『恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第19話
◆第19話「女戦士サソリ!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
見所は、歌って踊るバンドーラ一味に冷たい視線を向けるが、表だっては文句を言えないブライ(居候)
換金性の高い宝石類と、一緒に封印されるべきだった!!
通貨は無くても城が作れるバンドーラ様は、このところミュージカルというかオペラ路線を押し進め、その呼び声により動き出す謎の巨岩。
一方、生き別れの兄ブライが凶暴なヒットマンとして現れた事に落ち込むゲキは、苛められている弟を助ける兄の姿を目撃し、兄がいじめっ子の顔面に右ストレートを叩き込むのが、珍しいパターン(笑)
なお、あまりにも早く生き別れた為に幼少期の思い出とか皆無な為、ゲスト少年兄弟を見つめさせてみても、ゲキの心情に何も発生しない横転事故。
「海で拾ったタマゴ?!」
そんな兄弟の去り際の一言に衝撃を受けるゲキだが、追いかけようとしたその時、「たった今近所の子から聞いた」とゴウシらがタマゴ情報をもたらし、繋がる点と点。
「君たちー! さっき海でタマゴを拾ったって言ったね」
(ざ……ざざ……)
「じゃ、早速いただくとするか」
「個人の財産を勝手に奪う事はできません」
「プレシャスの存在を公にするわけにもいかない」
「ネガティブの手に、渡らないようにするだけさ」
(ざ……ざー……ざー……ぶぶ)
「やだ! 僕たちが見つけたんだぞ!」
(※只今、並行世界からのノイズが入った事をお詫びします)
先に探していたから我々のもの、と滅茶苦茶な既得権を主張するジュウレンジャーに対して当然嫌がる弟だが、物わかりのいい兄の仲裁でタマゴの隠し場所へ向かう一同……の後ろをついてくる岩石(笑)
隠し場所に入っていく7人を……じっと見つめている岩石(笑)
背後で岩石がやたら面白い芝居をしているとはつゆ知らず、兄弟に案内されたゲキたちは、貴様らはサルがお似合いだ事件で見失った恐竜のタマゴを遂に発見。
「やがてこれが孵れば、絶滅した恐竜が甦るんだ」
「でも悪い連中が壊そうって狙ってるの。だからもっと安全な場所で育てないと。私たちに任せてくれる?」
(ざ……ざざ……)
「もう一度選べ。このタマゴを素直に渡すか、それともマグマに焼かれるか!」
「なんだと?!」
「おまえが言ったんだ……俺の牙から逃れられる獲物はいない。その獲物は――タマゴだ」
(ざ……ざー……ざー……ぶぶ)
(※再び、並行世界からのノイズが入った事を深くお詫びします)
詐欺師の常套句で兄弟を丸め込んだジュウレンジャーは首尾良くタマゴを手にするが、直後、プレハブ小屋を体当たりで揺らす岩石(笑)
小屋の中に突入してきた岩石がジュウレンジャーを押し潰そうと追い回した末に、笑い声を立てて岩石の中から現れたのは、金色のサソリアーマーを身にまとった女戦士。
「ドーラモンスター!」
「ドーラモンスター? ばーか。あたしはれっきとしたバンドーラ様の幹部なんだから。名前は、秘密捜査官・ラミィ! らぁ!」
演じている河合亜美さん、そこはかとなく聞き覚えがあるような……と調べたら、『ジバン』や『ソルブレイン』にゲスト出演していたとの事。
「かっこいーー! 頑張れラミィ!」
突然の世界観違いというか、何が捜査官? と思ったらバンドーラ様の命令で恐竜のタマゴを追っていた事が明かされ(が、岩石の姿で……?)、その正体は、なんと……
「「えぇ?! グリフォーザの、奥さん?!」」
無言キャラに、凄い形で個性を盛りつけてきました(笑)
バンドーラ様が黄色い声援を送る中、大剣と光線を操るラミィを前に変身するジュウレンジャーだが、タマゴを守ろうとした少年弟が土手を転がり落ちて頭から血を流す割と洒落にならない怪我を負い、少年兄はバンドーラ一味に連れ去られてしまう。
バンドーラ一味は少年兄とタマゴの交換を要求し、意識不明でうなされる少年弟に恐竜メダルを握らせたゲキは、仲間たちと共に取引現場へ。
策士だからこそ人質交換の現場で余計な欲はかかないバンドーラ様であったが、ゲキたちの裏切り行為によりタマゴをめぐる攻防戦に突入し、炸裂する黄金夫婦フラッシュ!
ゲキはブライの攻撃を受けて容赦無く魔剣アタックで吹き飛ばされ、タマゴを手にしたバンドーラ様は虚空に舞い上がると、今から三日後、大獣神を木っ端微塵にすると宣言……予告の大獣神会長爆殺シーン、イメージ映像でした(笑)
目的を果たしたバンドーラ一味はそのまま姿を消すが、恐竜メダルの力もあって少年弟は回復。少し前まで意識不明で譫言を呟いていた少年が、病院の外へ一同を迎えに出るレベルまですっかり完全回復しており、少年は、生命と引き替えに、人として大事な何かを守護獣に売り渡してしまったのでは……。
「いやなに、恩に着せるわけじゃねぇんだが、あの時の借りを、ちょいと返してくれないかなと思ってよ。いやいや、難しくも危なくもないさ。この住所までね、この荷物を届けてくれるだけでいいんだ、な?」みたいな。
前後編の多い作風ではありますが、ブライの出番はほとんどなく、最大の衝撃シーンは予告詐欺に近かった上で、新幹部登場からタマゴ強奪まで完全にバンドーラ様のターンで終わってしまい、さすがに物足りない内容。特に前回-前々回が特濃の味付けだっただけに、薄味ぶりが目立ってしまいました。
少年兄弟の存在は、これといってゲキとブライの関係にフィードバックされるわけでもなく(次回以降に活きる可能性はありますが……)ただそれっぽい要素を入れてみただけに終わり、少年弟の命を救う為に、変身能力と引き替えにゲキが恐竜メダルを置いていったのもクライマックスバトルで特に機能せず、配置された要素があれもこれも空振りしたまま終わってしまう、悪い意味で『ジュウレンジャー』らしい作りの甘さで、残念。
次回――今度こそ大獣神会長爆殺?! そして、急に色々なフラグが立ったグリフォーザは、生き残る事が出来るのか!