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夜の対馬の暗闇に(スパイダー仁!)

『GHOST OF TSUSHIMA』感想・その6

 (※発売からだいぶ経過しているので、ストーリー内容に触れています。ご留意ください)

第6話「ギラリと光る怒りの眼」

 闇討ちかけて 誉れを捨てて 蒙古を追って 地を駆ける
 (チェンジ 冥人の型!)

 鉤縄使って谷から谷へとひゃほほいしている境井仁の事を、心中密かに「スパイダー境井様」と呼んでいたのですが、むしろ東映スパイダーマン』主題歌が、ほとんど境井仁のテーマな事に気付いた今日この頃。
 東映時代劇と任侠物とヒーロー物は親族関係にあるので、これはもはや必然の帰結といえるでしょう。
 Q.E.D.(証明終了)
 そんなこんなで今日も今日とて対馬を巡る境井仁(最近、毒殺の味を覚えた)、家伝の鎧を取りに帰った実家で乳母と再会し、「おう婆さん、おまえの知っとる秘伝のシャ○の精製法をちょいと工夫して、特濃のブツをモンゴリアンマフィアどものシマにばらまいてやれば、あいつら、戦う前からラリっておだぶつってぇ寸法よ」と持ちかけたところ、精神的ショックにより婆やが心を病んで死亡しました。
 ……実際の話の流れとしては、鎧を身につけた仁の姿に先代の面影を見た事で寄る年波から精神にガタが来て……というものなのですが、あまり変わりは無い上に毒物の精製を持ちかけるのは本当なので、やはりトドメは境井仁が刺した気がしてなりません。
 その婆やを始め、政子殿やゆなからも、聞きたくもなかったパーソナルな情報を次々と投げつけられて、第2章に入ってから主要キャラ絡みのサイドクエストで放り込まれるヘビー級のパンチの連打に、境井様のメンタルは割といっぱいいっぱいです。
 石川先生を殴りたい。
 幼い子供を含む一族皆殺しという取っかかりからヘビーすぎた政子殿にいたっては全く人の話を聞いてくれず、「拙者が容疑を確認するからちょっと待ってて」「うんわかった」と言った数秒後には刀を抜いているのが日常茶飯事。
 否認している相手も、黒幕に繋がる証言を得られそうな相手も、端から私がルールブックだでフォージャスティスしていく人間口封じマシーンと化しており、あまりの勢いに、これはあれか、
 「……ま、まさか、全てはあなたの仕業だったのですか?!」
 「ふふふ、そうだ仁。おまえのお陰で口封じが捗ったぞ」
 と、「真犯人は政子殿」説が私の中で浮上しつつあります。
 名前があってもなくても一寸先は惨死体な修羅の巷・対馬を周遊し、神社を詣で、祠を探し、温泉につかったりとしている内に大きな砦を見つけたので、これはどうやって攻略したものか、とワクワクしていたら、武士道大原則ひとぉつ!と、伯父貴が華麗なる正面突破をキめ、
 (さすがじゃ、伯父貴ほどの男になると、シャ○なんかやらんでも、怖いもんなんて何もないんじゃ)
 と、尊敬を新たにする境井仁でありました。
 それからあれこれイベントは進み、第1章クライマックスがあまりにも最高なカチコミだったので、第2章クライマックスはどうなるかと思いましたが……いやこれが予想を遙かに超えて盛り上がり、大変面白かったです!
 まさか、アレがアレの伏線だったとは思わず、その上でアレをスムーズに飲み込ませる為に事前にアレが仕掛けてある(色々と強烈な展開なのでさすがに伏せます)、という話の組み立てが実に巧い。
 洋ゲーの大作RPGは、選択肢でクエスト内容が分岐していくものが主流のイメージがありますが、今作は基本的にクエスト中の行動選択やそれによる内容の変化はなく、ゲーム的な自由度とプレイヤーによる介入よりも、“主人公の在り方”を深く掘り下げ、それを如何にプレイヤーに伝えるかに注力されています。
 その結果としての、境井仁の“感情”を演じる、という意味でのロールプレイ(役割演技)のしやすさが怒濤のストーリー展開と見事に同調して、強烈なゲーム体験でありました。
 物語は第3章へと突入し、果たして冥人の歩む修羅道の先に何が待ち受けているのか、境井仁の旅の行く末を、見届けたいと思います。

 君は何故 君は何故 戦い続けるのか 命を懸けて
 一筋に 一筋に 不死身の冥人 スパイダー仁