東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   Twitter→〔Twitter/gms02〕

ファイト一発!

仮面ライダーバイス』感想・第13話

◆第13話「フェニックス危機一髪!」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:木下半太
 フェニックス空中戦艦ことスカイベースが補給の為に地上に降りる事となり……洗脳再教育もとい更正施設は戦艦の中にある事が明らかに。
 基本的に、人員も一輝たちもホイホイ戦艦と地上を行き来するので、飛んでいようが地上に降りていようが大した差は感じられないのですが、補給中は隊員が休暇を取って警備が手薄になるからと五十嵐三兄弟は若林に呼び集められ、さくらの持つドライバーは、悪魔がそのまま出てしまう旧型、と狩崎から説明。
 「出所は調査中だ。送り主が判明するまで気を抜くな」
 使うのはいいのか……。
 「仮面ライダーは、五十嵐三兄弟で――頑張ります!」
 ナチュラルに門田さんを無視しないで下さい。
 ところが、10個のバイスタンプが揃ったのを機会に調整を施す為にと一輝はリバイスドライバーを取り上げられ、地上で補給します! → その間は人員が減るよ! → 何故かそのタイミングでベルトを調整するよ! と、展開の為の展開が釣瓶打ち。
 「今、敵が襲ってきたら二人だけじゃ……」
 当然の心配をする一輝に対し、大二とさくらが力強い笑顔を向け、だから君ら、ナチュラルに門田さんを無視しないで下さい。
 率直に、五十嵐兄弟への好感度が回を追うごとに激しく下がっていくのが辛いのですが、そんな物語の貴重なオアシス・門田さんも体調面の問題からドライバーを取り上げられ、結果、強制的に休暇を取る事になった門田と一輝は、冒頭からぼんやりと入浴。
 「……田舎に帰って、ガガの顔でも見てくっか……」
 「ガガ?」
 一方、デッドマンズベースには幹部に次ぐクラスの実力者であるカメレオンデビル(大変気持ち悪いデザインはインパクトがあって秀逸)が姿を現し、忘れていないか心配になっていた生け贄確保の為に動き出す……その狙いは、洗脳再教育もとい更正施設に収容中の悪徳カンガルー弁護士。
 カメレオンデビルの変身能力と何者かの手引きによりデッドマンズは補給中のスカイベースを強襲し、その救援に急ぐ大二とさくらは、アミーゴ青&緑の足止めを受けて、今回は弟妹コンビでダブル変身。
 前回の今回で既に力に溺れて調子に乗りまくっているジャンヌ(蛇が出力された結果、2割引きの影響なのか?)は猪突猛進し、しばらくライブ&ジャンヌvsアミーゴ青&緑のマッチアップとなるのですが、別にさしたる因縁もない(空手道場の件はもはや白昼夢扱い)上に、かるーい扱いで変身を繰り返していたアミーゴブラザーズの格がすっかり行方不明なので足止めバトルそのものが盛り上がりを欠き、そこに駆けつけた一輝が弟妹を信じて場を任せるシーンも、空回り(そもそも本人も自覚の通り、戦力にならないですしね……)。
 「我が命を懸けて……この子を守る!」
 門田さんは鞄を振り回してゆる蛇を守り、
 「ヒロミさん! 無茶しないで!」
 いったい、誰のせいなのか。
 ジャンヌの変身そのものにデメリットが生じるアイデアは悪くない一方、当の本人にデメリットを何とかする気が全く無い為、早くもジャンヌというか、さくら4/5の存在が大変困った事になっています。
 更に、イカ博士のクラーケンアタックからジャンヌをかばったライブの変身が解けると、カゲロウが覚醒。
 「久々の娑婆の空気は上手いね……」
 たった2話の休憩でカゲロウが復活し、エビルともども再来は既定路線としても、想像を遙かに超える雑っぷりに愕然。
 一方、狩崎を守る為に戦艦内部に飛び込んだ一輝だが、ドライバーは未だ最後のデータを読み込めずに調整中。生身ではデッドマンズ構成員にも苦戦を強いられる一輝に対し、実体化を勧めるバイスだが、一輝は首を縦には振らない。
 「ドライバー無しで、おまえを出すわけには……」
 ここ数話、バイスに対して凄まじく雑な扱いだったのに何を悩んでいるのか理解するのに時間を要したのですが、どうやら、ドライバー経由だと契約でバイスを縛る事が出来るが、ハンコだけの実体化だとそうではないようで……今作の「悪魔」周りは基本的にふわふわしていますが、見ていてそのルールがさっぱり伝わってこず、これをやりたいなら、事前にルールをさりげなく再提示しておくとか、根強い不信感を散りばめるとかしておいてほしいわけですが、今作の抱える物語の段取りの悪さが、見事に爆発。
 「……そんなに心配なのかよ?」
 「心配に決まってんだろ!」
 「もー! ちょっとぐらい信頼してくれたっていいじゃーん! もぉぉぉ!」
 第1話における母への攻撃が一輝の中で大きなわだかまりになっている事そのものは理解できるので、契約関係の曖昧な扱いと、物語を劇的に見せる為のルールの提示が上手く出来ていなかったのが、大変残念。
 アストラル体のままデッドマンズ構成員と戦うポーズを取るバイスの姿に一輝は父の言葉を思い返し、自分で出来る事は自分で片付け、自分で出来ない事も背負う傾向のある一輝が、いかに他者を「信頼」していくか……が今回のキーだったようですが、1クール分のあれやこれやを思い返してみても、「一輝とバイスの信頼関係」とやらに、実にうっすい説得力しか感じられない、清々しいまでの大惨事。
 構成としては、1クール分の積み重ねをジャンプ台にして次のステージへと飛躍する思惑だったのでしょうが、肝心のジャンプ台がボール紙製で体重を支えきれずに、そのまま潰れてしまった感。
 第2話の時に感じた「物語を劇的にする為の仕掛けの不足」「登場人物の心理描写がダイジェスト」「通り一遍の組み立てと、それらしくなるような台詞を置いているだけ」といった不満点そのままの、クールのまとめとなってしまいました。
 復活したエビル(※何となくそんな気はしていたのですが、たまに「イビル」と誤記していた事が発覚)は、いやこれどうせデッドマンズに襲いかかるんでしょ? という予想を裏切って、ふつーーーにジャンヌを攻撃しており、ぴんぽんぱんぽーん♪ “本当は強い大二”さん、“本当は強い大二”さん、お連れの方が、一階ロビーでお待ちです。“本当は強い大二”さん、お客様の中に、“本当は強い大二”さんはいらっしゃいませんか?!
 3対1でジャンヌが追い詰められたその時、一輝がバイスの存在を認めた事により、悪魔の力が最後のピースとなってドライバーの調整とニューアイテムが完成し、間一髪で駆けつける一輝&バイス&狩崎。
 目に入った筈のエビルの存在を黙殺した一輝は、卵模様のニューアイテムを用いて、バリッドレックスフォームを発動し……バイスは……そのままだった(もう、合体しても良かったのでは)。
 バイスのニューフォームが無いのは狩崎の嫌がらせという事で今後の増強はありそうですが、とりあえず卵の殻を使ってシールドを作り出したバイスと、凍気を操るバリッとレックスなリバイは、華麗な連携で、アミーゴ青&緑と激突。
 「ライダーキックならー、大二くんの表と裏を、ひっくり返せる筈だー!」
 一方、これも新装備のクジャクファンでエビルと互角の戦いを繰り広げるジャンヌには狩崎からアドバイスが入り、なんかもう、壊れかけのブラウン管TVのような扱い。
 そして、微妙にどこかで見たようなエフェクトのクジャクせいやーキックが炸裂すると、その衝撃で大二は元の人格を取り戻し、斜め40度ぐらいから叩くのがコツですかね……?
 アミーゴブラザーズを圧倒するバリッとリバイは、組み体操どころか恐竜召喚から、バイスそっちのけの氷河期キックで、二人まとめて、フィニッシュ!
 「世界は」
 「「俺たちが整える!!」」
 何か、怖い事を言い出した。
 さすがにデッドマンズは本来の目的(悪徳弁護士の脱獄と確保)を果たして撤収し、デッドマンズをスカイベースに招き入れた裏切り者は、カメレオンデビルに成り代わられた(あるいは最初からグラシアスだった)若林?! で、つづく。
 中途半端な決着だったゲスト悪役の再登場、は今作の特徴を活かして面白みが出たものの、
 何故か揃って門田さんを雑に扱う五十嵐兄弟・雑に放置されるゆる蛇・雑に再登場するカゲロウ・雑に行方不明になる“本当は強い大二”・雑に行方不明になるアミーゴブラザーズの格・あまりにも積み重ねの雑な一輝とバイスの信頼関係・エビルに対する一輝の圧倒的雑なリアクション・雑に蹴り飛ばされて引っ込むエビル……
 と、エクストリームな雑・雑・雑のオンパレードで、目眩のしてくる出来。
 特に一輝とバイスの関係性については、第2話のインスタントな契約締結に始まり、大二とさくらの問題にのめり込んで物凄く適当に扱っていたところから急にカメラを向けて「実はもう、信頼できる相棒だったんだ!」とか言い出されても劇的さ皆無であり、既に致命傷の域。
 今作の構造からすると、「一輝がバイスを信じる」=「一輝が自分の中の悪意や弱さを認める」(だからこそ、そこに「勇気」が必要)……という意味づけもあると思うのですが(こう考えると、自由になったバイスが真っ先に「消し」に行ったのが一輝母だったのは意味深ではあり)、なにぶん一輝とバイスの関係描写が薄味すぎて、一山というには極めて物足りない高さになってしまいました。
 また、ある程度は仕方ないとは思うのですが、狩崎の部屋での一輝とバイスのやり取りとか、カゲロウ再登場のくだりとか、目前の敵そっちのけでの工夫の無い会話シーンの多さも悪目立ちし、演出面でも冴えず。
 門田さんが妙にネタっぽい見せ方になっているのも好みではなく……次回――君は、生き残る事が出来るか。