東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
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ショッカーは永遠に不滅なのか

仮面ライダーバイス』感想・第5-6話

◆第5話「世直しライダー!裏切り者は誰だ!?」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:木下半太
 門田の司令官解任を文書で追い打ちしてきた!!(笑)
 ……それはそれとして、若林も司令官だけど門田も元司令官なのは、ちょっとわかりづらく感じ、若林は別の役職名でも良かったような。
 だって全校集会にデッドマンズが襲ってくるとか思わないじゃん!? と、不満を膨らませる門田の傷口をタワシでこするフェニックスでは、空中戦艦からライオンとコングのスタンプが盗まれ、街では迷惑系Youtuberが生配信中にライオンデビルを召喚。
 ブラック企業の社長を悪魔で脅すYoutuberだが、そこに一輝が駆け付け、
 「それって誰に向けての土下座なんだ?」
 は台詞も見せ方もはまって格好良い登場シーンでした。
 「その為に――仮面ライダーになったんだ」
 の場面の陰影の用い方も印象的で、個人的には久々となった上堀内監督が、やはり見せてきます。
 「こんな動画、誰も喜ばないって。暇つぶしに使われるだけだよ」
 ライオンデビルをさくっと倒し、Youtuberを諭す一輝のトーンが物凄く暗いのですが……思えば身内に似たような人が居るので、家庭の問題が超深刻。
 Youtuberにハンコを渡したのはフェニックス内部の何者かであり、妙にとげとげしい大二、何かと思わせぶりな博士、やたら視線の険しい門田、と疑惑を散りばめながら進み……たぶん門田さんは、万事において反応が素直なだけな気はしますが……年若い元部下に、「降格がショックで不眠に悩んでいるけど、俺は再び成り上がってやるぞ!」とか言ってしまう人ですし、物語終盤で義憤にかられて反乱軍の神輿に担ぎ上げられるがあっさり裏切られて憤死するタイプ。
 残るコングスタンプを回収する為、フェニックスは改心したYoutuberによる囮作戦を決行する事になり、やはり、取引材料になるぐらい(規制)で(検閲)な感じなのか、フェニックス更生プログラム。
 バイスタンプ壊してみた、の配信中、アミーゴブラザーズが現れると青は狼スタンプ(犬じゃなかった)、緑はイカスタンプを使ってそれぞれ変身し、成る程、デッドマンズ幹部の怪人モチーフはショッカー幹部で、青はアミーゴ大佐、イカはアミーゴ博士の模様。となると残る赤はアミーゴ大使で、ラスボスは岩石アミーゴ大首領でしょうか。
 「うっひょー! いっぱい沸いてきたぜぇ!」
 「こっちも……沸いてきたぜ!」
 Youtuberのガードに付いていた一輝が変身して戦闘となり、段々、短気な人みたいになってきました。
 投手交代が早そう。
 青のクラスがガンマンなのに対して、イカ要素がローブにも見える緑は魔術師系かと思われ、傘の様なデザインで、片側が杖、片側が剣めいた手持ち武器は禍々しくてなかなか格好いい(通常時は魔法系遠隔攻撃で、本気出すと武器を逆にして魔法剣士になる、とかもありそう)。
 苦戦するリバイスは新たなライオンフォーム(クウガモチーフ)に変身し、ひとまず活躍させないといけないメタ的な事情はわかるのですが、前々回のマンモスに続き新フォームになると急に強い説得力は非常に薄く、作る側も見る側も割り切りを求められている感じ。
 イカ魔道士を噛み殺したかと思いきや、リバイスの背後に突如、黒緑の角付き(ゴースト似)が出現し、問答無用でリバイスを攻撃。
 「へぇー、こいつが今回の黒幕か」
 「何者か知りませんが、楽しませてくれそうですね」
 平然とイカスミ再生したアミーゴブラザーズは撤収し、外のフェニックスを沈黙させた謎の敵がリバイスに襲いかかって、つづく。
 次回――予告で全く違う話が展開していて困惑しますが、映像には姿が見えないのに、サブタイトルで名前を明かされる角付き(笑)
 Youtuberに関しては、根は純粋で正義感の強い青年が、顔の見えない人々(真の“悪意”はこちら側にあるという描き方)に煽られる内に歯止めが効かなくなっていた、という形でさくっと解決。
 高齢の祖父との関係性もこれといって掘り下げられず、祖父に関しては「劇中要素の連動が粗い」と見るか(前回の恋愛要素も微妙なフレーバーでしたし)、「当たり前の家族の風景の一つ」として描いているのかは、現時点では判断しにくいところ。仮に後者だとすれば、興味深い踏み込み方となりますが、さて、どう転がっていきますか。

◆第6話「エビルの正体!衝撃のショータイム!?」◆ (監督:上堀内佳寿也 脚本:木下半太
 見所は、半裸そして全裸。
 ……あれ、博士、上半身割と凄い?
 弟が細そうで今後の見劣りが心配されますが、斬撃エフェクトも大変格好良くリバイスを圧倒した角付きの正体は、博士から新たなドライバーを渡されて変身した大二であり、う、うーん……?
 フェニックス戦艦からスタンプを盗んで市井に横流ししたのも大二の仕業であり、黒ボディの胸に黄色のアクセントが入るとバットマンぽさも出る角付きは、一輝が「コウモリ野郎」と言及したので、本当にコウモリモチーフの模様……あの戦いの最中にどこでコウモリを見出したのかはちょっと謎ですが。
 ラムネの手品でバイスをからかった一輝は新たなお悩み相談を受ける事になり、そこから物凄い勢いでデッドマンの気配に繋げてきましたが、銭湯とも仮面ライダー活動とも関係なく世直し活動を始めていて、凄く明後日の方向に突き進んでいるのでは(笑)
 家庭内虐待・迷惑Youtuber(とブラック企業)・悪徳弁護士……と、ここまでのところ、寓意的な「悪」ではなく、社会悪に積極的に介入する仮面ライダーが描かれているのは意欲的な切り口といえる一方、「ヒーロー」による問題解決に説得力を持たせるのが難しく、問題に対して解決が薄味極まりないバランスの悪さを生んでいるのですが(ブラック企業社長なんて、アリバイ的に一声かけただけですし……)、この路線を進めていくのかどうか。
 かつて『オーズ』は“「ヒーロー」の手では解決しきれない問題”と“それでも手を伸ばす事を止められず、それでいながら、伸ばすだけ、の主人公”をじっくり描きましたが(それによって生じるカタルシス不足があって、伊達さん登場までの『オーズ』は個人的に微妙な印象)、その辺りのバランスや、虚構と現実の間でどこまで手を伸ばしてしまっていいのかなど、東映ヒーローとしてはノウハウの蓄積の薄い部分に火だるま覚悟で敢えて切り込むなら、だいぶ印象が変わってはきます。
 ……なんにせよ、このまま他人の問題に関わり続ければ、遠からず一輝はパンクすると思うのですが、妹に向けて多用するようになった「兄ちゃんに任せとけ」はだいぶ不穏であり、こちらは明確な意図を感じる要素。
 先々への不安はさておき、悪徳弁護士の背後を調べる為に、バイスがステルス機能を活かして協力する事となり、スマホに入り込むと皆にご挨拶。……やはり今まで隠していた意味、特に無かったのでは(笑)
 一方、どうやらアップデートもとい筋トレの最中に、偽りの悟り――魔境――に迷い込んで魔に取り憑かれてしまったららしい大二については、筋肉センサーによりそれを勘づきながらドライバーを渡した博士が、しばらく泳がせておこうと進言。
 一輝は、悪徳弁護士がデッドマンを用いて証人を脅している現場映像を法廷で突きつけ、追い詰められた弁護士はカンガルーデビルを召喚。
 ボクシングスタイルのカンガルーデビルは、腹の袋から子カンガルーが顔を出しており、奇械人ガンガル……!?(『仮面ライダーストロンガー』第1話の面白怪人が、実にこんな感じでして)。
 リバイスは、マンモスそしてサメ(さらっと初使用?)、更にライオン、の連続フォームチェンジでカンガルーを撃破し、随所にCGキャラを組み込みながら立体的なカメラワークで見せるアクションは、なかなか工夫があって、面白くなってきました(バイスもだいぶ静かになってきた)。
 ところが、悪徳弁護士はスタンプは私のじゃありませーんと主張して一輝たちを煙に巻き、証拠が無いから無・罪、とほくそ笑んでさっていくのですが……なんとなくこの世界だと、フェニックスが出てきて拉致監禁されて尋問が3秒で拷問に代わりそうで、一輝が相手の内にとっとと自白してしまった方が身が安全な気がしてなりません。
 「あいつ、一輝と同じ顔してたぜ」
 「は? どういう意味だよ?」
 ラムネの手品でバイスを騙した時の悪い顔と似ていた、というバイスの言葉に何事か閃いた一輝は弁護士の事務所に乗り込み、弁護士と裁判長がグルでハンコを隠していた現場を押さえ、長々と辛い過去とかこそ語り出しませんでしたが、一輝の言葉は現実を前にドロップアウトした弁護士に届かないまま、幕。
 うーん……まだ立ち上がりで模索中ではあるのでしょうが、1-2、3-4、5-6、と、笑った大二がまたグレた、みたいな落ち着かない豹変に加え、“現実とヒーローフィクションの間のどの辺りに落としどころをつけるか”という、割と肝心の部分が担当する監督により違っていて別の作品のようなまとまりの悪さがあり、現実の悪意・社会的問題、に主人公が積極的に向き合い介入していく路線で進むならば、早い内に『リバイス』としてのバランス、を確立してほしいところです。
 ただ、こういう事がやりたいのだろうか、というのは見えてきて、徐々にエンジンもかかってきた感じなので、後は上手く流れていってくれればなと(大崩壊も覚悟しつつ)少し先が楽しみになってきました。
 一方、厄介なリバイスの打倒を目指すデッドマンズは一輝の身内をアキレス腱と見て、アミーゴ青が空手道場でさくらに近付き、更に一人の客人がデッドマンズベース(割と誰にでも辿り着けるデッドマンズベース、どこにあるんだデッドマンズベース)を訪れていた。
 「……そっか。アキレス腱って、二つあるもんね」
 この台詞は、非常にいいキレ。
 「ええ。五十嵐一輝の弟――大二にございます」
 「あんな阿呆と一緒にすんな。俺はあの阿呆から生まれた悪魔。――カゲロウだ」
 フリオとさくらの接近、行方不明のコングスタンプ、銭湯常連客でのくすぐりも加えて布石の置き方もじわじわと見所が出てきて、特に、ひゃっはー系悪役が素朴そうな空手青年を装うフリオはそれだけで一定の面白みが出る上に、今後のさくらとの関係性も楽しみで、やはり、キャラを繋げる、というのは大事だなと。
 次回――更なる新ライダー登場で、バッ○マンの次はスパイ○ーマン?! いやまあ、コウモリ男とクモ男はライダー怪人の中でも別格の扱いなので、そのオマージュなのでありましょうが。