東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

金銀パールダイヤモンドアルセウス

戦隊金銀その他の系譜を雑に振り返る

 実質的な追加戦士編となりましたので、付記事項は、戦隊内部でのポジションではなく、既存メンバーから見た関係性としました。対象は完走作品のみですが、基本設定ぐらいは未完走作品にも触れています。ゲスト的なものや、特殊な変身はカウント外としました(例:デカスワン、トッキュウ7号、など)。*は、女性戦士。

ゴールド編


2005 『魔法戦隊マジレンジャー』 マジシャイン/ヒカル ――教師

2008 『炎神戦隊ゴーオンジャー』 ゴーオンゴールド/須塔大翔 ――鼻持ちならないセレブなエリート

2009 『侍戦隊シンケンジャー』 シンケンゴールド/梅盛源太 ――寿司屋(一般市民)

2015 『手裏剣戦隊ニンニンジャー』 スターニンジャー/キンジ・タキガワ ――ヒットマン→弟弟子

2018 『警察戦隊パトレンジャー』 パトレンX/高尾ノエル ――協力者……?

 ブラック編で、キングレンジャーが黒か金かいつも悩む、と書きましたが、よくよく確認してみるとキバレンジャーも割と派手な金ぴかアーマーを身につけており、そういえばゴーカイジャージュウレンジャーの力がらみで金ぴかアーマーを身につけていたような……と思ったら、ドラゴンレンジャー/ブライ(追加戦士枠)が金ぴかのドラゴンアーマーを装着しており、その後も獣装光ギンガマンでバックルを中心に金ぴか感が増したり、アバレマックスで肩アーマーと胸部が金ぴかになったりと、ゴージャス感が手頃に出せるので強化に使いやすい関係があってか、ベースがゴールドの戦士が初登場したのは、シルバーよりもだいぶ遅く2005年のマジシャイン/ヒカル先生。
 2010年代の未完走作品が多く甚だ不完全なリストなので、その他のゴールド戦士を名前だけ列挙しておきますと、ビートバスター・キョウリュウゴールド・テンビンゴールド・リュウソウゴールド・ツーカイザーで2022年現在、合計10名。
 (※ズバーンは、追加戦士というより、テトラボーイとか寄りと判定)
 色の特徴というより追加戦士の特徴、の話になりますが、もともと天空聖者マジシャイン、ジャーより先にスカウトを受けて訓練を積んでいたゴーオンゴールド、殿の幼なじみなシンケンゴールド、亜空間事件と関係の深いビートバスター、過去勇者のキョウリュウゴールド、かつて抗争を繰り広げた敵対氏族出身のリュウソウゴールド、警察戦隊のルパンコレクションを手配したと思われるパトレンX、ゼンカイジャーより先に変身システムを入手していたツーカイザー、と既存メンバーより先行して変身していた、ないし別ルートで過去に強い因縁を持っていたパターンが大勢を占めるのは、追加戦士のドラマを組み立てやすいセオリーとして見えるところ。
 理由の一つには、シリーズとして基本的には追加戦士も同系統の変身システムを求められる事情があり、例えばかつての敵が味方に、のバトルマンガ王道パターンの場合、キョウリュウゴールドや後述のガオシルバーなど、実は過去の戦士でしたとされるのはその影響が見られるところです。
 また、いきなり変身後の姿で現れたり、生身から説明なく変身したりして、「あれは何者?!」と見せるのがセオリーの一つなので、既に変身できる理由が様々な形で与えられるのもパターン。
 この際、既に変身可能×血統型戦隊はあまり相性が良くない為、貰った折神をベースに独自開発とか、テキストで独学&インターネットで発注とか、飛び道具傾向に(笑)
 改めてちょっとおかしい源太のスペックは、『シンケン』中盤の強化展開を歪める一因にもなりましたが、「追加戦士」の抱える都合が見えると共に、あらかた天才的な能力を持ちながら、こと“家業の寿司”については「普通」であるところには、それぞれの家に縛られる侍たちとの、ねじれた共鳴も感じられます。
 あと、金が黄系統の色という事でか、ゴーオンゴールド/須塔大翔とシンケンゴールド/梅盛源太には「カレー」関連のエピソードがあるのですが、特に他のゴールドには波及していない(と思う)ので、クリスマスには、シャケを食え!!

シルバー編


1997 『電磁戦隊メガレンジャー』 メガシルバー/早川裕作 ――兄貴分

2001 『百獣戦隊ガオレンジャー』 ガオシルバー/大神月麿 ――風と話す先輩

2006 『轟轟戦隊ボウケンジャー』 ボウケンシルバー/高丘映士 ――協調性の無い新入社員(プロジェクトリーダーがスカウトしてきた)

2008 『炎神戦隊ゴーオンジャー』 *ゴーオンシルバー/須塔美羽 ――餌付けしてくるセレブなエリート

2010 『天装戦隊ゴセイジャー』  ゴセイナイト ――駄目出しから入ってくるOB

2011 『海賊戦隊ゴーカイジャー』 ゴーカイシルバー/伊狩鎧 ――スーパー戦隊の生き字引な海賊見習い

2018 『快盗戦隊ルパンレンジャー』 ルパンX/高尾ノエル ――スポンサー……?

2020 『魔進戦隊キラメイジャー』 キラメイシルバー/クリスタリア宝路 ――シスコンの先輩

 ビッグワンやライブマン黒緑など先行例を経て、90年代に入ると立ち位置は様々ながら追加戦士の恒例化が始まり(現在まで続く形に整備されるのは『デカレンジャー』ぐらいから)、〔ドラゴンレンジャー:緑 → キバレンジャー:白 → ニンジャマン:青 → キングレンジャー:黒 → シグナルマン:青?〕と来て、97年に銀色ベースの戦士が初登場。
 メガシルバー/早川裕作は、演じる金井茂さんが元ビーファイターだった影響もあってなのか、変身ポーズや外連味の見せ方に《メタルヒーロー》の香りを感じるキャラでしたが、ファースト銀色の戦士という要素からも、意識があったのかもしれません。
 2001年には、ガオシルバー/大神月麿が、初めてOPで既存メンバーと同格の扱いを受けて紹介される追加戦士となり、以後、スタッグバスターとヘビツカイシルバーも加えて、計10名。2022年現在、最新作『ゼンカイジャー』まで含めて、くしくもレギュラークラスの金銀戦士は10名ずつ、となっています。
 (※キョウリュウシルバーがいるようなのですが、どの程度の出番かわからなかったので、カウント外)
 シルバーの方は、プロトスーツを改良したメガシルバー、旧世代の戦士だったガオシルバー、ジャーより先にスカウトを受けて訓練を積んでいたゴーオンシルバー、過去の戦いに参加していたゴセイナイト、ルパン家の人間であるルパンX、クリスタリア製改造人間第1号だったキラメイシルバー、が先行変身ないし過去に因縁組。
 外部スカウトのボウケンシルバー、 トラックに轢かれてチート能力を身につけた 別口で変身アイテムを手に入れたゴーカイシルバー、陣マサトによって作られたバディロイドであるスタッグバスター、初期のメンバー招集で参加したヘビツカイシルバーが、それ以外。
 この中で特に珍しいのは、登場時点では変身能力を持たず、ボウケンジャーの戦いに因縁もなく、完全な外部からスカウトを受けて新たに変身能力を身につける、ボウケンシルバー/高丘映士。
 完全に色ではなく追加戦士カテゴリの話になりますが、シリーズ標準的な意味での追加戦士とは言いがたいBN団を除くと、金銀戦士17名の中で、恐らく唯一のパターン。
 また、(キョウリュウ勢とキュウレン勢を外して考えますが)金銀以外を含めても、登場時点で変身能力を持っていないのは、コウ、ヒュウガ、滝沢直人、虹野明ぐらいかと思われ、いずれも敵味方になんらかの因縁を持っている事を考えると、極めて希少なタイプ………………ボウケンジャーの方からちょっかいかけて因縁を作ったら、敵も味方も増えた、とはいえますが(笑)
 裏を返すと、《戦隊》追加戦士のドラマにおいて、(能力的に)戦士に“なれる”かどうかに主眼が置かれる事はほとんど無く、既存メンバーと協調できるかや、過去の因縁から自分自身を許せるかどうかなどが主な焦点になる事が、確認できます。
 例外的なパターンでは、ゴーカイシルバー/伊狩鎧が、既存メンバーに受け入れられていく課程において真の戦士になれるかどうかの試練を丁寧に与えられており、シンケンゴールド/梅盛源太、ジュウオウザワールド/門藤操にも類似のパターンが見られる事から、ヒーローテーゼにこだわりの強い、宇都宮Pの色が出た部分かもしれません。
 で、「戦士に“なれる”かどうかに主眼が置かれる事はほとんど無い」のは、番組初期の展開と重なりやすいから、が一つの理由だとは思うのですが、人数もさる事ながら、敢えてそれを繰り返した『キュウレンジャー』は、トータル人数のみならず、戦隊追加戦士の文法としても変わった事をしていたのだな、と。
 『キュウレン』の構造としては、9人目までは実質初期メンバーで、それ以降がシリーズ標準的な意味での追加戦士と捉えるのが適切でしょうが、そう考えると逆に、初期パターンを繰り返しすぎた点も見えてきたり(故にか、ホウオウバスターは旧世代戦士パターンになる)。
 ところで、金銀を比べたら銀の方がシュッとした色のイメージがあるのですが、二枚目枠に該当するのはガオシルバーぐらいで(個人的にはゴセイナイトは二枚目枠ですが)、ゴールドの方がむしろ、マジシャイン・ゴーオンゴールド・ツーカイザーと優勢。まあこれは、既存メンバーに二枚目枠が不在あるいは機能不全の場合、追加戦士がそこに入る関係でしょうが。

その他編


1996 『激走戦隊カーレンジャー』 シグナルマン:青-電飾 ――別世界のヒーロー

2000 『未来戦隊タイムレンジャー』 タイムファイヤー:赤-黒/滝沢直人 ――腐れ縁の商売敵

2002 『忍風戦隊ハリケンジャー
 カブトライジャー/霞一甲:赤黒金 ――因縁のライバル
 クワガライジャー/霞一鍬:青黒金 ――因縁のライバル

2004 『特捜戦隊デカレンジャー
 デカマスタードギー・クルーガー:黒-青 ――上司
 デカブレイク姶良鉄幹:白-青 ――本庁のキャリア組

2007 『獣拳戦隊ゲキレンジャー』 ゲキバイオレット/深見ゴウ:紫 ――ブラコンの先輩

2014 『烈車戦隊トッキュウジャー』 トッキュウ6号/虹野明:橙 ――コミュニケーションに難のある転校生

2016 『動物戦隊ジュウオウジャー』 ジュウオウザワールド/門藤操:金銀黒 ――社交辞令以上友達未満

 ここまで来るとカラー別の系譜もなにもないですが、ひとまず、商業的事情などを考慮せずに、見たままでわかるカラーごとの特性で分類しますと……

 既存メンバーと関係なくパーソナルカラーを貫いたタイプ――シグナルマン
 既存メンバーと同系統の配色により対比を強調するタイプ――タイムファイヤー、カブトライジャークワガライジャー
 複合色タイプ――デカマスターデカブレイク、ジュウオウザワールド
 独自色タイプ――ゲキバイオレット、トッキュウ6号

 シグナルマンは現行追加戦士フォーマットが出来上がる前という事もあってかなり特殊な存在なのですが、敵の敵ではあるが必ずしも味方ではなく、あくまでも法秩序の番人として戦う公僕であり、カーレンジャーとは違う正義でボーゾックと戦うヒーロー、いわば別のルールに存立したものであって、追加戦士に準ずるポジションとしては、90年代だから出せた存在かな、と。
 ……もしかすると、ツーカイザーは本来、“こういう存在”にしたかったのかも、とは思ってみたり。
 タイムファイヤーは物語的にもデザイン的にも“もう一人のレッド”であり、現行フォーマットにおける「追加戦士」というよりは「終盤のキーパーソン」の役割ですが、シルバー編で触れたように、一般人から劇中で変身能力を得る追加戦士としては実は珍しいパターン(竜也との対比としては、むしろ滝沢はそうでなくてはいけないわけですが)。
 カブトライジャークワガライジャーは、ネガハリケンジャーとしてヒーローカラーを主体にしつつ、下半身の黒ズボンで対比を強調した上で、金色でゴージャス感(格上感)をアップ。続く『アバレンジャー』のアバレキラーを含め、この時期は、扱い的にもデザイン的にも追加戦士フォーマットの模索期を感じます。
 同組織所属で対比型を離れたデカの追加戦士2人は、デカマスターはだいぶくすんだ青なのでブルー感は薄く、デカブレイクは実質はデカホワイトな気もしますが、両者とも青系統のカラーが面積広め。青は合わせに使いやすい色ではありますし、実際、ガオシルバー(銀)もマジシャイン(金)も目立つ形で青が入っているのですが、この辺りは玩具も含め、当時の流行りの色彩とかの都合もありそうでしょうか。00年代前半は、パーソナルカラーへのこだわりがそこまで強くないデザインが続きます。
 ジュウオウザワールドは、三つのパワーが入っているので、特別感のある色を三つ混ぜました! という実に豪快な配色(笑)
 既存メンバー同様にパーソナルカラーを押し出したタイプでは、まず『ゲキレンジャー』の場合、裏戦隊といえる臨獣拳サイドで黒(リオ様)と緑(メレ様)を使っているので選択肢から消え、初期3人戦隊への追加メンバーという事で色彩バランスも考慮されたのか、金でも銀でもなく紫が出てくる事に。ゴウ兄さんのキャラ的には通常なら黒っぽいと思われるのですが、ずっと友達なので黒の座は奪われました。……もしかしたら、「紫激気(しげき)」の語呂合わせが始まりだった可能性もゼロではないですが。
 『トッキュウジャー』は虹がキーワードの為、トッキュウ6号はバトルコサック以来の橙の戦士になったのかと思われます。絶妙に工事現場感も出て、色と設定のマッチが上手かったなと。
 次作『ドンブラザーズ』では、金が一歩リードするのか、銀が一歩リードするのか、或いはそれ以外の色が飛び出してくるのか……はたまた金も銀も出てくるのか(そういえば、金銀X同一人物の高尾ノエルは、ブラックの項で触れた「トリックスター」をまさに体現する追加戦士といえます)、そんなところも楽しみの一つにしたいと思います。

 ……案の定、追加戦士論お試し版みたいになりましたが、それはそれで本格的にやってみたい企画ではあったり。
 色のバラエティとしては未完走で外した『キュウレン』を含めて考えるとまた面白そうではあり、追加戦士のセオリーに対する『キュウレン』の文法外しや、シグナルマンとは何か、が見えてきたのが個人的には発見でした。
 おまけとして、既存メンバーとの関係性において文字列から面倒くさそうだなと思った三強は、
 ・本庁のキャリア組
 ・協調性の無い新入社員(プロジェクトリーダーがスカウトしてきた)
 ・駄目出しから入ってくるOB
 です!