東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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ほどほどにほどほど

 そろそろまた、あれこれ読んでいる内に、自分がどんな作品を読みたいのかよくわからなくなってくるモードに入ってきたので、読書スイッチが切れそう。

冬の読書メモ2

●『だれもがポオを愛していた』(平石貴樹
 米国ボルティモアの郊外で、日系人兄妹の住む「アシヤ」家の屋敷が爆破される。崩壊した屋敷で発見された妹は謎めいた言葉を残して息絶え、TV局には、「エドガー・アラン・ポオ」を名乗る人物から、爆破予告が届いていた事が判明。『アッシャー家の崩壊』に見立てた爆破殺人に続いて起こる、ポオの作品を模したよう事件の背後には、新発見の「ポオの手紙」が……?
 タイトル通り、ミステリ小説の始祖としてのポオへのオマージュを取り込んだ、長編ミステリ。ポオに強い思い入れが無くても読める内容ですが、メタミステリ的な仕掛けがあるので、『アッシャー家の崩壊』の概要ぐらいは覚えていないと面白くないかも。まあまあぐらい。

●『もろこし銀侠伝』(秋梨惟喬)
 中国超古代の伝説の天子の一人・黄帝が、後の世を憂い、世が乱れた時にそれをただす仕組みとして作り出した、一枚の銀牌。黄帝の側近に与えられた銀牌は、その後継者から後継者へと伝えられていき、世の裏表、様々なところに顔を出す――。
 中国史を背景に、時代を超えてその立場の受け継がれていく“銀牌の侠者”が謎を解く、中華×武侠ファンタジー×ミステリ。
 武侠の達人を軸に虚々実々が入り乱れるジャンルミックス的な作品で、時代がぽんぽん飛ぶ面白さと、その為にキャラクターが毎度変わる物足りなさとがあって、個人的には後者の短所の方が大きく感じてしまいました。後、「ミステリ」として見ると少々弱いので、ミステリ要素の入った武侠ファンタジー、といった感。

●『見えないグリーン』(ジョン・スラデック
 第二次世界大戦を控えた1930年代、ミステリを愛好し、立場を超えて交流していた素人探偵7人の集い……必ずしも友好的とは言いがたかった7人の内、一人は戦時中に死亡し、30年余りの時が流れる。独身ながらそれなりの資産家となったドロシア・フェアロウは、残る6人の再会の場を設けようと招待状を送るのだが、その矢先にメンバーの一人だったストークスが、完全な密室だったトイレで死体となって発見される。それは、精神を病んだ孤独な老人のショック死だったのか? それとも、何者かによる殺人だったのか? ドロシアの依頼を受けて調査に乗り出した探偵サッカレイ・フィンは、老人が恐れていた“グリーン”の謎を追う……。
 事件なのか事故なのか、というところに始まって、些細な不自然さを追いかけていく作りなので探偵の捜査がどうしても回りくどいのと、1977年の作品という事もあってか警察の捜査が雑なのは気にかかるものの、ホワイダニット・フーダニット・ハウダニットがまとめて解明されるクライマックスは爽快でした。