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ラー・デウスにも似てる

恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第33話

◆第33話「教えて!勇気玉」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:鷺山京子)
 白い仮面に白いドレスの幽霊めいたドーラレイガーが異空間に子供をさらい、少年が池の中に引きずり込まれるとスリッパだけが浮かぶ、冒頭から刺激的な映像。
 ボトルの中に子供たちの魂を集めているレイガーは、連続子供蒸発事件の調査を始めたジュウレンジャーの前に現れると、大洪水を起こして地上は終わりだ、と宣言。少女サオリが生け贄として池に沈められそうになったその時、ペンダントから放たれた光により異空間が破られ、サオリの持つペンダントに、太陽の妖精サニーが封じ込められていた事が明らかになる。
 超古代、バンドーラは太陽の妖精サニーと、雨の妖精レイニーを宝石に封じ込め、レイニーの石を額につけたドーラレイガーは水を操る力を得るが、サニーの石は行方不明になっていたのだった。
 妖精サニーの言葉はサオリにしか聞こえず、妖精の姿を見、言葉を聞く美しい心の持ち合わせは、竜人類には無かった!
 親友だったレイニーを救おうとするサニー(通訳:サオリ)の案内により、一同はレイガーが行う雨乞いの儀式の場へと乗り込み、ちょっと新演出でダイノバックラー!(太陽を背負い、斜め下のカメラに向けてバックルをかざすゲキが格好いい)
 変身前は気の良いお兄さんたち、変身後はあの有名なジュウレンジャー……! というのがゲスト子供の基本的な反応になっており、囚われの子供たち(既にちょっと魂が減少済みかも)を助けようとするジュウレンジャーだが、レイガーが作り出す異空間に飲み込まれると、宙を自在に飛び回るレイガーの水芸に苦戦。
 もうとっとと宝石をかち割っちまおうぜ! とドライな判断を見せる知恵の戦士を勇気の戦士が止め、レイニーを救う為にサニーの力を借りよう、とジュウレンジャーは恐竜メダルの力を集めて青を異空間から脱出させる事に成功。
 ここだけ見ると凄く唐突ですが、どうやら初期から見せてきた雑な異空間ブレイカーぶりは、恐竜メダルの力によるものだった、と説明がついた……のか?
 「サオリちゃん、怖さに負けちゃ駄目だ! もう一度、勇気を出してみるんだ! ほんの少しの勇気の力が、怖がる心に勝つことができる!」
 ダンは隠れていたサオリを励まし、前回のゴウシに続き、究極大獣神復活回でそれぞれが担当した使命を改めてエピソードとして紐付ける趣向のようで、キャラ回の補強にもなって、これは成る程の仕掛け。また、使命がそもそも典型的なマジックワードであったので、その中身を肉詰めしようというのは、(成功するかどうかはさておいて)嬉しい意識。
 ダンは、空中に書いた「ゆうき」の文字を丸めて飲み込む「勇気玉」の芸を見せてサブタイトルと繋げるが、ジュウレンジャーをボトルに収めたレイガーが姿を現し、後半戦に入っても相変わらず、全滅寸前頻度が高い。
 今作定例、着ぐるみ度薄めのドーラレイガー、見た目でいえばシャドウロボット・着物毒蛾(振り袖・女物のカツラ・般若の面・両手には唯一の怪人感を主張する巨大な爪・男の声、という、怪人迷走度高めの『キカイダー01』でもだいぶ困惑する一体)寄りながら、広い空間で吊りを駆使した空中殺法を見せ、アクションは全体的になかなか派手め。
 宝石と宝石を接触させる事がレイニー解放の手段、と首飾りを受け取ってレイガーに立ち向かうトリケラレンジャーは猛攻を受けて首飾りを落としてしまうが、物陰に隠れていたサオリが、クラスメイトを助けられなかった自分を、ほんの少しの勇気の力で変えたい、と勇気玉を飲み込んで飛び出していき、首飾りを手に決死のダッシュで突撃し、爆発! 爆発! 爆発! 爆発! 爆発! 爆発!(計6回)
 精霊さんの仇じゃぁぁぁぁぁと捨て身で迫り来るサオリにレイガーの注意がそれた所を狙い、青が足払いから羽交い締めにして、二つの宝石が接触
 レイガーが力を失うと儀式の祭壇が崩れて術式が崩壊し、子供達とジュウレンジャーは解放。逆襲のコンビネーションアタックから、ハウリングキャノン……じゃなかった、サンダースリンガー一斉射撃が放たれ、レイガーは岸壁の藻屑と消えるのであった。
 今回は巨大化はなく、サニーとレイニーは共に宝石の中から解放され、サオリもクラスメイトと仲直り。
 ナレーション「勇気は、強くて格好いいヒーローだけのものじゃない。心の中に眠っている、小さな勇気を奮い起こすなら、誰もが立派な勇者なんだ。ジュウレンジャーは、いつも、君たちの仲間だ! 頑張れ、恐竜戦隊ジュウレンジャァァァ!!」
 えらく気合いの入ったナレーションさんが綺麗にまとめ、少女の友情と精霊の友情、失われたそれを取り戻す為に小さな勇気を奮い起こした少女が勇者に変わる、そしてヒーロー(ダン)はそのきっかけとして機能する、という鷺山さんらしい整った文法のエピソードでした。
 ……これ、よく書いているのですが、鷺山京子さんについては本当に、ヒーローフィクションとして「文法が綺麗」だと思っています。鷺山脚本回の感想は、つらつらとあらすじを追いがちになるのですが、つまるところ受け手の方で「展開の整理」や「隙間の解釈」を多用しなくとも、綺麗に話が繋がっているので筋をそのまま追えるという。
 次回――力の戦士のターンで、サブタイトルが切実。