東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

人の心が無いで賞

仮面ライダーバイス』感想・第15話

◆第15話「撲滅!対決!デッドマンズ!」◆ (監督:諸田敏 脚本:木下半太
 前回、フェニックスベースより奪われたギフ様スタンプには狩崎が発信器を仕掛けており、なんの躊躇もなく、カメレオンの株が地面に叩きつけられました。
 だが、デッドマンズベースの場所は判明するも、地下深くへの侵入経路がわからず……カゲロウが普通に入っていたような、と気がつくさくら。
 「よし大二、カゲロウを呼び出すぞ」
 会心のアイデアが沸いてきたぜ! と一輝は爽やかな笑顔を浮かべ、耳が壊れたのかと疑うほど、軽々と飛び越えてきました、デッドライン。
 「いやいやいやいや、ちょっと待って……」
 真っ当に抵抗する大二に満面の笑みで迫った兄と妹は、大二をライブに変身させるとジャンヌが羽交い締めにしたところへリバイがハンコキックを叩き込み…………カゲロウ・消滅(BAD END)
 スタッフロール待ちの姿勢になりましたが、キックの直撃を受けて地面をのたうつ大二の様子を兄と妹が窺っていると……カゲロウ、出てきた。
 「てめぇら……なんの用だ……?」
 地面に這いつくばってプルプルするカゲロウの姿に兄妹はガッツポーズを決め、どうしよう、私の中の『リバイス』が、3クールほど早めの最終回を迎えそうなのですが。
 一輝の唱える、ある種のマッチョイズム(家族観無双と「やれば出来る筈」信仰の押しつけ)まではキャラクターの抱えるデコボコとして許容範囲だったのですが、ピカレスクでもアウトローでも無いのに、目的の為なら他者の尊厳を軽々と踏みにじれる主人公は、本気で辛い。
 ……もともとタガが緩めの諸田監督ではありますが、『リバイス』全体として、2話ほど前から明らかに“物事の扱い”に関するラインが変わっていて、急激に作品カラーの修正を迫られる事情なりあったのかもですが、ちょっと蛇行し始めたな……と思ってからガードレールを跳び越えて谷底へ落下していくまで、あっという間の出来事でありました。
 今となっては無駄に長いだけだったライブ誕生編が資源回収に出され、「大二は強い」とか「大二を信じる」とかがシュレッダーにかけられて年末最後の燃えるゴミで運ばれていきますが、カゲロウ再登場に完全無反応を決め込んでいたかと思えば、大二の中にカゲロウが居る事をあっさりと肯定した上で、叩けば出てくる便利なアドバイザーぐらいの扱いにしている一輝さん、あなた、数話前に、カゲロウの話に全く耳を貸さずに、存在を全否定していませんでしたっけ……?
 さくらもさくらで「家族が大事」はどこへやら、すっかり銭湯を些事としてデッドマンズ撲滅に前のめりになっており、年末クライマックスでものの見事に即興リレー小説感が加速していきます。
 尋問はいつでも拷問にかわるんだぜ? とさくらに凄まれたカゲロウは、さくらの激辛カレーを交換条件に持ち出し、義理や筋より欲望のままに動く悪魔の姿は、これはこれで面白みはあるのですが……もう取り戻せないものが多すぎて、全く笑えません。
 ちーーーん(合掌)
 なお、取引(契約、とみればこれも悪魔らしくはあり)を持ちかけてきたようにみえるカゲロウですが、実際のところは一輝の「カゲロウ、頼みがある」の時点で、(え?! 俺に頼み事?! 頼んじゃう? 頼まれちゃう? お兄様が俺の存在を認めて頼りにされちゃう?!)と攻略されているように見えなくもなく……ただ相手は、悪魔以上に人の心が無いのですが。
 デッドマンズベースでは、アギレラを器に5人のギフテクスパワーを注ぎ込むギフ様復活の儀式が開始され……まあ確かにオブジェそこに設置してあるのですが、リビングルームでそのまま始めてしまうのか(笑)
 冒頭から、1分に1回ぐらいのペースで衝突事故が起きていて整理が追いつきませんが、オブジェから伸びた手がハンコを押そうとする寸前(この演出は面白かったです)、カゲロウの情報により出入り口を突き止めたフェニックスの一団がデッドマンズベースへと突入し、何がそこまで、フェニックスと五十嵐兄妹にカゲロウを信用させるのでしょうか。
 若林のオジキの仇じゃぁぁぁぁぁ!!(なお、フェニックス隊員視点による若林司令官への思いとか1ミリも描かれないので、フェニックス的な盛り上がりは全く生まれず)と事務所にカチコミを仕掛けられてギフ復活の儀式は中断され、リバイ・バイス・ライブ・ジャンヌvsイカ・カメレオン・カンガルー・プラナリア仁義なき戦いが勃発。
 オルテカが密かに導入していた家族割に入れてもらえておらず、アギレラ個人に忠誠を誓っていたフリオはこの隙にアギレラを解放しようとするも失敗して気絶。
 カメレオンがバイスに化けて混乱を誘う……のは状況が状況でなければ仕掛けとしては面白かったのですが、それぞれ一対一でマッチアップしている状況ではあまり意味が無い上、変な質問とかしなくても、リバイがフォームチェンジすれば一発では……とギミックとの相性もよろしくなく、正体を見破られた上でバイスに唐突なパロディ技で軽くやられるカメレオンの株がどんどん落ちていくだけに。
 「我が命を懸けて……おまえを潰す」
 地面に転がったカメレオンが若林の姿に戻ると、背後で待機していた門田さんがドスの効いた声で変身し……いや、変身、しなくていいのに……。
 久々に登場すると、変身者ブーストも混みで格好良さの光るデモンズがアイアンスパイダーキックで勢い余ってカメレオンと共に外へ飛び出していくと、リバイはバリッと発動して、弁護士デビルと激突。
 「少しは人の気持ちがわかるようになったのかな? エゴイストくん」
 あ、すみません、もう、人の気持ちがわかるとかわからないとか、些細な問題になりました。五十嵐一輝はそもそも、他人に心があると思っていません!
 「…………答えは見つかっていない。でも……もう悩まないっ。俺の戦いで誰かが傷ついても……俺は、全てを背負う!」
 これが1クールの締めとしての一輝のステップアップの位置づけのようですが、一輝に必要なのは「全てを背負う覚悟」ではなく、「誰かを傷つけた事に気付く」だと思うので……まずは、熱帯魚を飼う辺りから始めればいいのか……?
 ジャンヌはプラナリアへとカメバズーカを放ち、狩崎はギフ様オブジェにベタベタ接触。忘れられかけていたライブはイカを外へ吹き飛ばすが、カメレオンを追い詰めていたデモンズは突然苦しみだすも、そこから反撃。
 「俺は降参しない。無理もする。それが……俺の、サガだ!」
 新たにサソリハンコを発動したデモンズは尻尾を生やして攻撃し、大乱戦の中で各キャラそれぞれに新しいアクションを、という部分は頑張ってはいますが、ハンコギミックのアイデアに関しては、どんどん“どこかで見たような……”ものになってしまっているのは、残念。
 後そろそろいい加減、デモンズはなんとなく体に悪いっぽい、で済ませずに、視聴者へ向けた説明を入れた方が良いと思うのですが。
 ベース内部では、兄妹3ライダーがカンガルーとプラナリアへと必殺キックを放ち、バイスが盾と踏み台として機能するのはバトルにおける存在価値として良かったです(笑)
 五十嵐ブラザーズコンビネーションが直撃したカンガルーとプラナリアは悪魔と分離……せずに何故か消滅してしまい、そのエネルギーは、ギフ様のオブジェへと吸い込まれていく。それを見た狩崎は、危険を感じてさくっと撤収しようとするが、ギフオブジェの蠢動に伴いワープゲートが使用不能となり、徒歩で外部に脱出する事に。
 「アギレラ! 今助けるからな!」
 リバイとバイスは取り残されたアギレラの救出に向かい、さくらがアギレラを気にする事はまあわかるのですが、温泉旅館ぐらいしか絡んだ記憶の無い一輝の、アギレラに対するテンションはよくわかりません。……まあ、悪の首魁の認識と、だからって死んでいいわけではない、という考え方は両立しうるので、助けようとする事そのものがおかしいとは思わないのですが、その間を埋めるキャラクターの心情をすっ飛ばしてしまうのが今作の悪いところで、むしろ、そこをこそ丁寧に描いてくれれば、それが積み重ねとなっていくわけなのですが。
 なんとかアギレラの戒めを解くリバイだが、デッドマンズベースの振動は止まらず、リバイ・バイスアギレラ・フリオを内部に乗せたまま、どう見ても円盤だったデッドマンズベースが浮上を開始。
 オルテカもカメレオンも健在なのに、ライブ・ジャンヌ・デモンズが一斉に変身を解除してそれを見上げるのがこれ以上なく間抜けなのですが、ここ数話の『リバイス』はそんなのばかり。
 ……あ、暗くて良く見えないけど、カメレオンも若林に戻ってる(笑)
 謎の円盤ギフは地上へと浮き上がり、破壊エネルギーを放出し続けるギフオブジェからバイスアギレラをガードしている間に、外へ飛び出したリバイは、ハンコの精霊を連続召還。
 突然のvs宇宙船バトルが始まって目が白黒しますが、先ほどから私の脳内では「クライムの支配者は、宇宙人だったのね」がこだまし続けていて、とても困っています!
 これを通っていなければ、もう少し違う視点で見られたかもしれませんが、これを通っていたばかりに、ビィィィッグ・ボンバーーー!!
 リバイが召喚エッグモンスターでUFOを破壊している間、自称・宇宙一のお節介男が存在に気づきもしなかったフリオをちゃんと拾っておこうとするバイスの株だけが上がり、五十嵐兄妹は放っておいて、門田・バイスアギレラ・フリオで新戦隊を組むのが、一番、人の心があるかもしれません。
 ……アギレラカルト教団に育てられた被害者の一面は確かにあるのですが、前回-今回と、外道な男どもによってたかって苛められる可哀想な子、の構図で視聴者の感情移入を露骨に図ったのは、果たして帳尻があうのかどうか。
 それから、五十嵐三兄妹がざっくりキルマークを背負う事になったのですが、これが「俺は、全てを背負う」にかかる事案という算段なのでしょうか……「大丈夫! 3人で2人をデリートしたから、背負う命の重さは一人頭66.666……%だ! まだまだぬるいぜ!」
 バリッとリバイはスーパーハンコキックで謎の円盤ギフを破壊。リバイはアギレラとフリオを連れて脱出に成功し、ギフ様オブジェは爆発の中に飲み込まれていき……デッドマンズ壊滅!
 悪は滅びた!
 門田さんも死ななくて済んだ!
 ありがとう五十嵐兄妹! ありがとうフェニックス!


仮面ライダーバイス』 -完-


 ……すみません。次回――門田さんに目を引きつけるだけ引きつけておいて、別の場所で悪魔が牙を剥くのか、或いは門田さんも巻き添えを食らうのか。新展開へのターニングポイントとなりそうですが、うーん……仮に完全入れ替わり展開をやるならば、相当上手くやらないと、地雷の上に足を乗せた状況が続く事になりますが……。ところで、「宇宙一のお節介男」って伏線だったのですかね、もしかして。
 「一輝……ずっと黙っていたけど、おまえは、異星人の子だったんだ!!」