東映特撮に踊らされる駄目人間の日々のよしなし。 はてなダイアリーのサービス終了にともない、引っ越してきました。
旧ダイアリー保管用→ 〔ものかきの倉庫〕
特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)
HP→〔ものかきの荒野〕   X/Twitter→〔X/Twitter/gms02〕

「戦いの後とクリスマスケーキには コーヒー牛乳がよく似合う」

『機界戦隊ゼンカイジャー』感想・第31話

◆第31カイ!「ギュウっと合体! NEWっと公開!」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:香村純子)
 前回のあらすじから本編に直接繋がる珍しいパターンで、セッチャンは全力全開キャノンの隠された機能を解析中。
 「父ちゃん母ちゃんが残した、秘密のメッセージが出てくるかも」
 それは……こう……大体、よくないパターンですね……!
 そんな折、闘牛……ならぬ乳牛、ではなく牛乳ワルドが現れると街のあちこちに牛乳を振り掛けて回る深刻な嫌がらせを行い、ホルスタイン柄をドットで表現しているデザインが、お洒落。
 特殊能力が発動する前に被害を食い止めようと牛乳ワルドに攻撃を仕掛けるゼンカイジャーだが――ワルドのあるところ必ず現れる。ワルドの行われるところ必ずゆく。機械の戦士、ハカイザー!
 「そうはいかないよ! とぉーーーっ!」
 高いところから飛び降りてくるハカイザーが邪魔に入り、コメントをいただいて膝を打ったのですが、これ、トジテンド視点のゼンカイザーだと思うと、凄く、イラッと来ますね!(笑)
 ハカイザーは背中のブーメランを振り回すと5対1でもゼンカイジャーを余裕で叩き伏せ、今や、我らのハカイザーは生まれた。ハカイザーはゆく、トジテンドを守る為に。世界征服に影を落とす、愉快な、正義のヒーローと戦う為に。
 牛乳ワルドとハカイザーの撤収を許したゼンカイジャーは、デビル牛乳をかけられたものが真っ白に漂泊されていく光景を目の当たりにし、それは洗濯物や信号機どころか、スマホに書籍にコンピューター内部のデータまでをも真っ白に消滅させていく。
 すなわち、第二のホルスタインフリーズであった。


 「動機が掴めぬ? 愚かな人間共の発想の貧しさよ」
 「まさか、この世から一冊残らず本を消滅させる事が、我がバイオロンの目的とは、夢にも思いませんね。あははははははは」
(『機動刑事ジバン』第23話「マンガを喰いすぎた怪物」(監督:岡本明久 脚本:扇澤延男))

 文字、そしてあらゆる書籍を消滅させる事により、その保持が不可能となった人類文明を崩壊させる作戦といえばバイオロンですが、コンピュータのデータまで範囲を拡大する事により実効性を飛躍的に高めるのが、恐るべしワルド怪人。
 「わーーーすご、このままじゃ文明滅びちゃうな」
 「あいつらを舐めない方がいい」
 あっけらかんとした感想を洩らすハカイザーに絡みに行くステイシー、こうなってみると、新テーマ曲の口笛のメロディは完全に狙い撃ちですが、果たして、ライバルの座を死守する事は出来るのか?!
 「あいつら? ゼンカイジャーのこと?」
 「いざとなると、思いも寄らないパワーを発揮してくる」
 「へぇー、それは楽しみだなぁ」
 「……楽しみだと?」
 「大丈夫。牛乳ワルドがやられそうになったら、俺が行くから」
 正攻法のライバルムーヴで牽制球を投げつけるも軽く受け流されるステイシーだが、その時、地上に影を落とすのがお約束になってきた宇宙船から降りてきたのは、単純に喧嘩がしたいヨホホイワルド。
 「ツーカイに行くぜ!」
 「全力でハカーーーイ!」
 両者が激突している頃、カラフルに慌てて戻った介人たちが目にしたのは、悪魔の牛乳の侵食により記憶データが漂白され、自らが何者かさえわからなくなってしまったセッちゃん。
 「介人……誰チュン?」
 「……友達だよ。ずーっと一緒だったじゃん! 父ちゃん母ちゃんが何度もトライして、セッちゃんのこと作って……あれからずーっと友達だったじゃん! 喋れるようになる前から……ずっと友達だったじゃん!?」
 「トモダチ……って、なにチュン? おいらは……なにちゅん?」
 両親の大事な思い出にして、子供の頃からの友達であり、介人にとってはヤツデ同様、この10年を一緒に生きてきた身内といえるセッちゃんの存在の大きさがクローズアップされ、真っ白に燃え尽きたセッちゃんを抱きしめて涙をこぼす介人の姿は、アバンタイトルのハイタッチが効果的になって、陽性の介人を上手く泣きの芝居に持っていきました。
 そこにフリントが駆け込んできて牛乳ワルドの居場所を伝え、
 「介人……俺たちの友達、助けに行こうぜ」
 はジュランが大変真っ当に格好良くて良かったです。
 「みんなの大事なもの消しまくって……絶対、許さない!!」
 セッちゃんをヤツデに預けたゼンカイジャーは、牛乳ワルドを前に、お笑いを封印した揃い踏み。クダックを赤黄桃青が担当すると、スーパー白が単身で牛乳に立ち向かい、今作では珍しい主題歌バトルへと突入。
 全力全開キャノンを取り出した白はビーストパワーを発動し、ガオ赤・ライブ青・ジェット黄・ジュウオウ緑のイマジナリー先輩ズを召喚して牛乳を弱らせると戻ってきたジュランたちを背中の支えに全力全開お面バスターで牛乳を撃破し、スクラムの組み方に悩んだ末に縦一列になる、のはゼンカイらしいくすぐりでした。
 これにて世界は完全漂白の危機を脱し、ツーカイザーと交戦中で援護に行けなかったハカイザーは特に反省する事はなく帰還。
 ダイ牛乳ワルドの牛乳噴射攻撃をクルクルクルマジックで封じると、全力全開キャノンが巨大化した飛行モード・全力イーグルに白が乗り込み、全力カイザーストームで瞬殺した直後に、「ご苦労であった」と音声入ってるのは……なに?(どこから?)
 直後にイジルデが送り込んできた新兵器、ニュークダイテスト(顔の模様がユガンデ風味)が2体で現れると、全力イーグルを中心にジュラガオマジブルが両手両足となる全力全開合体が発動し、待望の5体合体!!
 追加装備が巨大化して戦闘機形態を持つと同時に、新合体のコアブロックになるのは成る程のアイデアで、顔面の45の主張が激しく強い、ゼンリョクゼンカイオーがここに誕生。
 「な、なんだと?! そんな機能が!!」


 「俺ぁじっくり考えたんだがなぁ、ギエン。タイムレンジャーはともかく、それ以外の災難は全部、おまえのせいで起きたんじゃねえか?」
 「ほっ、どういう事だ?」
 「タイムレンジャーのロボットが増えたのも、タイムファイヤーもブイレックスも、全部てめぇが好き勝手に暴れたせいじゃねえか、て、言ってんだ」
(『未来戦隊タイムレンジャー』CaseFile.31「迷想ゲーム」(監督:松井昇 脚本:小林靖子))

 なんとなくデザインがギエンを彷彿とさせるイジルデですが、このままだと粛正コースまっしぐらなのでは(今回もどういうわけか、ゲゲが弁護を図ってくれましたが、その狙いはなんなのか……)。
 フルCGの全力全開王は、マジ杖とジュラ剣を合体させた大刀が格好良く、胸のダイヤルを回して様々な戦隊のパワーを発動すると、45世界分の戦隊パワーを用いたファイナルビッグバンで大全壊し、ニュークダイテストを葬り去るのだった。
 最近すっかり持て余し気味で、出すと巨大戦も雑になりがちだったジュラガオマジブルを含めたスーパー合体、はシンプルに嬉しかったのですが……全力全開キャノン及び全力全開王に関しては、他世界のヒーローのパワーを借用して勝手に振り回している感が強いのは、ちょっと引っかかるところ。
 劇場版で既に解決している可能性はありますし、基本的には“世界を守る為”であり、“並行世界(過去)のヒーローのパワーを使う事”については、素直にポジティブに受け止めた方が良いのかもしれませんが、なにぶん介人たちが並行世界のヒーロー達に対して特に感情を向けない(重ねてこの問題は、劇場版で解決しているのかもですが)ので、ワルド怪人の在り方に怒った介人が、父ちゃん母ちゃんの作ったものだから、と戦隊ギアに関しては盲目的に肯定するのは、少々気になります。
 その為、強大な力の入手と発動が、映像ほどに劇的に感じられず、いっそ、なんらかのしっぺ返しも期待したくなりますが……全力全開キャノンの劇中への落とし込みを図った前回今回と、シリーズ作品に対する距離感が個人的好みからは加速をつけて離れていっているのは今後への不安点で、ここまで侵食してきたからには、一度、戦隊ギアについて向き合ってほしくはあるかな、と。
 そこで、歴代のスーパー戦隊の存在があるからゼンカイジャーは戦える! と単純なスーパーパワー(の由来)として肯定的に受け止めるには、味付けの中の過去作品要素が濃くなりすぎてしまった感(今作はそこ、あっさり塩味ぐらいが面白いと思っていたのに、濃厚とんこつスープになってきたからには、ダシについて考えてほしい、みたいな)。
 一方、宇宙船に戻ったゾックスは何やら浮かない様子で考え込んでいた。
 「ハカイザーと戦ってて感じたんだけどさ……あいつ、なーんか介人と似てんだよなぁ……」
 まさかの、おもしれー奴センサー発動により、サトシに負けじとゾックスもラストシーンで物語を動かす布石を打ち、次回――待ってましたのステイシーのターン! そして、全力で入れ替わり。