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鍛え上げろよオーラパワー!

光戦隊マスクマン』簡易構成分析

 あれもこれも貯まりすぎているので、ひとまず、データだけ集めておいて総括と構成分析の叩き台にする作業をしておこうと思いまして……もう何年前だ『マスクマン』見ていたの!(2年ぐらい前でした)

 主要スタッフは、以下の通り。
 演出〔長石多可男:24本 東條昭平:23本 山田稔:4本〕
 脚本〔曽田博久:35本 藤井邦夫:10本 井上敏樹:6本〕

 80年代後半、長石-東條の両雄が大車輪だった時代で、脅威のほぼ二人ローテ。山田監督はこの頃、病気療養されていたとの事で、今作は4本のみの参加。次作『ライブマン』前半に参加後、メガホンを置く事に。
 脚本陣は盤石の曽田-藤井体制に、前作『フラッシュマン』で《スーパー戦隊》デビューした井上敏樹が参加。

 メイン回(判定は筆者の独断によります)は、以下の通り。

レッドマスク/タケル
 〔6.9.10.17.23.24.27.28.29.33.36.38.39.42.46.48〕:16回
 基本、タケルと美緒(イアル姫)のロマンスを物語の太い縦軸に据えた作品という事で、圧倒的主人公度。単発の軽いエピソードにおけるメイン率も高く、かなり優遇されたレッドといえそうです。……一方で、タケルと美緒(イアル姫)の「個人×個人」のミクロな関係性を、地上と地底の「世界×世界」のマクロな関係性に繋げるのかと思えば腰が据わらないままになってしまい、物語は衝撃の結末を迎える事に……。キザ属性と武闘家属性を組み合わせた結果、前身に拭いきれないアウトロー属性がにじみ出してしまい、光戦隊の闇は深い。
 (その男から逃げられないと覚った時、俺は戦い抜くしかないと覚悟した。想像を絶する戦いは、いつ果てるともなく続いた)

ブラックマスク/ケンタ
 〔7.11.13.16.26.32.37〕:7回
 前半はサブリーダーとしてかなり優遇されているのですが、後半は尻つぼみに。ただ、基本設定ながら序盤以降は顧みられなかった「姿レーシングチーム(私たち)としての夢」を拾い、ゲストとの友情を通して「夢」×「ヒーロー」を綺麗に繋げた第37話は名作回。日本刀を振り回して襲ってくる師匠が居て、光戦隊の闇は深い。
 「先生……もっと、もっと稽古をつけて下さい。僕は、僕は強くなりたいんです」

ブルーマスク/アキラ
 〔5.8.14.19.25.30.35.43.44〕:9回(コンビ回1)
 終盤の地底剣士アキラ編分、ケンタより+2回。……こう見ると、バラバのマッチアップ相手ぐらいは、ケンタに回すと終盤のバランスがもう少し取れたのかな、と。年下枠美少年ブルーであり、チームの中ではのんきな楽天家といった扱いなのですが、ごくごく普通に街中で刃物を振り回して訓練に励んでおり、光戦隊の闇は深い。
 「いい天気だけど、地上には血の雨が降るかもな」

イエローマスク/ハルカ
 〔12.18.31.41.47〕:5回(コンビ回1)
 初メイン回が遅く、メイン回も少なめながら、闇に生まれ闇に死すハードボイルドニンジャな為、強烈な存在感を発揮(笑) スーパーニンジャ回とか、知らず知らずの内に周囲に甘えてソロプレイの時より弱くなっていた! と言い出す回とか、ぶっ飛んでいて好きです。出がけに燃えるゴミを捨てるように手裏剣を投げ、メイン回の度に幼少時のトラウマが語られ、光戦隊の闇は深い。
 「私は、代々忍者の家に生まれ、子供の頃から、忍びとして育てられたの。忍びは、人知れず修行し、人知れず戦うものと教わったわ」

ピンクマスク/モモコ
 〔8.15.20.34.41〕:5回(コンビ回2)
 現在に比べて、男性メンバー優先傾向が強い時期ではありますが、改めて見るとかなりの偏り。一応なんとか、女性二人が回数を揃えているのは、計算したところでありましょうか。グレートファイブ敗北編となった第20話の壮絶な生身バトルは印象が強く、努力すれば誰だってコンクリートブロックを生身で砕けると小学生に指導するその姿に、光戦隊の闇は深い。
 「己を信じ……生身で戦い……決してへこたれず……最後までやり抜く。そう子供達にも教えた…………許さん!!」

長官/姿三十郎
 〔40〕:1回
 長石多可男×藤井邦夫のロマンス趣味が炸裂した海でピアノでおじさま回をメインにカウント。戦隊メンバーのスカウト手段が、暴力と死の恐怖で対象者徹底的に追い詰める闇討ちで、光戦隊の闇はどす黒く深い。
 「オーラパワーを引き出すのだ」

 主なイベントは、20-21-22話が、グレートファイブ敗北~ギャラクシーロボ登場編。
 27-28話は、追加幹部の盗賊騎士キロス登場と、必殺兵器パワーアップ編。
 2号ロボ作劇がまだ模索期で、とりあえず2号機が出ればいい、という形でその後の使い分けなどに全くドラマ性が生まれないのは、“意志を持ったロボット”という設定は面白かっただけに、残念なところでした。
 メイン回をカウントする為に、過去の感想を軽く流し読みぐらいはしていったのですが、改めて、個々のエピソードはそんなに嫌いではなく、『チェンジマン』『フラッシュマン』に比べると、戦隊メンバー個々をキャラクターとして掘り下げようとする意識も強く見えるのですが(その結果、妙に各人の背景が薄暗い謎の副産物が生まれましたが……)、主軸に据えたロマンス・地上と地底の潜在的な融和テーマ・イガム王子の秘密・敵サイドだけで盛り上がるラスボスの謎、といった物語の引きがとっちらかってしまい、


 いよいよ終章に突入し、戦隊メンバーの一人が一時的なコントロールどころでない状態で敵に回る、という衝撃の展開なのですが、タケルと美緒ではなく別のところで盛り上がっていいのだろうかという疑問は少々(笑)


 アキラに関しても、真相は地底都市回が生んだ誤解だったのはともかく、マスクマンの反応が「地底人なんかじゃなかったぜひゃっほう!」と描かれてしまい、地上と地底の融和というテーマに関して、どうにも足取りの定まらない展開が続きます。


 このバトルジャンキーがイガム=女だと知ると2年前の覗きの意味が変わってくる可能性があるのですが、蚊帳の外すぎて涙も出ません。

 と、歯車が噛み合わず仕舞いで最終章に突入してしまった上、当時のシリーズの通しテーマといえた「青春」の注入が致命的な容量オーバーを生んでしまったのは、返す返すも惜しまれます。