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衛生省が守るべきは法律じゃない

仮面ライダーエグゼイド』感想・第5話

◆第5話「全員集結、激突Crash!」◆ (監督:山口恭平 脚本:高橋悠也
 「ようこそ――LV3の世界へ!」
 ドットズボンのパーマ頭・パラドが夜の街へ向けて高らかに吼え、なんらかの「テストプレイ」を宣言して間もなく、新しく完成した4つのライダーガシャットが盗難された、との急報がCRにもたらされる。
 檀社長はガシャット回収の為にチンピラもとい花家と九条にも声をかけており、檀主観のシーンに切り替わってカメラを引くと、実は背後の机に腰掛けたガラの悪い二人が居ました、は面白かったです(笑)
 とにかくガシャットの欲しい花家、バグスターとは何かを調べたい九条、とそれぞれの「目的」が強調されて対立構造の説得力強化が図られる中、問題のガシャット泥棒といち早く接触したのは、ゲーム病を発症した泥棒と通勤中にばったり出会った宝生永夢。
 背後で起こっている騒ぎなど知らず、永夢はCRへと連絡を取り……注目は、ポピ子を後ろに乗せてバイクの運転手役を務める鏡先生。
 ……まあ今作の主要メンバー、医師という職業設定もあり、話の都合でライダーバトルしているけれどそれぞれ過去に事情があって根っから困った人ではないのです感は露骨に匂わせてはいるのですが、ここまでやってしまうと、“実はいい人”通り越して“キャラ付け台無し”感が物凄く、もう少し工夫の欲しかったところです。
 治療してほしけりゃガシャットの場所を吐くんだな、と人権意識の欠片もない事を言い出した飛彩と永夢が揉めている内に肝心の泥棒が逃げ出し、追いかけた3人が目にしたのは、新作ロボットバトルゲームをベースにした、ブリキのバグスター。
 冒頭から良くも悪くも山口監督らしいテンションの高い演出で、永夢と鏡は変身そしてレベルアップするが、バグスターのロケットパンチが炸裂し、更にクロゼイドが姿を現す。
 ガシャット二本差しでLV3になると、自転車アーマーを身にまとう発想は結構好きで、今回もその力を見せつけたクロゼイドは、何故かバグスターと共に姿を消し……直後、永夢らに接触した九条は、目撃したクロゼイドの正体はガシャット泥棒と告げて、明らかに状況を引っかき回す。
 なお、さすがの永夢先生からも、この嘘つきアロハめ! と警戒されました(笑)
 警戒した直後に、飛彩とポピ子と3人揃って、九条証言を受け入れてしまうのですが、昔の悪い人は言いました。
 「というか、なんで私の言葉を鵜呑みにしちゃうかな」
 ところで毎度ポプ子から、「大我(その前髪はギャルゲーの主人公気取りか!)」「貴利矢(その花柄が生理的に受け付けない!)」みたいな感じで視線と口調に込められた嫌悪感が物凄いのですが、いったいぜんたい何があったのか今一番気になる過去の人間関係は、そこです。
 この後、永夢と檀の対面イベントを経て、ガシャット泥棒でも患者は患者と救おうとする永夢の
 「助けなくていい患者なんて、居るんでしょうか。どんなに悪い人でも、命は命です」
 を熱く描こうとするのですが、その対比に置かれるのが、
 「助けてほしければ盗んだガシャットを返せ」(飛彩)
 とか
 「犯罪者を救う前に、果たすべき使命がある」(檀)
 とか
 法治を屁とも思わず、むしろ自分たちが法律みたいな主張を平然と行う人たちなので、盗人に基本的人権など無いのがRule.
 …………まあ考えてみるとリアルに国家権力と繋がっているので、



 対ゲーム病法第一条・CRのドクターは、いかなる場合でも同意なしに、患者を手術する事が出来る。
 第二条・CRのドクターは、相手がバグスターと認めた場合、自らの判断で病原体を切除することが出来る。
 第二条補足――これらを邪魔する者が居た場合、場合によっては抹殺する事も許される。

 こういう事なのかもしれません。
 クロゼイド=ガシャット泥棒=ゲーム病患者、と信じて戦う事の出来ない永夢の前で、ブリキのバグスター&クロゼイドvsブレイブ・スナイプ・レーザーの戦闘が始まり、開幕早々、ロケットパンチの直撃を受けて瀕死になるブレイブーーーーーーー!!
 更にガシャット泥棒はグラファイトの人間体だった事が明らかになり、スナイプ捨て身の大技も防がれ、ドクターライダーズ、早くも全滅の危機。
 「強いものが生き残る。それがゲームの世界である事は、おまえが一番よく知っている筈だ、天才ゲーマー・エム。ドクターとしての理想など、ここではなんの価値もない」
 首をゴキリとされそうになった永夢は、据わった目つきから瞳孔開きぎみになってエグゼイドに変身。スクラップ置き場のゲームフィールドを展開すると、クロゼイドに敢えて攻撃をガードさせ、その反動を利用したハイジャンプからのハンマー落としで後方のブリキをまず撃破し、攻略順を考える事で逆転の一手を掴むのは、ゲームらしい機知の表現になって良かったです、
 まんまと新作ガシャットを手に入れて、ガシャット二本差しによるレベルアップに成功したエグゼイドは、真っ赤なロボットアーマーを身につけ、更にビビッドな配色となった激突エグゼイドへと大・大・大変身!
 「ノーコンティニューで、クリアしてやるぜ!」
 俺の拳が真っ赤に燃える! おまえを倒せと轟き叫ぶ! 目が2つついててアンテナはえてりゃマスコミがみんなガンダムにしちまうのさパァァァァァンチ!! のクリティカルを受けたクロゼイドは激しい粉塵に隠れて姿を消し……
 「もう終わりか! 俺と戦え!(ふしゅー ふしゅー)」
 いつも以上に鼻息の荒いエグゼイド@殺人未遂がバトルジャンキーみたいな事を言いながらも変身を解除し、場合によっては抹殺する事も許されるのです。
 一方、ライダーゲージをぴこーんぴこーんと鳴らし、はじめての退場者の危機を辛くも脱したクロゼイドが変身を解除すると、その正体はなんと、ゲンムコーポレーション社長・檀黎斗。
 「恐れてるな。エグゼイドの力を」
 「あはははは…………まさか。……恐ろしいのは、私自身の才能さぁ!」
 「心が躍るなぁ――仮面ライダー・ゲンム」
 バグスターと密かに繋がっていた檀社長は、これまでの爽やか路線から一転、マッドな顔芸路線で邪悪な笑みを浮かべ、仮面ライダーの変身能力が悪玉サイド発祥、というシリーズ本歌取りが示されたところで、つづく。
 次回――最近すっかり「口だけエリート」「天才エスケーパー・HIRO」「バイクの運転手がお似合い」になっていた鏡先生に、希望の光は射すのか?!