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恐れていたコスモスの引退宣言

ウルトラマンコスモス』感想・第60話

◆第60話「カオス大戦」◆ (監督/特技監督八木毅 脚本:梶研吾
 いつも応援ありがとう。突然だが、私はもう、限界だ。
 チームアイズの声援虚しく、コスモスはカオスウルトラマンカラミティに完敗。カオス会長はSRC科学分析センター木っ端微塵に破壊するが、ドイガキとハズミはカオスキメラ合成の第一段階をなんとか完了させており、すんでのところで撤収に成功する。
 一方、傷つき倒れていたところを発見されたムサシは意識不明で医療センターへと運び込まれ、その肉体は、あらゆる値が正常にも拘わらず、まるで長い間激しい戦いを繰り返してきたかのように、瀕死に近い事が判明するのだった。
 「ムサシ、私にはもう、時間が無い」
 夢枕に立つコスモスは、地球上で戦う為のパワーが限界に近づいている事をムサシに告げ、怪獣をできる限り「生物」として捉えてきた今作、ウルトラマンもまた「生物」なれば、異星の環境で戦う事に無理を重ねていた、のはらしい理由付け。
 「だがムサシ、私は逃げ出したりはしない。この身が宇宙の星屑になろうとも、最後まで戦う。それが、私の使命でもあるのだ」
 ところに投入される、ウルトラヤクザ魂。
 現在ではともかく、この当時は独立した世界観であったと思うのですが(一方で、「怪獣」概念はシリーズがメタ前提になっているのが、『コスモス』世界を独立した世界観として見づらいところなのですが)、なんとはなしに今作、『80』世界と繋げて見てしまいます(笑)
 チームアイズをもう少し規模縮小したら、微妙にUGMぽい印象がありまして。
 SRCのバイオケミカルセンターではカオスキメラの合成が急ピッチで進められするが、それを阻止せんと再び迫るカオス会長。
 ムサシ以外の面々も傷だらけのチームアイズは地上戦でこれを食い止めようとするのですが、前回今回と、チームアイズが普通に防衛隊ポジションすぎて、『コスモス』独自の盛り上がりが無いというか、脅威と正面衝突すると、作品としての個性がどうにも出せない感。
 カオスキメラに関しても、カッパを守り抜ければもっと早く研究が進んだけど、カッパが消滅してしまったので研究が遅れた……という事なのでしょうが、あれだけ大騒ぎした割には合成作業そのものは進んでいる上、チームアイズが「守れなかった」にも拘わらず、結局はそれがキーアイテムとなってしまっているのは、物語としてどうにもちぐはぐ。
 今後が控えている事情もあったのでしょうが、アイズが「守った(守ってきた)もの」がキーアイテムになっていない事で、盛り上がりが上手く繋がりません。
 人類の意地を見せるキャップの奮闘で間を持たせて尺を稼ぐのも、よく言えばアクション大盛りなのですが、今作の作風からすると、やはり違和感があり、個人的な作風への好き嫌いは別として、ここまで来たからには“『コスモス』らしさ”は貫いて欲しかった部分。
 一応前回、鏑矢諸島からの通信で、カオスヘッダーが地球の怪獣に与える悪影響についても触れてはいるのですが、どうせならそちらを掘り下げて欲しかったかな、と。
 「キャップ? リーダー! フブキ隊員!」
 カオス会長の大人げない光線攻撃の前にアイズメンバーは次々と吹っ飛び、ムサシ決死の出撃とか、それを止めようとするアヤノとかも入れて、色々盛り上げようとしてくるのですが、なぜ声に変なエコーをかけたのでしょうか……。
 (ムサシ、私は君と共に、どこまでも戦う)
 (ありがとう。僕の気持ちも同じです!)
 「コスモース!!」
 ただ、満身創痍の二人が改めて覚悟を決めての変身から、巨大化ポーズでカオス会長に飛びかかるコスモス(「構図の逆転」と「形勢の逆転」を重ねる意図もあったでしょうか)、は格好いい絵でした。
 調和と混沌、二人のウルトラマンは激しくぶつかり合うが、勤続疲労もあり、徐々に劣勢に追い込まれていくコスモス。
 (僕は絶対に負けない……僕は……大好きなみんなと、この地球の全ての命を! 必ず守ってみせる!)
 その粘りに応えるかのように、ドイガキとハズミはカオスキメラ抗体を用いたカオスバスター弾(プロトタイプ)の完成に漕ぎ着け、見せ場をもらったフブキが弾丸を撃ち込むと、カオス会長は悶絶して硬直。その間に立ち直ったコスモスが必殺光線を放ってカオス会長を撃破するのは、ウルトラマンと地球人の連携としては収まるところに収まりましたが、キーアイテムがカオスキメラ、というのがどうも、組み立てとして余り上手くなかったのでは感。
 (ムサシ……戦いはまだ、始まったばかりだ)
 この死闘は前座でしか無かった、とコスモスさんが更なる戦いの激化を予告して、つづく。