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怒りのメガトンパンチ

仮面ライダーバイス』感想・第8話

◆第8話「家族の休息、天国と地獄!?」◆ (監督:諸田敏 脚本:木下半太
 一輝母の快気祝いで五十嵐家は水上温泉へ家族旅行に向かうが、何故か旅館では、デッドマンズ幹部の面々がコスプレで待機していた。
 グラシアス・デッドマンズ!
 そして今回も積極的に肌色を見せつけると、温泉には、筋トレの使徒たちも待ち構えていた。
 「とてもデリシャスなお湯ですよ~」
 「うわ?! お二人とも、どうしてここに居るんですか?」
 「戦士の休息だ」
 「……家族旅行ですか?」
 「そうなんですよ。たまには家族水入らずで」
 5人で露天風呂につかり、お父さんにはにこやかに話しかける門田さんは面白いのですが、旅行先で職場の上司とバッタリ遭遇とか、もはや家族旅行台無しですね!!
 銭湯のお得意さんである牛島一家による盗聴や、五十嵐父の動画配信に疑問を抱く狩崎などを挟み、地味眼鏡仲居に扮したアギレラが一輝に一服盛ろうとするがカゲロウによって妨害され、怒りの角付きに絡まれるとダッシュで逃走するアギレラ、それを慌てて追いかけるフリオ……アミーゴトリオが超高速でポンコツ幹部ゾーンへと接近していき、今、比較対象として脳裏に浮かんでいるのが『五星戦隊ダイレンジャー』の3事務員なのですが、踏みとどまる事は出来るのか。
 「――明日、五十嵐家を、崩壊させてやる」
 そして翌日、サプライズイベントが最高潮のその時、カゲロウ大二は一輝を思い切り殴り飛ばし、その背後で
 「「「グラシアス! デッドマンズ!」」」
 の掛け声とともに変装を解いてポーズを取るアミーゴトリオ……この1話で物凄く面白集団になってしまったのですが、いいのか?! 君らは、その路線でいいのか……?!
 アミーゴ緑オルテカ、私はクール系なので……みたいな気取ったポーズ取ってるけど、君も今、完全に面白要員だからな!!
 「優しい弟のふりも今日で終わりだ」
 ドライバーを身につけた大二は黒ずくめの姿になるとバットスタンプを用いて、角付き――仮面ライダエビルへと変身し、ドライバーの自己主張が激しい。
 「嘘だ……嘘だろ」
 (ぬぉぉ……やっぱりな!)
 愕然とする一輝、悪魔関係には鼻が利くのか今回は察しのいいバイス、その様子を監視する牛島家。
 門田が駆け付けてデモンズに変身するもイカとオオカミに阻まれ、さくらは生身でアギレラに躍りかかるもあしらわれ、一輝を嬲るエビル。
 「愛する家族の前での公開処刑。最高だろ?」
 本性公開した大二――カゲロウですが、この展開の衝撃度を上げる(五十嵐家の心情に同調させる)には、言うまでもなくノーマル大二期間がもう少し欲しく、助走が足りないのはわかっているが、諸々の事情でひとまずジャンプせざるを得ない(逆に言えば、諸々の事情はわかっているのに、助走区間の計算が甘い)のが、如何にも近年の《平成ライダー》作劇といった感。
 第4話で兄弟の関係がひとまず収まった後、せめて1ヶ月(4話程度)はノーマル大二で、五十嵐家の“家族の形”を描く(視聴者に愛着を持たせる)と同時に、門田と大二の通常の仕事風景をちょっとずつでも積み重ねておければ、一つ一つの描写の重さが段違いになるのですが、そこの仕込みに時間をかけられずにインスタントスープの粉になってしまうのが辛い。
 一輝が死ぬと自分も消滅してしまう、という都合があるようですが、今回は頭から完全に世話女房モードのバイスに後押しされた一輝はリバイに変身。狩崎から新装備のピコピコハンマーを受け取ったバイスはコピースタンプ能力(強い)でエビルにダメージを与えると、ハンコアックスと合体させる事で生み出した長剣をリバイに握らせ、弟との戦いに迷っていたリバイは、新装備を手にしたらテンションが上がってきた!
 リバイとエビル、両者の攻撃がぶつかり合った結果、互いに取り落としたハンコを拾う形となってリバイスはコングフォーム(フォーゼモチーフ)、エビルはジャッカルフォームにチェンジし、ライダー組み体操を放って相討ち。
 「またー! 喧嘩しようぜ……お兄ちゃん」
 え? その角、モヒカン部分だったの?!
 と衝撃の仕草を残してエビルは去って行くのであった。
 この戦闘中、デモンズは下半身だけ巨大なバッタ足になる気持ち悪いフォームでアミーゴブラザーズを撤収させており、バイスと一緒に変身するリバイ、変身者自体が悪魔であるエビル、と違って悪魔の力がどこにあるのか現状不明なデモンズですが……果たして門田さんに、ライダー組み体操してくれるお友達が出来る日は来るのか(それまで生き延びる事はできるのか)。
 序盤、車座になって入浴しているシーンまでは凄く面白かったのですが、肝心のイビル正体公開が出汁不足で極めて薄味になってしまい、明確な伏線にしても大して「優しい弟のふり」出来てなかったぞカゲロウ……含めて、崩壊の衝撃を劇的にするには、崩壊前の五十嵐家の描写が、あまりにも足りませんでした。
 大二の早々のカゲロウ化による、ああ二重人格キャラ前提のキャスティングだったのかに始まって、「しあわせ湯の日常」を「惜しい」と思わせてこそなのに、それを感じられず残念。
 後、今回でさくらにフリオの正体がバレたのだとすると、折角のおいしい要素だったのに物凄く残念なのですが、急な予定変更でもあったのかと勘ぐりたくなるレベル。
 今回限りでは全く謎のままに終わった監視者・牛山家ですが、五十嵐父含め、出てくる人物の大変が胡散臭い路線を突き進むならば(終わってみれば半分ぐらいは一般人だった、もありとして)、それはそれの面白さがあると思うので、期待したい要素です。
 アミーゴトリオに関しては諸田監督がノリでやった可能性もあるので、この方向性が継続するのか見えてくるまで判断保留しておきたいですが、どちらが好きかと言われれば、今回の路線の方が好きではあります(笑)