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ウルトラヤバい恋愛塾

ウルトラマントリガー』感想・第10話

◆第10話「揺れるココロ」◆ (監督:辻本貴則 脚本:林壮太郎
 三悪の筋肉担当ダーゴンは考えていた。
 (年増の女王様にチクチクいびられるより、若い女の子の平手打ちの方が、いいよね……)
 椅子にでも座っているのかと思いきや、片足で全体重を支えていた、筋肉で考える人のポーズは面白かったです(笑)
 果たして平手打ちで目覚めてしまったものはなんなのか、悩めるダーゴンのストーキング風景がユーモアたっぷりに描かれ……『Z』時空の侵食が副作用を引き起こして取り返しのつかない事になっているのでは。
 (なんだ……? この、モヤモヤした気持ちは)
 「モヤモヤするね~」
 「ぬぁっ?! 何やつ?!」
 凄く面白そうな玩具はっけーん、と極上センサーでロックオンしたイグニスは、ダーゴンに「それは恋」「生けとし生ける者は恋を重ねて強くなる」と吹き込み、ユナに迫り来るダーゴンの壁ドン(闇のウルトラ張り手)、そしてバッグハグ(チョークスリーパー)に対し、早速炸裂する、対変態用スタンガン!
 前回ラストから流れるような決め打ちでしたが、圧倒的筋肉によりチクッとしたぐらいのダーゴンは、ユナの頭をなでなで。
 「おいおーい! アイアンクローじゃ乙女心は掴めないぞー」
 そこへ急を知ったケンゴとアキトが駆け付け、あっさり弾き返されたブースト射撃の直撃を受けたアキト、殉職(……まあこの後、何事も無かったかのように動き回っているのですが、ドサクサ紛れで誤魔化すのも限界があるのでは)。
 イグニス先生の恋のレッスンが効果を出さず、焦れたダーゴンが地団駄踏むと地底で眠っていた怪獣が復活。
 ファルコンが囮となって怪獣を市街地から引き離そうとするのは納得の運用なのですが、ナース号に画面切り替わると、コントローラー握って横移動するナナセ隊員を正面から撮るので、視点は繋がらないし映像は面白くないしで辛い(役者さんの後頭部ばかり撮っているわけにいかない都合はわかりますが、主観的映像で切り替えるなら、せめてカットの繋ぎは、後ろから撮って欲しかったところ)。
 操縦シーンの演出は一本調子になるし、役者さんはハイテンションな一人芝居に縛られるし、私は顔面アップの絶叫映像が苦手だしで、今のところファルコンに全く得がありません。
 ユナとアキトにダーゴンを任せたケンゴはトリガーに変身し、「街の防衛」が最優先は理解できるのですが、トリガーが怪獣の方に向かうと「三悪はユナ(ユザレ)を狙っており、普通に考えると残してきたアキトが死ぬ」バランスが悪すぎて選択肢にしようがないので「危険レベルを考慮せずに放置されたダーゴンが(ユナはともかく)アキトにさえ手ぬるい」と緩すぎる行動を取らざるを得ず、もう少し丁寧に状況を組み立ててほしいところ。
 だいたい、シズマ会長=別次元人、ユナ=ユザレ因子の継承者、まで明かされているのに、ケンゴ=トリガーは何故か秘密を継続している為に、闇の巨人ダーゴンに生身で立ち向かうとか、ユナから離れてからトリガーに変身するとか、本末転倒めいた支離滅裂な展開になってしまっていて、色々と、手順を間違えたような。
 様々な事情はあるのでしょうが、基本的に地上で行動するメンバーがケンゴ・アキト・ユナの3人だけ、という縛りが、各所で歪みとなって軋みをあげている感。
 その上で、スライディング変身したトリガーが「ファルコンを助ける」のもピントがズレていて、ダーゴンを放置して怪獣を優先したからには、そこは無人機ではなく人命を救助した方がドラマが自然に繋がると思うわけなのですが。
 有人機と無人機の決定的差異を無視して、「墜落しかけた仲間の機体を救う」“お約束”をやっているだけにも見えてしまい、ファルコンを助ける事でトリガーのヒーロー性を上げようとする演出には、首をひねります。
 トリガーは怪獣と激突し、マンションの一室の窓から巨大戦を映す場面で、スポーツサイクル・ダーツ・ボクシンググローブ・謎の表彰盾・ラグビーボール・観葉植物……が雑然と並んだ部屋の主は、某国際警察の陽川咲也なのでは(笑)
 戦闘シーンは、精巧なミニチュアに凝ったカメラワークなど、様々な趣向を凝らしてはいるのですが、対戦相手のドラマ性の欠如はどうにも如何ともしがたく、正直つまらない内容(勿論、映像的面白さそのものは一つの魅力となりえますが、私はそこに“物語”が乗ってこそ、の人間なので)。
 放電攻撃のエフェクトとか、地面から噴き上がるような爆発とかも格好いいのですが、まだ戦いに“物語”が乗っている筈の地上組の方は、間近のダーゴンそっちのけでアキトが怪獣に集中してしまうなど、あまりにも雑。
 アキトの作戦が功を奏してトリガーの連打が怪獣を捉え、“恋を重ねて強くなる”とは誰かを守りたいと思う強い気持ちにあり、と悟ったダーゴンは指先一つで怪獣を弾き飛ばすと、アキトを恋の好敵手と認めて悠々と去って行くのであった……。
 (決して侮るなかれ。強き心を持つ、弱き人間たちを)
 人間大の悪の幹部と接触し、なんやかやあって助けられた事にアキトが借りを感じるなど、ホント、作りが東映っぽい(笑)
 前回入手した新情報を元に石板の解析を進めるアキトは、怪獣出現とエタニティコアに関係があるのではと推測。そして、新たにアンロックされた部分に描かれていたのは、第四の闇の巨人の存在。
 「その巨人の名前は――トリガー」
 で、つづく。
 次回――お久しぶりの女王様タイムで、愛ってなんなんだ?