東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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1クール目までからニューゲーム

 本放送時は1クール見てリタイアした『エグゼイド』、今回の公式配信を機に、改めて見ていきたいと思います。ひとまず1クール目は既に見ている&相性悪いのがわかっているので、さくさく加減の予定(※見ている範囲での先の内容には触れません)。

仮面ライダーエグゼイド』感想・第1話

◆第1話「I'm a 仮面ライダー!」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:高橋悠也
 ワンダースワンが覇権ハードとなって16年――人類は、未曾有の危機に脅かされていた。
 聖都大学付属病院の小児科研修医・宝生永夢は、担当していた患者が不可思議な症状で倒れ、病院に隠された秘密施設、CR<電脳救命センター>に運ばれる場に居合わせる。
 衛生省から派遣されてきた関係者が外出中に、少年が倒れたのは大好きなゲームに触れないストレスが原因に違いない! と新作ゲームの発表会に連れ出す医者、いくらヒーローフィクションといっても、あまりにもデッドボール(笑)
 少年が笑えなきゃ駄目なんだ、と青臭い持論を力説するも、そうだね、死んだら笑う事も泣く事も出来なくなるね、と常識のピッチャー返しを顔面に受けて血まみれで倒れていると、苦しみだした少年を取り込むようにして、ミートボールを繋げたような怪物が出現。
 「……人類は、新型ウィルスに脅かされているの」
 「新型ウィルス?」
 「ゲームから発生したコンピューターウィルスが、人体に直接感染するように進化した。それが、バグスターウィルス」
 増殖したウィルスに肉体を乗っ取られた患者を救う方法はただ一つ――
 ゲーマドライバー(最初、「幻魔ドライバー」と聞こえて、何その邪悪さを隠さない名称……と思ったのですが、大概の変身アイテムは、邪悪さを隠さない方が親切なのでは説が学会でも議論の対象になっているとの噂です)とライダーガシャットを用いて「仮面ライダー」に変身し、患者とバグスターを分離するオペを行う事。
 「仮面ライダー」の名称は、劇中世界において“そういう存在”を指す既に設定された固有名詞としてストレートに持ち込まれ、少年を救おうとするあまりブレーキを病棟に棄ててきた永夢先生は、ドライバーとガシャットを強奪。
 「ゲームなら、この俺に任せとけ!」
 「え?」
 ミートボール28号を前にドライバーを腰に巻き付けた永夢は、ガシャットがROMカセット状だと気付いた途端、何故か急に強気になると、ドライバーにガシャットを装填する事で、寸胴の生き物へと変身。
 いわゆるグローイングフォームをやりたかったとか、“ゲームぽさ”を出す為のSD風味とか、毎年話題を提供する《平成ライダー》のデザイン群においてもかなり異彩を放つエグゼイドを見せるに辺り、クッションを一つ入れる効果を期待したとか色々ありそうですが、まんまとやられた感のある掴みのインパクト。
 どーもくん寄りの見た目とは裏腹に、身軽にミートボールパンチをかわす寸胴ライダーは、ドライバーの装着と共に周囲に展開されたゲームエリアの中を駆け回ると、ブロックを破壊して手に入れたアイテムで能力を強化。
 変身のモチーフになったゲームとライダーの性能が連動する描写から、巧みなハンマー捌きでミートボールバグスターを撃破して少年を救出、かと思われたが、今度はシルクハットの怪盗紳士じみた怪人――ゲーム中のボスキャラであるソルティはくしゃくが戦闘員と共に実体化。
 「あいつをぶっ倒せばいいんだろ?」
 「無理よ! これ以上あなたには使いこなせない!」
 「ゲームの説明書を読まないのが、俺のプレイングスタイルだ! ……これだ。見てろ。天才ゲーマー・エムのプレイをな!」
 説明書を読まない、と力強く宣言した割には、周囲に展開した何かを見ると、いきなり「大変身!」の掛け声でレベルアップして寸胴からスマートな体型に変身するのは、かなり意味不明な成り行き。
 サナギマンからイナズマンなのですが、寸胴体型のインパクトがあっただけに、ギミックをもう少しスムーズに物語に組み込んで欲しかった部分です。
 サナギを破り、蝶が舞う。巨大なゴーグルが背中に回り、手足がぐいーんと伸びてスマートな体型に変貌すると、ピンク光沢のスーツに黒と蛍光グリーンのアクセントが入り、逆立った髪を思わせる頭部に、ゴーグルと三白眼が極めて特徴的な見た目となり、題材はゲームながら、主人公ライダーのデザインはどことなくスポーティ。
 胸部アーマーにはゲームのコントローラーを模していますが、膝丈ズボン・黒タイツ・派手なシューズ、と見るとバスケットボール選手などを想起させます。
 三白眼ライダーは、華麗に跳ね回りながら群がる雑魚を次々とハンマーで撃破していき、無重力感のある跳躍の強調もどこかバスケ的で、効果音と文字エフェクトでアメリカン忍者……じゃなかった、ゲームぽさを表現すると、ABボタンの付いたピコピコハンマーをソードに変形させて、軽快なアクションで雑魚を殲滅。
 「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」
 残るソルティバグスターを空中コンボで圧倒すると、マイティクリティカルストライクを発動して連続空中蹴りを浴びせて完勝し、妙に渋い声と口調で喋る濃いめのキャラ付けの割りに、ほぼ何もしないまま死にました、はくしゃく……。
 説明書不要のぶっつけオペの成功により少年は健康を取り戻し、その光景を遠めがねでストーキングするBJヘアの男……破壊されたゲーム発表会の会場に現れた花柄グラサンの男……ドライバーを手にした背広の男……と、関係者が顔見せ登場し、ゲーマドライバーの“適合者”だった永夢は、バグスターに対抗する為の極秘部署・CRへと転属。
 諸々の説明役であり、ドライバーとガシャットを手に天才ゲーマーを探し回っていた衛生省の女は、どういうわけかゲーム筐体の中に入り込むと、奇抜な衣装と異常に高いテンションでポピ子を名乗り、「エグゼイド」の名を与えられた研修医・宝生永夢=天才ゲーマー・エムが、(もしかして一週間前のセーブデータからやり直した方がいい……?)と愕然として、つづく。
 ゲーム×医療、の奇抜な設定に加え、脚本家が初参加という事もあってか、「ゲーム」要素と「医療」要素と「変身ヒーロー」要素のバランス調整が決め切れていない節が見えますが、出だしは全体的にコミカルかつハイテンポに展開。
 ところどころ過剰な描写と、効果音の強調などは、後半のバトルシーンをスムーズに見せる狙いもあったかとは思われますが、今後どういう方向性で落ち着いていくのか、すっかり忘れているので楽しみです。
 一つ、多分、本放送の時に引っかかって、今回改めて見ても引っかかったのが、冒頭モノローグで「もし、この世界に、ヒーローが存在するとすれば――彼らの事を言うんだろう」と医療従事者を現実の“ヒーロー”となぞらえておきながら、その最後で各仮面ライダーのシルエットを見せながら「……僕たちの世界を救う、本物のヒーローが居た事を」と持ってくる事により、医療関係者は“本物”のヒーローではない、という文脈を発生させてしまった事で、最初と最後で「ヒーロー」の意味が変わってはいるのですが、フィクションを通して現実の人々に光も影も投げかけられるのだからこそ、もう少し、丁寧に気を配って欲しかった部分です。
 現実と虚構をリンクさせる形で医療従事者への敬意を主人公の背景と動機付けに置く格好いい導入だな……と思っていたら、「仮面ライダー」の踏み台扱いなの?! のガッカリ感よ(完全に忘れていて、5年半ぶり2回目)。
 次回――天才外科医、執刀!