『恐竜戦隊ジュウレンジャー』感想・第7話
◆第7話「みえる、みえる」◆ (監督:東條昭平 脚本:杉村升/荒木憲一)
同級生の美知子ちゃんにアタックを仕掛けようとするも手ひどくノーを突きつけられる徹少年……風よ、雲よ、太陽よ、心あらば教えてくれ。君は何故、美和子ちゃんが母親と一緒に居る時にアタックをかけるのか?!
諦めきれない徹少年だが、その美和子ちゃんが大人には姿の見えないドーラゴブリンにさらわれてしまい、ゴブリンの呪力により心神喪失の状態になってしまう。怪事件を追っていたジュウレンジャーは現場を目撃していた徹少年から事情を聴き、おまえのコレかと小指を立てるダン、君は幾つだ……あ、一億飛んで数千万と十数歳か……。
「世界中の子供達から心を奪えば、地球は未来を失い、破滅する! いゃひゃはは!」
ハーメルンの笛吹きよろしく、ゴブリンは魔力を持った音色で子供たちを集めては心を奪っていき、徹少年を助けようとしたダンは迷いの世界ゴブリンサロンへと引きずり込まれてしまう。
二人だけで大ピンチ……かと思いきや、毎度ざっくり異世界へ突入してくるジュウレンジャーですが、子供しか姿の見えない敵にジュウレンジャーが苦戦するのは、面白い趣向。
色男気取りの三枚目であるダンは恋のアドバイスを送って徹の事情を知り、母は既に亡く、父は刑務所で服役中…………重い! 重すぎるよ背景!!
今回、《スーパー戦隊》には珍しい連名脚本なのでどちら主導かわかりませんが、前年まで刑事ドラマテイストの濃い<レスキューポリス>シリーズに関わっていた杉村さん、バランス感覚が世紀末TOKYO(手榴弾の携帯が紳士のたしなみな世界)から戻りきっていないのでは。
バンドーラ一味に奪われたプレゼントを取り戻してやる、と請け負うダンだが、モンスターのアジトでは、プレゼントの中身も、子供の心の炒め物もぺろりと食べられてしまい、今回も残酷童話路線。
徹少年の協力を得たジュウレンジャー(協力すると言ったのはダンだけで他の4人はつっぱねていたのですが、ちゃっかり同行)は、ゴブリンの靴を逆に履かせる事で隠蔽能力を見破ろうとするも、バンドーラ様に介入されてしまう。だが、咄嗟にゲキが既に丸見えだ、と嘘をついた事でゴブリン自身によって靴を逆に履かせる事に成功し、子供を工作兵として先行させ、虚言で敵を丸め込み、恐竜人類に誉れなど不要!!
「正義が勝つのが絶対」であるとはつまり、「勝った方が正義」なんですよ!!
まあ直後に画面切り替わってアジトの外で戦闘員とのバトルに入ってしまうので、この間にまた靴を履き直せるのでは……となってしまうのが凄く『ジュウレンジャー』ですが(笑)
アコーディオンによる音波攻撃を受けたジュウレンジャーはダイノバックラー!
さくっと反撃すると手早くハウリングキャノンを組み立て、キャノン関連のバンクと、この後のダイノミッションのバンクに時間がかかる都合もあってか、変身後の戦闘シーンがかなり短め。
一方で、徹少年を実質的な主人公とした描写にはかなりの尺を割いており、この辺りも作劇の変化が見て取れます。
ハウリングキャノンで木っ端微塵となったゴブリンがバンドーラ様により巨大化されると、守護獣召喚したジュウレンジャーの手にする恐竜メダルからダイノクリスタルが生じる演出が入り………………もしかして、当初はゲキたちが“チームワークの試練”を乗り越えて守護獣に認められると、メダルに秘められていた力がクリスタルの形で解放されて合体可能になる、といったようなギミックが想定されていたのが、色々あって出来なくなった結果、地中から適当にクリスタルが発掘されて万事解決、みたいな話になってしまったのでしょーか。
そう考えると、前回の破滅的ちぐはぐぶりにまだ納得が(笑)
ゴブリンの幻惑音波攻撃に苦しむ大獣神だが、カウンターパンチで楽器を取り落とさせると、恐竜剣ゴッドホーンを召喚し、下段斬りでフィニッシュ。
ゴブリンに食われていた子供たちの心は無事に戻り、徹少年もプレゼントで美和子ちゃんの気を引く事に成功して、つづく。