『恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第21話
◆第21話「守護獣大あばれ」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升)
大獣神会長が血だまりに沈む光景が改めて描かれ、関東守護獣会の後ろ盾を失ってしまう大和組。
ナレーションも苦悩するゲキも、「ゲキがブライと戦う事を躊躇ったから」を敗因として強調してくるのですが、皆既日食の影響で大きく弱体化していたのが最大の要因なので、どうも強引に。
パンドーラ会では関東制圧記念の宴もたけなわ、一座に酒が回ったところを見計らって「これでワシが天下を獲るんじゃぁぁ」とバンドーラ会長に仁義なき凶刃を向けるブライだが、そんな思惑は百も承知、とあっさりかわしたバンドーラにより逆に地球へと放り棄てられ、強い、強いぞバンドーラ様……!
敵が全盛期の恐竜人類×守護獣でなければ、あっさり地球を滅ぼしていた気がしてなりません。
復讐に狂い、渡世の仁義を軽んじた末にバンドーラ会からも切り捨てられたブライは、森の中で全身白装束に白塗りという不気味な少女に出会うと、謎の空間へ引きずり込まれる。
「ここは、どこだ?!」
「ここは、お兄ちゃんの新しいおうち」
か、監禁?!
「ここは時間が止まった世界。だから、ここに居るかぎり、お兄ちゃんは歳を取らない。でも、一歩外へ出れば、お兄ちゃんの命は、あと、30時間とちょっとしかないわ」
問答無用で謎空間に放り込まれるや否や、脈絡なく命を時限式にされてしまったのですが、これは、魔剣の呪いか何かなのでしょーか。
ついさっきまでヤクザ映画だったのに突然ホラーにジャンルが変わり、目の前の少女のノリが、「もう130日ないわ……127……126……125……」「43……42……41……もう40日ないのね、この星が消えてなくなるまで」のカウント早いよ! でお馴染み美香ちゃん(くしくも同期の『特捜エクシードラフト』登場)にそっくりなのですが、始まってしまうのか、炎の黙示録。
「いったい、どういう事なんだ? 馬鹿な……。俺の命が……あと、30時間だと……?」
部屋の出入りのキーとなる短剣・獣奏剣を与えられたブライはがくっとうなだれ、1億7千万年ぶりに娑婆に戻ってきたと思ったら、あっという間に娯楽皆無の独房送りとなる、むごすぎる展開。
せめて、ゲームボーイを……と短剣の力で仮出所したブライが、少女に言われた通りに獣奏剣を笛として吹いてみると、怪獣、出てきた。
海賊版で見た覚えのある尻尾を振り回し、埠頭に大混乱を起こしながら姿を現したのは、新たなる守護獣ドラゴンシーザー。なかなか格好いい。
「暴れろ! もっと暴れろ! はははははははは!」
笛の音に導かれるようにして上陸した巨大怪獣ドラゴンシーザーは街を蹂躙していき、なんとしてでも子供を被害に合わせる姿勢がブレません。
瓦礫の下敷きとなった子供を助けていたゲキに気付いたブライは緑に変身すると、シーザーの頭部にひらりと着地。
「聞けぇ人間ども! 今日からこの俺が、地球の支配者だ!!」
基本、唐突(笑)
発言に飛躍の目立つブライ、もしかすると冷凍睡眠の不具合で脳に深刻な障害が起こっており、それで寿命が……
「ははははは! ははははははは!」
無残な破壊の光景を高笑いで見下ろす完全な悪役ムーヴでシーザーを大暴れさせて、これは独房送りにされても仕方ない……と緑は境遇に自ら説得力を付け加え、ゴウシたちと合流したゲキは、その姿に抱えていた迷いを振り切る。
「おのれブライ! 俺は間違っていた。己の感情に惑わされ、一番大事な事を忘れていた! みんな、俺はやる。ブライをもう兄とは思わない! 正義の為に、この手で必ず倒す!」
5人揃ってダイノバックラーするもシーザーの指からミサイルが街ごとジュウレンジャーを吹き飛ばしていき、予想外の戦力増強に慌てたバンドーラ様が、グリフォーザとラミィを地球へと送り込んで抗争はいよいよ三つ巴に。
基本、1号ロボ敗北からの2号ロボ登場編なのですが、ブライの存在を中心に回しつつ、1号ロボを完全にフレームから外した上で、新登場のロボが悪役サイドとして大暴れする事により強化展開から流れ作業的な印象を抜き取る事に成功しているのは、面白い構成。
ブライの命が消えて無くなるまで、もう29時間ないわ……28……27……果たして、獣と龍の戦いの行方や如何に?!