『仮面ライダーエグゼイド』感想・第11話
◆第11話「Who's 黒い仮面ライダー?」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也)
「ゲームなら死んでも、コンティニューすれば生き返るけど、人間は死んだらそこで、ゲームオーバーだ」
あと一週間で小児科研修が終了する永夢、は何もない病院の廊下で不自然に転び……永夢のこれは段々、コケ芸なのではなく、ライダーシステムの副作用な気がしてきました。
「ゲーマドライバーに不備はある!」(満面の笑みで)
脳神経外科の受診が必要な気配がしてき永夢の前で、退院予定だった少年がゲーム病を発症するや、突然バグスターに乗っ取られて走り出す謎の症状、から塩男爵が華麗なる復活。
「いきなり分離?!」
「なんで?!」
そろそろ、LV寸胴を経由するのが面倒くさくなってきたから……でしょうか。
「ふふふ、久しぶりだなぁ」
どういうわけか記憶が継承されている(コンティニュー?)様子のソルティバグスターはレベルアップが帽子チェンジで表現され、1クール目の内に早くも流用怪人が登場しましたが、永夢はさっそく激突エグゼイドとなると、LVが違うんだよぉと調子に乗っていたソルティを、こっちはもっとLVが上がってるんだよぉ、と一方的に殴打! 殴打!
「しょっぱい! しょっぱいぞーー!!」
路線としては早急に無くなってしまいましたが、妙にいい声で台詞回しも特徴のあったソルティの復活は、ちょっと嬉しい。
俺にメスはいらねぇ! 患部は拳で細かくすり潰せばいいんだよぉ! とエグゼイドの鉄拳オペから悲鳴をあげて逃げ惑うソルティだが、そこにゲンムが乱入。
前々回の反省は全くなくドラゴンエグゼイドとなるも制御しきれず、見事に自滅している間にソルティとゲンムは姿を消してしまい……瓦礫の間でぴくぴくするエグゼイド……そこは、ギャグにしては駄目なのでは。
退院もクリスマスも喜ばない患者になんとか笑顔を、と考える永夢の一幕を挟み(なお患者の母親役は、『コスモス』のレニや『ハリケン』の御前様などを演じた三輪ひとみさん)、ゲンムコーポレーションに乗り込んだ九条は、檀社長に日向への疑惑を伝えると、そちらの仮面も引っぺがしてやる、と宣戦布告。
九条訪問とタイミングを合わせてか、他3名を呼び出していた檀は、黒いエグゼイドがウィルスをまき散らす首謀者だと宣言して、4人を焚き付けると共に、衛生省への疑惑をほのめかす。
「待って下さい! 恭太郎先生は悪い人じゃありません!」
「ハハハ、日向恭太郎を信じる根拠は? あるのかい?」
「人を信じるのに、根拠なんて必要ですか?!」
……えっ……く、九条の事は…………
「僕は先生を信じる。あなたの事は信じない。それだけです」
思ったより酷い扱いだったーーー!!
振り下ろす刃のあまりの切れ味の鋭さに、大爆笑。
「社長さんよぉ……あんた一体なにかんがえてんだ?」
「勿論。人類を脅かす、ウィルスの根絶さ」
社長にはコケにされ、永夢からは腐ったタマゴ扱いを受け、散々な目に遭った九条が永夢の手術について16年前の記録の調査を続け、医師・日向恭太郎の患者への真摯な態度を知って疑念が揺らぐ一方、日向が永夢に覇権ハード・ワンダースワンを渡したように、患者の好きなケーキを手に入れようと奮闘する永夢には残念ながら人の心がよくわかっていなかった。
恩人であり心の師である日向の行動と永夢を重ね、“魂の継承”を描いているっぽいシーンなのですが、現状、日向恭太郎のイメージカラーは、限りなく黒に近いドブネズミの色なので、いい場面と受け止めにくい!(笑)
患者の気持ちをどうすれば解きほぐす事ができるのか……悩める永夢の元に檀社長からの電話が入り、永夢先生はどうして、社長からの
電話受ける時、(……非通知? 誰だ?)みたいな出方なのですか。
言われるがまま、ポッピーと共に少年を連れ出す永夢だが、呼び出しの場所に現れたのは、黒いエグゼイド。
「死のデータを取る」
「そんな事は――絶対にさせないっ!」
Dエグゼイドと黒ゼイドの戦いが始まり、通りすがった九条は、思わず飛び出してエグゼイドをカバーリング。
「人を信じるのに根拠はいらないんなら! だったら誰になんて言われようがブレんな! 自分自身の心を信じろ!」
九条の叱咤にドラゴンの暴走が止まってしまうのですが……話の流れとして、「永夢が九条を信じる事にする」なら、主人公の“変化”としてまだ劇的になりうるものの、「九条が永夢を信じる事にする」は方向が逆で、どうにもピンと来ず。
前回の一件により、永夢の中に“他者に信頼されたい”思いがあるとしても、今回、「永夢が九条の信頼を勝ち取る行為をした」わけではなく、「九条が、日向恭太郎はそんなに悪い奴じゃないかもしれない」と思ったのを「日向を信じる」から「永夢を信じる」に繋げるには飛躍が大きすぎますし、そもそも前回、その永夢が人間同士の関係を土台から破壊するような行為をした直後なので、その精算も反省も全くされないまま説得力の薄い九条発言を劇的に描かれても、ポカンとします。
九条視点だと、黒ゼイド/檀が明らかに胡散臭いのはハッキリしているので、日向問題を保留してひとまず檀を締め上げる為の方便にも聞こえるわけですが……今回ラストで、「うっそー! 前回のお返しに決まってんじゃーん」とかやったら、それはそれで凄いですけど(笑)
永夢と九条がトモダチ契約(3話ぶり3回目)をかわすと、飛彩と大我も参戦し、あれ? これから俺のフィーバータイムで友情パワーがダイナマイトするんじゃなかったの?! という表情になる九条だが、ドラハン4人プレイがスタートし、今日もタイヤが宙を舞う(プロップ投げると怒られる話をよく聞くので、妙に気になりますが……今作はそれ前提で作ってあるのかもですが)。
前回に続いて、チーム医療=袋だたき、数こそがジャスティスとドラゴンドクターズが猛攻を仕掛けると、ダメージにより自転車ガシャットが排出され、LV1となった黒ゼイドはライダーゲージも大きく減少。
「今こそ、死のデータを手に入れる時」
死にたくなかったら洗いざらいうたって貰おうか、と迫る執刀医たちだが、黒ゼイドは白いガシャットをバグバイザーにセットすると、外野の少年めがけてクリティカル跳び蹴りを放ち、それをかばったドラゴンエグゼイドのカウンター尻尾が直撃!
ライダーゲージが0に達し、研修医に手術中のキルマークが付くかと思われたその時、バグバイザーを自らに突き刺してなんらかのデータを移動すると、何故か爆発四散しなかった黒ゼイドは、その正体を明かす。
「私の名前は――仮面ライダーゲンム」
変身を解除すると、割と派手に背広が裂けていた社長は、黒いエグゼイドによる数々の妨害行為はテストプレイであり、全ては究極のゲームを作る為、と宣言。
「宝生永夢。君の心の水晶は砕けず、輝き続ける事が出来るかな?
「……あんた……マジで死ぬぞ」
「ふっ……ドクター諸君。私たちのゲームはまだ始まったばかりだ!!」
ごく一部への迂闊な正体バレなどありましたが、満を持して自らの正体を明かした社長は、弾幕を張って逃走するとアジトへ戻り、その取り出したガシャットは――『デンジャラスゾンビ』。
「完成した……全ては計画通り!!」
「自分の体で死のデータを取るなんて……ほんっと恐ろしい男だなぁ……おまえは」
社長はプロトガシャット(クロゼイド)の力の使いすぎで既に長くない体だった事を明かし、リスキーだが強力なプロト装備の代償を悪役側がきっちり受けていた上でそれを次へ繋がる行動の理由付けにするのは、面白い話運びになりました。
「心が躍るなぁ。いよいよニューゲームの、スタートだ」
新たなガシャットを手に、二人で自撮り、みたいなカットで、つづく。
次回――クリスマスプレゼントだろ?!