんねぇ!」
 定期的にファンタジーなマジックアイテムを巡る攻防が繰り広げられる『ジュウレンジャー』は、割と後の『ボウケンジャー』と親和性が高いな、と(笑)
 ラミィの指揮の下、ドーラガンロックが少年を襲い、必殺の《投石》を受けたダンは一度くっついたら離れない岩の重さで身動きが取れなくなり……見捨てられた。
 「駄目だ……すまん!」
 少年の救出を優先する為とはいえ、地面に倒れてジタバタする仲間をゲキが放置していく、なかなか衝撃的なシーン(笑)
 一応、助けようとする素振りを見せた後で、あ、これ無理……と走り去っていくのが、衝撃度を引き上げます。
 行川アイランド各地を舞台にしたタイアップ回らしい追いかけっこが展開し、ゴウシたちも合流するとダイノバックラー! 青を欠くもゴーレム兵を次々とプールに投げ込んでいくジュウレンジャーだが、ガンロックの投石攻撃を受けた黒と黄が身動きできないままプール落ちし、溺死の危機。
 ヒーローとしてはかなり生々しい死の危険が迫る中……地図を手に持つ少年の姿がいつの間にか見えなくなるとバンドーラ一味は慌ててそれを追い……
 「仕方ない。3人は我慢して、ここで待っててくれ!」
 おいリーダー(笑)
 「ゲキ! 待ってくれよ! そんなぁ……ゲキ! 見捨てないで! うわぁ!」
 ここで「俺たちはなんとかするから先に行け!」と戦闘不能組が自ら言い出せばまだ格好が付いたのですが、溺れかけながらなんとか柵に捕まる黒と黄、辛うじてプールサイドまでやってきたダンが助けを求めるもひっくり返る姿をコミカルに描く事が優先され、前回今回と、あれこれ緩め(笑)
 更にこの後、行川アイランド内の売店に勤めるタダシ母に素顔で事情を説明するシーンを挿入してしまった事で疾走感も緊迫感も切断されてしまい、今回の悪夢担当は黒青黄、という事に。
 母子家庭で育つタダシ少年が、母親の為にお金を貯めようとして宝にこだわっていた事情が挿入されるのですが、もう少し、上手いタイミングは無かったものか。
 一方、地図を強引に奪い取ろうとするよりも、宝の場所まで案内させた方が効率がいい、と方針転換したラミィ一行に尾行されているとも知らず、タダシ少年はとうとう地図の示す場所へと到着。
 カモフラージュされていた仕掛けに触れると、山腹のモニュメントから放たれた光がアイランド内のプールに反射して宝の隠し場所を指し示し、実在の建造物を利用する意外性もあって、大仕掛けそのものはなかなか面白かったのですが……数百年前に書かれた筈の地図が、現代の行川アイランドの構造を把握している、摩訶不思議な事態が発生。
 地図の記号がモニュメントの形に似ていたのは偶然の一致だとしても、光線の反射が電話ボックスを計算に入れているのは目のつぶりようがなく…………つまり、行川アイランドは、海賊の子孫によって建設され、今日この日の為に設計されていたんだ!!
 というわけで、光線が直撃した崖がはじけ飛ぶと、崩れた岩の下から宝箱が発見されて三つ巴の争いとなり、とうとう投石地獄の餌食になってしまう赤と桃。
 ゲキ達がジュウレンジャーだと知ってなお、上手いこと言ってお宝をかすめ取ろうとする気だな! と徹底抗戦の姿勢を貫いていたタダシ少年は、宝箱から取り出した“破滅の鏡”がゴーレム兵を粉々に吹き飛ばすのを見て、ようやく事態を把握。
 心根は真っ直ぐだった少年が、その足で銀行へ向かわずに機転を利かせて“破滅の鏡”を見せた事でガンロックは粉々に消し飛び、ゲスト少年にトドメを刺された戦隊怪人は、『超獣戦隊ライブマン』第25話以来でしょうか。
 これによってバッドステータスが解除されると5人集合するジュウレンジャーだが、鏡はラミィに奪われてしまい、大獣神を倒す為、さらっと鏡ごとラミィを巨大化するバンドーラ様、相変わらず凄い(笑)
 「見るな大獣神! 見たら死ぬ! みんなも目を閉じるんだ!」
 鏡を突きつけられた大獣神は不利な戦いを強いられるが、加勢に入ったグリフォーザが鏡を見てしまいそうになり慌てたラミィが手を離した隙に、ゴッドホーンで鏡を一刀両断。
 大獣神が窮地を脱すると黄金夫婦も撤収し、そろそろ勢いでどちらかが消し飛ぶかと思われましたが、割としぶとく生き延びます。
 本当に母親の事を思うなら、プレシャスを求めて一発当てようとしても保険も利かずアパートも借りられないトレジャーハンターなどにならず、福利厚生のしっかりした組織で地道に働こう! と少年を諭して大団円となり、プリンスは、そんな国民の税金を集めて暮らす生き物です。
 内容といい映像といい、一夏の冒険ジュブナイルといった感じで、本当は夏休み向けの予定だったのが色々あって制作・放映がズレた、と言われたら信じるレベル。
 モニュメントからビームが! とか、崖が大爆発! とかはどちらかといえば好物なのですが、電話ボックスを経由するのは、さすがに遊び心が行きすぎたと思う次第です(笑)
 次回――17話ぶり3フェーズ目の恐竜のタマゴ。