『恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第12話
◆第12話「パパは吸血鬼!?」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:高久進)
「このトットバット、吸血鬼の流れを汲むというのに、未だに血を吸ったことがない。今こそ人間の血を、たらふく吸いまくる時だー」
突然の告白から若い女性に迫るトットバットだが逃げられてしまい、逆に木製バットを振り回す少女・ミチに追い回される羽目に。
警官である父に手柄を立てさせたい、と怪事件を探して回るバット少女・ミチとダンが知り合っていた頃、バンドーラパレスでは無数の眼を持ったドーラアルゴスが生み出されており、超気持ち悪い……超気持ち悪い。
トットバットへの協力を指示されたドーラアルゴスの幻術により、ミチは父親が吸血鬼であるという幻影に囚われてしまい、父を張り込むジュウレンジャー。
実際に吸血事件が発生していて犯人が父親だと誤解してしまう……なら少女の感情やジュウレンジャーの関わりに広がりが出てまだ話にノりやすかったのですが、少女主観では確かに深刻な問題ではあるものの、実態としては現実と妄想(幻影)の混同の為、そのギャップから生じる感覚は「滑稽」に近くなってしまい、具材とそれに対する味付けの選択をミスした印象。
背後には少女の血を狙うトットバットの暗躍もあるのですが、トットバットはトットバットで「滑稽」寄りのキャラクターの為、本来なら主題にしたかったであろう「父と娘の絆」の方がむしろ浮いてしまい、全体の調和を大きく欠いてしまいました。
事件の真相を探ろう、と手分けしている内にダンとミチがアルゴス幻覚に囚われてしまうが、ダンが脱出に成功すると他4人とさっくり合流し、ダン回ぽく見せる為に他4人を画面から消すが、それ以上の意味は全く無く(まあそもそも「事件」が虚像ではあるのですが)……ここまでの12話中、8話が前後編の影響もあるでしょうが、いわゆるキャラ回がきちっと構成できていないのは、大変気になります。
一方、幻影吸血パパに追われるミチは、パパの目を醒まさせなきゃ、と金属バットを取り出し後頭部をがつん! ……じゃなかった、ポシェットの中から十字架のアクセサリーを取り出して突きつけるが勿論無効であり、ここもゲストを活躍させてはみたものの、ダンとの関わりがミチの奮闘を呼び込んだといった連動性が弱いので、ダンとミチ、相互に与える影響がクライマックスの啖呵に向けた助走として全く機能しておらず、ガッタガタ。
外の5人は、幻術には物理だ!とアルゴスに挑みかかるが全方位目玉ビームに苦戦すると、幻術には火力だ!と、ハウリングキャノン。
だが、バラバラに飛び散った目玉が再び合体し、今回も強いぞドーラモンスター。
崖を転がったジュウレンジャーは、幻術をかける為に分離した巨大な目こそ本体に違いない、と気付いた青がミチに迫っていたトットバットを蹴散らすとランスで一撃!
これを見たバンドーラ様がリングサイドからタオルもとい魔法の杖を投げつけるとドーラアルゴスは巨大化するが、合体・ダイノミッションから大獣神がゴッドホーン雷光斬りで核を一刀両断する事で、ドーラアルゴスは最期を遂げるのであった。
ラスト、ミチ父が倒れた女性を介抱している姿が吸血に見えて、と軽い笑いの一幕が入り、ゲスト少女に焦点を当てて父娘の絆を描くのは今作らしい話作りでしたが、状況設定がドラマの軸と噛み合わず、ゲストとダンの関わりもクライマックスへの助走として機能せず、劇的なジャンプが出来ずに残念でした。