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防衛軍はどこまでも鬼門

ウルトラマンコスモス』感想・第48話

◆第48話「ワロガ逆襲」◆ (監督/特技監督:原田昌樹 脚本:右田昌万
 防衛軍の天文台が、フレーム宇宙人ことワロガからの通信電波をキャッチし、かつてのワロガ事件で因縁のある特務のサングラスの人が、恐らくワロガの狙いはウルトラマンコスモス、とムサシに情報を提供(口ぶりからは、ムサシとコスモスの関係について思うところがある様子)。正式に協力要請を受けたチームアイズは防衛軍と対ワロガの共同作戦を行う事になり、ワロガが出現を予告したポイントで連合部隊が待ち受ける、珍しく大規模な画。
 ……なのですが、特務の人はどうして、戦車隊と一緒に迎撃態勢なのでしょうか(笑)
 諜報や監視活動が主要任務だと思っていたのですが、歩兵扱いを受ける特務とはいったい。
 「防衛軍主力戦闘機と合流」
 「……防衛軍のお守りですか?」
 「……今回だけよ」
 そして、あなた方はホント、どうしてそんなに感じ悪いの??
 夜の闇の中、スモークの中に降り立ったワロガの姿は格好良く、戦車部隊と交戦を開始。
 前半から割と原田監督が戦車部隊を描きたがり(『ガイア』でもチーム・ハーキュリーズに思い入れを見せていたので、陸戦部隊が好きなのかもですが)、今回は台数もかなり使っているのですが、予算の問題なのか、基本的にどうも戦車の映像はチープ目。
 ワロガは暴れるだけ暴れて姿を消し、コスモスに変身し損ねたムサシは意識不明で医療センターに運び込まれ、戦いは連合部隊の惨敗で幕を閉じる……。
 「もう防衛軍の巻き添えを食うのは御免被りたいですね」
 さすがにキャップにたしなめられましたが、防衛軍にしても相当な人的被害が出てるだろうに、どうしてここまで無神経な言い草になるのか。
 フブキにしてみれば、昔の職場への屈折した感情とか、リーダーとムサシの負傷で気が立っているなどあるのかもですが、以前のカオス星人との戦いでも共同戦線を張っているように、対怪獣で意見が割れたわけでなければ侵略宇宙人への対応は防衛軍と基本変わらないわけで、当事者意識を都合良く棚の上に放り投げた暴言で好感度を無駄にドブに投げ捨てるリアクションがどうにも理解不能です。
 リーダーはリーダーで、幾ら相手がカワヤとはいえ医者の言う事を無視して治療を拒否しようとし、このぐらいの怪我で……と意思の強さを示す的な狙いはわかるのですが、冒頭で「キャップとドイガキ以外のアイズメンバーは健康診断をガン無視」をコミカルな一幕として挿入したのが負の伏線となり、チームアイズの腐ったエリート意識というか、この人たちホント、人の話を聞く気が無いな感が強まります。
 前回も今回もワロガの出現時刻が夜である事から、日の光に弱いのでは、という仮説を元に防衛軍に対策を提案するチームアイズだが鼻であしらわれ……これを最初の出現前にやっておいて、〔防衛軍に作戦を提案 → 感じ悪く拒否される → 大きな被害が出る〕の流れならフブキの暴言に対する印象も変わるのですが、どうにもこうにも防衛軍が出てくると、歯車のズレが手がつけられなくなっていきます。
 ワロガは逃げ帰ったに違いない、と余裕を見せる佐原司令だが、会議中に新たな予告電波がキャッチされ、ワロガが指定したそのポイントは、SRC医療基地の近傍。
 ……つまり、「もうアイズの巻き添えを食うのは御免被りたいですね」、だった。
 医療センターでは患者の避難が急ピッチで進められ、迎撃部隊を展開する防衛軍だが、掟破りの嘘予告状だったワロガがフライング出現。投光器とナパーム弾による対抗策も虚しく戦車部隊は壊滅し、アイズ戦闘機も次々とクイックドロウで撃墜されていき、医療センターに迫るワロガ。
 意識不明のムサシは悪夢の中でワロガに追われ、シノブは無理を押して出撃し、一度は止めるカワヤだが「弱点がわかった気がする」と言われるとあっさり出撃に許可を出し、冒頭からこの二人を絡めていたのに特に何の盛り上がりにもつながらず、一体どうしてそうなりましたか。
 ワロガ球体に追い詰められた事で逆にムサシが目を覚ますくだりも強引で、とにもかくにもコスモス変身。シノブがずっと「ワロガの狙いはなんなのか」を呟いているのが、ワロガの狙いがコスモスにある事の補助線になっているのですが、それと“思いついた弱点”は全く繋がらないので、防衛軍周りを除いても話ガッタガタ。
 コスモスはワロガのカモフラージュ能力に苦戦するが、ガードが固い頭部こそ弱点、とシノブが攻撃を仕掛け、更に生き残りの戦車が「ベンガルズ魂を見せてやる……!」と浴びせた砲撃がガードを崩し、頭部の窓枠にランチャーが直撃。
 その間に立ち直ったコスモスが、カモフラージュ能力を使えなくなったワロガに連続攻撃を浴びせると、最後は逃走を許さずに木っ葉微塵に吹き飛ばし、逆襲のワロガは敢えなく散るのであった。
 原田監督は、シリーズの中に、“自分のカラー”――いうなれば原田ワールド――を一つのラインとして引くところがあって、今作ではその一つが、やたら暑苦しくて前のめりな戦車部隊であったのですが、それが今作全体のふわっとした世界観を更に歪めてしまうなど弊害の方が大きくて正直あまり面白くは感じず、今作に関しては、原田監督の手法が悪い形に出たかな、と。
 つくづく、防衛軍は、鬼門。