戦隊イエローの系譜を雑に振り返る
以下で用いている「枠」とは、個別の作中におけるポジションの意とご理解ください。*は、女性キャラ。取り上げているのは、完走している作品のみとなります。
1970~80年代
『科学戦隊ダイナマン』 ダイナイエロー/南郷耕作 ――コメディリリーフ・パワー系・畑の戦士
『超新星フラッシュマン』 *イエローフラッシュ/サラ ――アイドル枠
『光戦隊マスクマン』 *イエローマスク/ハルカ ――ニンジャ枠
『超獣戦隊ライブマン』 イエローライオン/大原丈 ――純情熱血枠
『高速戦隊ターボレンジャー』 イエローターボ/日野俊介 ――純粋枠
1990年代
『地球戦隊ファイブマン』 *ファイブイエロー/星川レミ ――武闘派枠・妹ポジ
『鳥人戦隊ジェットマン』 イエローオウル/大石雷太 ――パワー系・畑の戦士
『五星戦隊ダイレンジャー』 キリンレンジャー/天時星・知 ――キザ……?
『超力戦隊オーレンジャー』 *オーイエロー/二条樹里 ――武闘派枠
『激走戦隊カーレンジャー』 *イエローレーサー/志乃原菜摘 ――メカニック枠
『電磁戦隊メガレンジャー』 *メガイエロー/城ヶ崎千里 ――サブリーダー・姉ポジ
『星獣戦隊ギンガマン』 ギンガイエロー/ヒカル ――年下枠・雷の戦士
2000年代
『未来戦隊タイムレンジャー』 タイムイエロー/ドモン ――コメディリリーフ・ロマンス枠・パワー系
『百獣戦隊ガオレンジャー』 ガオイエロー/鷲尾岳 ――クール……になりたかった・サブリーダー
『忍風戦隊ハリケンジャー』 ハリケンイエロー/尾藤吼太 ――大地の戦士・パワー系
『爆竜戦隊アバレンジャー』 *アバレイエロー/樹らんる ――博士枠
『特捜戦隊デカレンジャー』 *デカイエロー/礼紋茉莉花 ――クール枠・姉ポジ
『魔法戦隊マジレンジャー』 マジイエロー/小津翼 ――残念クール枠・雷の戦士
『轟轟戦隊ボウケンジャー』 *ボウケンイエロー/間宮菜月 ――パワー系・妹ポジ
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』 *ゲキイエロー/宇崎ラン ――リーダー・根性枠・チームの母
『炎神戦隊ゴーオンジャー』 *ゴーオンイエロー/横山早輝 ――妹ポジ
『侍戦隊シンケンジャー』 *シンケンイエロー/花織ことは ――妹ポジ・健気枠
2010年代~
『天装戦隊ゴセイジャー』 *ゴセイイエロー/モネ ――妹ポジ・活発系
『海賊戦隊ゴーカイジャー』 *ゴーカイイエロー/ルカ・ミルフィ ――姉ポジ・守銭奴
『烈車戦隊トッキュウジャー』 *トッキュウ3号/ミオ ――姉ポジ・活発系
『手裏剣戦隊ニンニンジャー』 キニンジャー/松尾凪 ――年下枠
『動物戦隊ジュウオウジャー』 ジュウオウライオン/レオ ――喧嘩馬鹿・女好き
『快盗戦隊ルパンレンジャー』 *ルパンイエロー/早見初美花 ――妹ポジ・活発系
『魔進戦隊キラメイジャー』 キラメイイエロー/射水為朝 ――サブリーダー・参謀枠・コメディリリーフ
パブリックイメージにおける初代キレンジャーの存在感が非常に強いイエローですが、“太っちょのパワー系”といえばイエローオウル/大石雷太ぐらい……ではあるものの、取り上げた29人中5人がパワー系に該当し、主流を占めるとは言いがたいものの、思ったよりは継承者が存在。
またキレンジャーは実は機械工作担当でもあったのですが、イエローレーサー/志乃原菜摘・アバレイエロー/樹らんる、がそれぞれメカニック属性持ちなのは、もしかしたら意識があったかもしれません。イエローレーサーの方は会社の役割分担の都合な感じはしますが、アバレイエローに機械工作スキルが生えてきたのは、メインライターが荒川さんだけにちょっと怪しいかなとは(笑)
キレンジャーの存在感が未だ強いのは、男女が入り交じる為に00年代以降にもそれを上書きするパブリックイメージが成立しなかった事が理由の一つかと思われますが、上にリストアップした以外も含めて、最新作『ゼンカイジャー』までの全45作品中、イエロー登場が40作品、内、男性イエローが22人、女性イエローが18人で、割と拮抗。
特に2006年~2012年までは7年連続の女性イエローとなった他、アバレイエロー/樹らんる・ゲキイエロー/宇崎ラン・ゴーオンイエロー/横山早輝、といった、女性メンバー一人体制における女性イエロー、というパターンも出て、00年代以降は、女性イエローが優勢といっていいかもしれません(『アバレ』『ゲキ』『ゴーオン』はいずれも、敵・敵・追加戦士で、メイン級の女性キャラが別に配置される構造ではあり)。
上記リストを男女別に分けますと、女性イエローはこんな感じ。
女性イエロー
『超新星フラッシュマン』 *イエローフラッシュ/サラ ――アイドル枠
『光戦隊マスクマン』 *イエローマスク/ハルカ ――ニンジャ枠
『地球戦隊ファイブマン』 *ファイブイエロー/星川レミ ――武闘派枠・妹ポジ
『超力戦隊オーレンジャー』 *オーイエロー/二条樹里 ――武闘派枠
『激走戦隊カーレンジャー』 *イエローレーサー/志乃原菜摘 ――メカニック枠
『電磁戦隊メガレンジャー』 *メガイエロー/城ヶ崎千里 ――サブリーダー・姉ポジ
『爆竜戦隊アバレンジャー』 *アバレイエロー/樹らんる ――博士枠
『特捜戦隊デカレンジャー』 *デカイエロー/礼紋茉莉花 ――クール枠・姉ポジ
『轟轟戦隊ボウケンジャー』 *ボウケンイエロー/間宮菜月 ――パワー系・妹ポジ
『獣拳戦隊ゲキレンジャー』 *ゲキイエロー/宇崎ラン ――リーダー・根性枠・母ポジ
『炎神戦隊ゴーオンジャー』 *ゴーオンイエロー/横山早輝 ――妹枠
『侍戦隊シンケンジャー』 *シンケンイエロー/花織ことは ――妹ポジ・健気枠
『天装戦隊ゴセイジャー』 *ゴセイイエロー/モネ ――妹ポジ・活発系
『海賊戦隊ゴーカイジャー』 *ゴーカイイエロー/ルカ・ミルフィ ――武闘派枠・姉ポジ・守銭奴
『烈車戦隊トッキュウジャー』 *トッキュウ3号/ミオ ――武闘派枠・姉ポジ・活発系
『快盗戦隊ルパンレンジャー』 *ルパンイエロー/早見初美花 ――アイドル枠・妹ポジ・活発系
戦隊女性メンバーが二人体制の場合はセットでキャラ付けされる事が多いので、女性イエローにおける各種ポジションは概ね(必ずしもではないですが)〔武闘派枠-アイドル枠・姉ポジ-妹ポジ〕といった女性キャラ同士の組み合わせを示していると、ご理解ください。
リストアップした中で女性二人体制が13作品(途中追加の『ゴーオン』は除く。なおゴーオンイエローは、対比ではなくチームの中での「妹枠」)、妹ポジが5、姉ポジが4で、大きな差は見えませんが、近年は妹ポジが優勢ではありましょうか。
……なお、マスクマンは闇の深い光戦隊なので、女性メンバー二人体制ながら、両方とも武闘派です。違いは忍法か太極拳かです。
他、特徴的なところでは、博士枠のアバレイエロー、戦隊史上でも独特のキャラとなったデカイエロー、女性イエローにしてパワー型のボウケンイエロー、妹も姉も超えて母となったゲキイエロー、あざといと紙一重の健気キャラを突っ込んできたシンケンイエロー、まさかの守銭奴ゴーカイイエロー……とシリーズレギュラーに近い色ながら確たるイメージが存在しない事があってか、女性イエローは、割と挑戦的なキャラ造形をやりやすいポジションなのかもしれません。
男性イエロー
『科学戦隊ダイナマン』 ダイナイエロー/南郷耕作 ――コメディリリーフ・パワー系・畑の戦士
『超獣戦隊ライブマン』 イエローライオン/大原丈 ――純情熱血枠
『高速戦隊ターボレンジャー』 イエローターボ/日野俊介 ――純粋枠
『鳥人戦隊ジェットマン』 イエローオウル/大石雷太 ――パワー系・畑の戦士
『五星戦隊ダイレンジャー』 キリンレンジャー/天時星・知 ――キザ……?
『星獣戦隊ギンガマン』 ギンガイエロー/ヒカル ――年下枠・雷の戦士
『未来戦隊タイムレンジャー』 タイムイエロー/ドモン ――コメディリリーフ・ロマンス担当・パワー系
『百獣戦隊ガオレンジャー』 ガオイエロー/鷲尾岳 ――クール……になりたかった
『忍風戦隊ハリケンジャー』 ハリケンイエロー/尾藤吼太 ――大地の戦士・パワー系
『魔法戦隊マジレンジャー』 マジイエロー/小津翼 ――残念クール枠・雷の戦士
『手裏剣戦隊ニンニンジャー』 キニンジャー/松尾凪 ――年下枠
『動物戦隊ジュウオウジャー』 ジュウオウライオン/レオ ――喧嘩馬鹿・軟派
『魔進戦隊キラメイジャー』 キラメイイエロー/射水為朝 ――サブリーダー・参謀枠・コメディリリーフ
男性イエローは序列的に4番目ぐらいになりやすい為か、こう並べてみるとキャラ回が後回しになっったり掘り下げ不足で初期設定が生かし切れなかったりといったケースがままあるのが見えますが、上記メンバーだと、イエローターボ/日野俊介・キリンレンジャー/天時星・知・ハリケンイエロー/尾藤吼太・キニンジャー/松尾凪、といった辺りが地味不憫枠に送り込まれてしまった印象。
日野俊介は、当初コメディリリーフだったブルーターボがそのまま二枚目枠も兼ねてしまった為(クラスの人気者=ちょっと剽軽路線、のイメージだったのかとは思うのですが)コメディリリーフに就任する事が出来ず、天時星・知は、職業(美容師)からして恐らくバトルフランスへの意識があったのかと思われるですが、これといっておしゃれ要素が活用されないまま(なにしろ、最初のメイン回の題材が「豆腐」)、初メイン回が遅い・次のメイン回までが長い・軒並み出来が悪い、の三重苦の直撃を受け、尾藤吼太は、背景設定と忍者学校落第生の相性が悪かった上に、ゴウライジャーの登場でがくっと序列が落ちてしまい、松尾凪は、メイン回は早かったにも拘わらず、傾向と対策を立てて万全を期す慎重派の性格を何故かリーダーに全否定されてしまい、以後しばらく身動きが取れなくなってしまう事に。
また、キャラの押し出しこそ割と強かったものの、キャラ付けが迷走しがちだったのは、ガオイエロー/鷲尾岳・マジイエロー/小津翼、といったところでしょうか。
……この二人に関しては、キャラとか色というよりも、「クール」は諸刃の剣というのが正確かもですが。
後、ガオイエロー/鷲尾岳・ハリケンイエロー/尾藤吼太・キラメイイエロー/射水為朝、これにゲキイエロー/宇崎ランを加えると、微妙に「仕切り屋属性」が多いでしょうか。メガイエロー/城ヶ崎千里・トッキュウ3号/ミオも、優等生の委員長属性でしたし。そして、性別こそ違うものの、鷲尾岳と宇崎ランは、同一のラインだな、と改めて(笑)
つまり、鷲尾岳が目指すべきは父キャラだったのではないか。
ちょっと面白いなと思ったのが、イエローライオン/大原丈で、劇中では並んだ時のルックスもあって、レッドファルコンとの兄貴-舎弟感が強いのですが、考えてみると〔他者の善良さを信じる・熱血漢・可愛い女の子に弱い〕と非常に主人公属性が並んでおり、00年代直情主人公の祖先に近いのかも。OPも今見ると、オープンカーを乗り回す勇介より、スケボーの方がむしろ主人公っぽさありますし(笑)
色の特色、というほどではないですが、イエローライオン/大原丈-タイムイエロー/ドモンは女性ゲストキャラとの絡みが多いロマンス担当で、ジュウオウライオン/レオは、ロマンスエピソードは無かったものの、軟派属性。
イエローターボ/日野俊介とキラメイイエロー/射水為朝は、敵の女性幹部との絡みがあり……あれ? 意外と、女性と縁のあるカラー……なのか?
タメくんは第1話だけ微妙に軟派っぽいキャラ付けだったのが瞬間で消滅しましたが、あれはもしかたら、イエローの魔力だったのかもしれません……女の子のハート以外なんでも射抜くぜ!