東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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そろそろ春の読書メモ

アンソロジーに走る

●『連城三紀彦 レジェンド2』(連城三紀彦
 綾辻行人伊坂幸太郎小野不由美米澤穂信による、連城三紀彦傑作選集その2。
 収録6作品中、半分ほどが如何にもな「謎解き小説」の体裁を取っていない事もあって、渋めの佳作揃い、といった感じ。「他人たち」がテーマや語り口が面白かったですが、読んで楽しかったかというと、そうでもないのが難しい……といった具合の短編集。あと、「菊の塵」が、とにかく渋い。
 巻末の選者鼎談が完全にファンの集いになっているのが、面白いといえば面白い(笑)

●『ボーンヤードは語らない』(市川憂人)
 傍若無人な性格だが洞察力に優れた美貌の女警部マリア、その相棒にして冷静沈着な漣、ジュリーフィッシュ事件で二人と協力して事件に関わった空軍少佐ジョン、三者の過去に関わる事件を描いた、<マリア&漣>シリーズ第4作となる短編集。
 シリーズ第1作『ジェリーフィッシュは凍らない』が大変面白かったものの、2作目3作目とクオリティが落ち、特に3作目はだいぶ酷かったのですが……今回の短編集は、良くも悪くもないといった出来。
 ひとまとまりの短編集として意図的なものだとは思うのですが、収録4作いずれも“位置関係のややこしい”事件を取り扱っており、脳内図示が苦手な身としては状況が理解しづらい部分が多々あったので、相性は悪かったな、と。後、主要人物3人の“苦い過去”がテーマな為、4作いずれも暗い内容と重いテーマを扱っており、連作短編集としてのまとまりはともかく、1冊丸々陰鬱なエピソードが続く短編集、はちょっと辛かったです(もともと、長編も明るい作風ではないにしても)。
 ただ、キャラクターは相変わらず魅力的で、特にシリーズお気に入りの空軍少佐ジョン主役のエピソードが一本あったので、そこでだいぶ満足(笑) 後、マリア過去編に登場したルームメイトのセリーヌがいい味を出していたので、シリーズ続刊があれば再登場を期待したいキャラ。

●『日本語はいかにつくられたか?』(小池清治)
 一般書。『古事記』の太安万侶に始まり、藤原定家夏目漱石など、時代時代の人物の業績を中心に、漢字の伝来から仮名の誕生、日本語の書き言葉は如何にして作り出され、発音や構文の自覚を経て成長していったのか……を辿っていき、なかなか面白かったです。

 以下、アンソロジー

●『ダウト きりのない疑惑』
 ジャズミステリー「辛い飴」(田中啓文)が秀作。シリーズ作品を読んでみたい。

●『曲げられた真相』
 ようやく「独白するユニバーサル横メルカトル」(平山夢明)を読む事が出来ました。……面白くない事は無かったのですが、あまりにも期待度を上げすぎてしまったかも。

●『天使と髑髏の密室』
 底本は『本格ミステリ02』。「本格」と銘打った、いわゆる“謎解き小説”が集められている事もあって、今回読んだアンソロジーの中では、個人的なアベレージが一番高かったです。言うほど量は読んでいないのですが、やはり、加納朋子(「ひよこ色の天使」)は上手い。

 今回の収穫は、田中啓文