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一筋に一筋に無敵の男

仮面ライダーバイス』感想・第7話

◆第7話「窃盗!?スケボー!?俺はカゲロウ!」◆ (監督:諸田敏 脚本:木下半太
 見所は、フェニックストイレの床に転がっていた大二を見つける門田さん。
 「おまえどこで寝てるんだよ……」
 この、ちょっとズレた生真面目さが、急速に作品のオアシスになっていますね……。
 その頃、街にはパルクール窃盗団と、それを守るように姿を見せるチーターデッドマンLV2が現れており、若林からその撃破を命じられる一輝は、既に命令される事に慣れ切っていた。
 ……早い。
 チーターの速度に対抗可能なジャッカルスタンプを取り出す博士だが、バイスとの相性が悪くてヘソを曲げてしまい、6話まで進めたところで見えてきた不足箇所を補う意図だったのか、デッドマンやジャッカルフォームについて文字情報で見せたり、ここまで名前をほとんど呼ばれていなかった博士を「狩崎」「狩崎」と連呼してみたり。
 「早く世界中のみんなをギフ様の家族にして、幸せになってほしいな……」
 「勿論ですアギレラ様。それに……我々にはもう一つの、切り札がありますよ」
 デッドマンズ赤の名前も改めて強調されると共に、ここでデッドマンズ側にも「家族」のキーワードを入れてくるのは、巧い。
 スタンプを手に街をさまよい歩く大二の中で悪魔カゲロウの存在が大きくなっていく一方、大二を気に懸けて銭湯を訪れると、いつの間にやら一輝から「ヒロミさん」呼びとかされている門田に、大二の裏切り疑惑を伝える上層部。
 元を正せば全校集会の時に悪魔召喚失敗を見せたのが原因なのでは? と周到に門田に責任を感じさせた若林と狩崎の二人は、明らかに胡散臭い流れで門田に新たなドライバーを預け、凄い勢いでオアシスがリタイアフラグに埋め立てられていきます。
 「我が命を懸けて……貴様を止める!」
 チーターデビルの正体を突き止めたリバイスが角付きの奇襲を受けると、駆け付けた門田が、気合十分を通り越えて前振りとしか思えない台詞とと共に、新たなドライバーと蜘蛛のスパイダーにより、変身!
 (※台詞は東映スパイダーマン』主題歌の歌詞「君はなぜ 戦い続けるのか 命を懸けて」を受けての可能性もありますが)
 蜘蛛の巣を模した左右非対称の頭部&胸装甲と、複眼のイメージと思われるマスク側面の電飾が面白い仮面ライダーデモンズが誕生し、全体のフォルムは思ったより重量級。
 「まさか……ヒロミさんかっけぇ!」
 どうして一輝は、そんなに門田に懐いているのか(笑)
 第6話と第7話の間に劇中で2ヶ月ほど経過していると言われた方が納得が行きますが、門田から受け取ったジャッカルスタンプを用いたリバイスは、新たなるフォームチェンジ。
 ……ところで、超スピードで走り回るのが厄介なチーターデビルを、一応足止めしている名目のバイスが、フォームチェンジの度に引っ込むので足止めが無効化されていて、だいぶ相性の悪い設定であったなと思うところ。
 ジャッカルフォーム(エグゼイドモチーフ)となったリバイは、スケートボードとなったバイスに乗ってチーターを追い詰め、スケボーを乗り回す仮面ライダーの図は、なかなか新しい&面白い、そしてタイムリーになりました。
 蜘蛛糸アクションを見せたデモンズに対し、大技同士をぶつけて相殺した角付きは姿を消し、チーターデビルはジャッカルスケボーキックで321され、幼なじみ回であれだけ煽ったデッドマンフェイズ2、早くも大変雑な扱い。
 チーターデビルの正体はフェニックスに確保され、一輝の薄っぺらい謎説得にゲストが謎納得して謎大団円の雰囲気だけ出されても説得力皆無で、1エピソードとしての中身はすっかすか。
 生まれてこの方、間近でこんな光景ばかり見せられていたらとしたら、それは悪魔カゲロウも生まれて仕方ない、と別の説得力は出ましたが、形は一話完結にしているもののギミックと伏線だけで容量オーバー。結果としてゲスト(怪人)に関係するエピソードが最も粗雑な扱いを受けるのに内容はデリケートなテーマを持ち込む一方、当然そこに踏み込もうとするヒーローの中身もテーマに対応する形で丁寧に描写していないので言動が空疎になってしまい、扱う問題とヒーローのバランスが著しく悪いまま、上辺だけ一定の解決に導いたかのように装う、物の見事な負のサイクル。
 大二(カゲロウ)の存在を考えると、このいわば“一輝の家族観無双”は、破裂前提だとは思いたいですが、それにしても今回は雑に過ぎました。
 変身を解除した途端に門田が灰にならなくてホッとしつつ、次回――家族旅行。